住宅ローンを借入していると税金が戻ってくる「住宅ローン控除」をご存知ですか?
住宅ローンを借入すると利息の支払いが必要ですが、使い方次第では支払う利息よりも戻ってくる税金の方が大きくて得になるなんてこともあります。
マイホームを持ちたいと考えている方にとって住宅ローン控除は「お得な制度」ですが、「どうすれば利用できるの?」、「自分も税金還付の対象になる?」という不安を持たれている方もいますよね。
今回はこの時期だから知っておきたい住宅ローン控除で税金を返してもらう方法について徹底的に解説します。
住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除とは、正式名称を「住宅借入金等特別控除」と言います。
住宅ローン控除は本人が居住するための住宅を、住宅ローンを借入して購入、もしくは新築、増改築すると、年末の住宅ローンの残高に応じてその年に支払った所得税・住民税の一部を返してもらえる制度です。
住宅ローン控除で返してもらえる(還付)税金は、「その年に実際に支払った所得税や住民税の一部」です。所得税や、住民税は給与所得者(サラリーマンですね)の場合は、毎月の給与から控除されて支払っています。
住宅ローン控除は、毎月支払い続けた税金を翌年になってドカンと還付してもらえ制度と言えます。
還付される税金の額は?
住宅ローン控除で還付が受けられる税金の額を知っておくと役に立ちます。これから住宅購入を検討している方にとって将来の資金計画は重要ですので、どれだけの税金が戻ってくるかは気になるところでしょう。
但し、住宅ローン控除の額は、政策によって時期に応じても変わりますので、その時点での制度を確認する必要があります。現在確定している制度では、平成33年(2021年)12月末までに、居住を開始する方が対象となります。
住宅ローン控除では、その年の年末(12月31日)時点で、借入している住宅ローンの残高×1%(最大40万円)を10年間に渡って還付してもらうことができます。
具体例をあげてみましょう。住宅ローン控除では、仮に、住宅ローン残高を4,000万円以上借入している前提(12月末時点)で、400万円(=40万円×10年間)を還付してもらえることになります。さらに、居住用の住宅が、「長期優良住宅」として認定されれば、年間の最大還付額が、1年あたり50万円(+10万円)に増額されます。
つまり、10年間で最大500万円(100万円増額)の還付となります。
自分のために住宅を購入して、自宅は資産として保有できるのに、さらに400万円~500万円もの税金を還付してもらえるのですから、住宅ローン控除は、ありがたい制度ですよね。こんなお得な住宅ローン控除を利用しない手はありません。
さらに、2020年6月現在、住宅ローンの金利は非常に低くく、過去に無い低金利の時代とも言われています。1%どころか、変動金利で、0.5%未満で借入できる住宅ローンもあります。0.5%の利息で住宅ローンを借入して、1%の税金が還付されるのです。
住宅ローンの利息として払った額よりも、戻ってくる方が多いのですから馬鹿にできません。
住宅ローン控除を受ける条件
住宅ローン控除を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
せっかく、住宅を購入して住宅ローンを借入していても、この要件を満たしていないと住宅ローン控除が受けられなくなりますので要注意です。
本人が居住している
住宅ローン控除を受けるためには、購入する住宅が居住用の不動産であり、ご自身が購入後6ヶ月以内に居住する必要があります。本人が居住していないと住宅ローン控除は受けられません。購入後6ヶ月を過ぎても、居住されなかった方は対象外となります。
また、控除を受ける年末時点でも居住している必要がありますので、一旦住宅ローン控除の適用を受けて、その後、転居などをすると、それ以降は対象外になりますので注意が必要です。
10年間の住宅ローン控除満額で受けるためには、毎年の年末時点で、その住宅に居住している必要があります。一旦、住宅に居住した後、転居して居住されなくなった場合には、住宅ローン控除の対象外となります。
<住宅ローン控除中の転居はどうすれば良い?>
年収に関する条件
次に、住宅ローン控除を受けられる方の年収条件もありますので、確認しておきましょう。住宅ローン控除を受けることのできる方は、その年の合計所得が3,000万円以下となります(額面ではなく、所得です)。
年収が3,000万円を超える方は、税金の優遇措置が必要ないと判断され、住宅ローン控除を受けられなくなります。
住宅の大きさの要件
住宅ローン控除の対象となる住宅について、大きさ(「面積」)に関する条件も設けられています。住宅ローン控除をうけるためには、購入する住宅の「床面積が50㎡以上」である必要があります。この面積基準は、対象となる住宅が、一戸建て、マンションのどちらでも同一の基準となります。
床面積が50㎡未満の「小規模な住宅」を購入された方は、住宅ローン控除の対象外となり、税金の還付が受けられませんので注意してください。
住宅ローンの借入期間
住宅ローン控除を受けるためには、控除を受ける住宅ローンの借入期間が10年以上である必要があります。この借入残期間10年というのは、借入当初だけでなく、その後の変化も含めて10年以上である必要があります。
仮に当初10年以上の住宅ローンを借入した後、一部繰り上げ返済を行って、借入期間が10年未満に短縮された場合には住宅ローン控除を受けられなくなります。
住宅ローン控除を受けるためには、住宅ローンの借入期間が、「借入日から最終返済」までで、10年以上である必要があるのです。
そのため、繰り上げ返済で借入期間が短縮する場合、借入日から最終返済日までの借入期間が10年未満となってしまわないように注意する必要があります。
良くある勘違いですが、この10年というのは、あくまで借入当初から、最終返済期日までの期間です。借入期間中に、返済が進んで、残期間が10年未満となることは問題ありません。例えば、11年で住宅ローンを借入した後、2年間の返済を継続して、残期間が9年となるような場合です。
借入当初から、最終返済期日まで10年以上あれば問題ありませんので勘違いしないようにしてください。
住宅ローン控除を受ける方法
住宅ローン控除を受けるにあたっては、控除を受ける最初の年に「確定申告」が必要となります。給与所得者(サラリーマン)の場合、確定申告なんてやったことがないという方も多いでしょう。初めての方でも対応できるように解説いたしますので、参考にしてみてください。
なお、住宅ローン控除の初年度だけ確定申告すれば、2年目以降は、お勤め先の年末調整で、住宅ローン控除を受けられるようになります。
確定申告はどのように?
サラリーマンなどの給与所得者では、勤務先の年末調整で終わることが多く、「確定申告なんかやったことない」と言う方も多いでしょう。住宅ローン控除を受けるためには、「確定申告が必要」なんて言われても、何をしたら良いのか解らない方も多いですよね。
確定申告は、収入や支出のあった年の、翌年、2月~3月に、税務署に対して、確定申告書を提出して、ご自身の収入や支出の状況を自己申告する制度です。
確定申告書には、前年の収入と、住宅ローン控除などの税金還付を受けられる内容を記載して行います。提出する「確定申告書」のひな形は、国税庁のホームページからも取得できます(詳細後述)。
なお、確定申告が必要なのは、住宅ローン控除の1年目だけです。2年目以降は、勤務先の年末調整で済ませることができますので、ご安心ください。
確定申告に必要な書類
住宅ローン控除を受けるための確定申告で必要な書類は以下となります。
<必要書類一覧>
①確定申告書(前述の国税庁ホームページ)
②住宅借入金等特別控除額の計算明細書
③住民票
④源泉徴収票
⑤年末残高証明書(住宅ローン)
⑥住宅に関する工事請負契約書、もしくは売買契約書のコピー
①及び②は、国税庁のホームページからダウンロードできます。
<参考:国税庁の書式掲載ページ>
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki02/01.htm”]
③は市役所などで取得できます。
④は勤務先から年末年始に受け取ることができます。
⑤は住宅ローンを借入している銀行から送付されてきます。
初年度は、住宅ローンを借入した時期によっては、年末年始に送られてきます。
2年目以降は、通常10月頃には送付される銀行が多いようです。
⑥は住宅を購入した不動産屋などから受け取る書類となります。
住宅ローン控除の注意
これから住宅を購入して、住宅ローン控除を受けたいと考えている方に、是非知っておいて頂きたい注意点があります。
住宅購入時には、不動産屋や、仲介業者などからも、住宅ローン控除に関するアドバイスがもらえますが、意外に盲点となることも多い点ですので、知っておくと役に立ちます。
中古住宅の場合の注意
新築住宅を購入する場合と、中古住宅の場合で、受けられる住宅ローン控除の額が変わることがあります。
住宅ローン控除は、「40万円×10年間」、もしくは、借入する住宅ローン残高の1%×10年間と決めつけていると、失敗する可能性がありますのでご注意ください。
特に注意が必要なのは、「個人が保有している」中古住宅を購入する場合です。
つまり、最初に他の方が自宅などとして使用していた住宅のことです。不動産会社が仲介・代理に入っていても、同様です。
こういった中古住宅を購入する場合、受けられる住宅ローン控除の額は、借入する住宅ローン残高×1%(最大20万円)×10年間となります。つまり、新築住宅を購入する場合の半分の200万円が最大の還付額になります。
これは、現在の住宅ローン控除の額が40万円となった経緯によります。
現在の住宅ローン控除の額は、消費税が8%になった時に、年間20万円→40万円に拡大しました。
消費税の影響で住宅を購入できなくなる影響を避けるのが目的です。
しかし、個人が所有する中古住宅を購入する場合、消費税はかかりません。個人間の売買ですので、非課税となります。
そのため、消費税の影響を受けていないので、住宅ローン控除の額も拡大されなかったのです。
受けられる住宅ローン控除の額を「400万円」で見込んでしまっていると、資金計画が狂ってしまうこともあるので、注意してください。(なお、個人間での住宅売買に対しては、消費税がかかりませんので、その分はお得になります)
還付されるのは払った範囲
不動産屋などと住宅購入を相談していると、住宅ローン控除「400万円」ありきで話が進んでしまうことがあります。
しかし、住宅ローン控除で戻ってくる額というのは、あくまで、ご自身が「所得税」・「住民税」で支払った額の範囲内ということを忘れてはいけません。
そもそも、年間の所得税・住民税で40万円以上を払っていなければ、住宅ローンの借入残高が4,000万円以上あっても、40万円も戻ってきません。年間で40万円以上の税金を支払う方というのは、年収換算で700~800万円あたりの方になります。この年収水準の前後に位置する方は、源泉徴収票などをもとに、ご自身の納税額を良く確認しておく必要があります。
住宅ローン控除は、その年に支払った税金の「還付」であるということに注意しておきましょう。
こちらも40万円ありきで考えてしまっていると、資金計画が狂ってしまう原因になりますので注意が必要です。
税金の確認方法
ご自身が実際に支払っている税金の額は、勤務先からもらえる「源泉徴収票」や、「給与明細」で確認できます。源泉徴収票や、給与明細には、所得税や住民税の額が記載されています。
2回目も受けられる?
住宅を購入して、住宅ローンを借入して、住宅ローン控除を10年間(もしくはその期間以内)受けた後の話になります。その後、住宅の買い替えなどをして、再度、住宅を購入して、住宅ローンを借入した場合には、2度目の住宅ローン控除を受けることができるのでしょうか?
結論を言えば、2度目の住宅ローン控除も受けられます。
もちろん、その時に、引き続き住宅ローン控除の制度が続いていることが条件となりますが、2度目でも受けられます。
そのため、10年間住宅ローン控除を受けた後、節税目的で、住宅ローンを買い替えするという方法も可能なのです。
住宅売却時の特別控除を使うと駄目
但し、住宅を売却するにあたって、譲渡益(利益)が出る時には注意が必要です。
住宅売却時の利益には税金がかかります。
しかし、住宅の売却益にかかる税金を低く抑える制度として、「3,000万円の特別控除」があり、実際に不動産を売却したことのある方では、利用した方も多くいるでしょう。
こちらの「3,000万円の特別控除」を使用すると、その後、3年以内に購入する住宅に関して、住宅ローン控除が受けられなくなります。そのため、売却益に対する課税か、住宅ローン控除に対する還付か、どちらかを選択する必要があります。
もちろん、3,000万円の特別控除を受けずに住宅を売却すれば、住宅ローン控除を受けることも可能ですので、どちらが得かを判断して選択することになります。
<関連記事>
https://www.ozyouzumoney.online/article/453330337.html
借り換えに適した住宅ローン
住宅ローンをお得に利用するためには「住宅ローン控除」が大切ですが、さらに住宅ローンの借り換えを行うことも有効です。
住宅ローンを借り換えしても住宅ローン控除は継続して利用できます。
住宅ローンの借り換えには、金利や手数料を少しでも低く抑え、少しでもお得にすることが大切です。金利や手数料、そして手続き・審査の容易さなどから考えて、借り換えにおすすめの住宅ローンをご紹介します。
住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行は住宅ローン業界全体のなかでもトップクラスに金利が低いことで有名な住宅ローンです。特に、変動金利への借り換えなら他の銀行と比べて圧倒的に低い水準にあります。
また、住信SBIネット銀行では、全疾病保証に無料で加入できるため、怪我や病気などで就業不能となった場合には、保険が住宅ローン返済を行ってくれます。
★住信SBIネット銀行の住宅ローン
★業界トップクラスの低金利
★新規購入時の通期変動金利は0.32%(2023年5月現在)
★全疾病保障保険の特約を無料で利用できる
借入可能額(最大) | 1億円 |
---|---|
適用金利・手数料など | 変動金利0.32%(借り換え時 0.299%) ※所定の条件を満たした場合の通期変動金利となります※掲載金利は最大金利引下げ幅時の適用金利です。審査結果によっては、表示金利に年0.1%上乗せとなる場合があります。 |
所要時間 | 申込から融資実行まで1ヶ月程度 |
その他優遇など | 全疾病保障特約を無料で付加、一部繰上げ返済手数料無料 |
また、住信SBIネット銀行の住宅ローンを希望される方のうち、対面相談で借入したいという方にはSBIマネープラザがおすすめです。
SBIマネープラザ
SBIマネープラザは住信SBIネット銀行と同条件の住宅ローンを対面相談で借入できるサービスです。
なお、SBIマネープラザは店舗数が少ないため、事前予約が必須となります(予約は以下リンクから)。
三菱UFJ銀行(ネット受付専用)
住宅ローンの取り扱い件数、人気ランキングでは三菱UFJ銀行がトップに位置しています。
金利の低さや、信頼感、知名度の高さなどが三菱UFJ銀行の特徴です。さらに、3年固定金利などの短期固定金利は変動金利よりもお得な水準であり、借り換えにもおすすめです。
☆三菱UFJ銀行のネット専用住宅ローン
☆13年連続で日本で最も利用されている住宅ローン
☆変動金利 0.475%(2022年1月現在)
☆3年固定金利 0.34%、10年固定金利0.74%(2021年4月現在)
☆申込手続きなどはネットで完結
☆7大疾病保障付き住宅ローン ビッグ&セブン<Plus>も利用できます
借入可能額(最大) | 1億円 |
---|---|
適用金利・手数料など | 変動金利 0.475%、3年固定金利 0.39%、10年固定金利0.74%(2022年1月現在) |
その他優遇など | 7大疾病保障付き住宅ローン ビッグ&セブン<Plus> |
まとめ
住宅ローン控除は、自分の自宅としての資産を購入することで、税金の還付が受けられる大変お得な制度です。
個人が、支払う税金の額を減額できる制度は少なく、住宅ローン控除は、最大とも言える節税対策にもなります。
そして、住宅ローン控除の額は、借入する住宅ローンにも拠りますが、400万円~500万円にもなりますので、是非、上手く活用したいものですよね。
こちらの記事を参考に、使いこなしていただければと思います。
<関連記事>
>>住宅ローンを簡単・確実に比較する方法!!借り換えで最大の成果を生み出す裏ワザ
>>2020年 住宅ローンの借り換えに最適なおすすめ住宅ローンと銀行をご紹介
>>勤続年数が短くても住宅ローンは借入できる!!審査に通過するポイントとおすすめの住宅ローン
>>自宅を売却するときに税金はどれだけかかる?知っておきたいマイホームの基礎知識
<
p align=”left”>>>住宅ローンで5,000万円借入できる年収と返済金額・注意点