マンションや一戸建てなどの住宅購入を行う際に不動産業者と住宅ローンについて相談していると「提携ローンが利用できます」と言われることがあります。
提携ローンを利用した方が良いのか、自分自身でネット銀行など「金利が安くてお得」と言われる銀行を探した方が良いのか悩まれている方もいるでしょう。
できれば、少しでもお得な住宅ローンを利用したいものですが、「提携ローン」がどういったメリットのある住宅ローンなのかはあまり理解されていないようです。
今回は「提携ローン」がどういった住宅ローンなのか、加えてどちらを利用した方が良いのかについて解説します。
提携ローンとは?
住宅ローンにおいての提携ローンとは、住宅ローンを貸しだす銀行と、不動産業者が提携して取り組み、通常の銀行窓口で相談して利用できる住宅ローンと異なる手続き、条件で利用できる住宅ローンを指します。
提携ローンは実際、便利で利用しやすい面もたくさんあります。
まず提携ローンの特徴や押さえておきたいポイントを説明しておきましょう。
住宅ローンの手続きが楽になる
通常、住宅ローンを借入するためには、銀行の店舗や、WEB上から住宅ローンを相談、申込して、審査を受けるなどの手続きが必要になります。
こういった一連の住宅ローン手続きは、準備する書類も多く、さらに、銀行との交渉や、やりとりなども多いため、面倒に感じる方もいます。
さらに、住宅購入においては、住宅購入者(住宅ローン利用者)と不動産業者、住宅ローンを貸し出す銀行の3社で日程や段取りを合わせながら進めていかないといけないことも多くあります。
こんな時、3者を調整したり、橋渡しになるべきは住宅ローン利用者です。
しかし、住宅購入や住宅ローンに慣れていない利用者が調整役を担うのはなかなか難しいものであり、骨が折れます。そんな時に便利なのが「提携ローン」です。
提携ローンは銀行と不動産業者があらかじめ住宅ローンの利用方法や条件などを協議しており、また実際に住宅ローンを利用するにあたっての申込手続きや、やりとりなどを銀行と不動産業者が直接相談して進めていけるように決められています。
そのため、提携ローンを利用すれば、住宅ローン利用者(住宅購入者)は、申込書の記入や、本人しか取得できない最低限の必要書類の準備を行えば、残りの手続きや調整は不動産業者が代わりに行ってくれます。
そして、住宅ローン利用者の手間はほとんどかからず、忙しくて時間が取れない方や、住宅ローンのやりとりに自信がない方にも利用しやすくなっています。
審査に有利となる面もある
銀行が住宅ローン審査を行う場合、住宅ローン利用者が支払を行うことができるかという点(返済能力の評価)と、担保となる住宅の価値が住宅ローンの額に見合うか(担保評価)といった点から確認します。
この担保評価において提携ローンにはメリットがあります。
通常、提携ローンは銀行が「優良」と認めた不動産業者でのみ利用できる商品です。
そのため、銀行内部の審査では、提携ローン取り扱い業者が決める「販売価格」は適正な不動産価格であり、担保評価としてそのまま利用できるものと推測しています。
つまり、提携ローンでは「販売価格=担保評価」として認められるのです。
一方、通常の住宅ローン審査では、銀行が担保となる住宅を評価します。
その結果、販売価格>担保評価となることもあります。
住宅ローンは原則、担保評価額以内でしか借入できないため、担保評価が低くなると、販売価格の100%まで借入できないこともあり得ます。
金利などの条件交渉も不要
また、提携ローンにおいては住宅ローン利用者で金利などの条件交渉を行う必要もありません。
なぜなら、金利交渉や、審査などの条件交渉も不動産業者が代わりに行ってくれるためです。
また、提携ローンを取り扱う銀行によっては、窓口で相談して借入できる住宅ローンの金利条件よりも、提携ローンの方が有利ということもあります。
そのため、提携ローンを利用して、不動産業者に依頼しておけば、ある程度条件の良い住宅ローンを利用できることになります。
提携ローンにはデメリットもある
提携ローンは手続きが楽になり、金利条件を直接交渉する必要がなくなるというメリットがありますが、一方でデメリットもあります。
提携ローンを利用するのか、それ以外の住宅ローンを自分で探すのかを決める前に、提携ローンのデメリットについてもしっかりと確認しておく必要があります。
以下に、提携ローンのデメリットを整理しました。
選択できる銀行に制限がある
利用する不動産業者ごとによっても異なりますが、不動産業者と提携している住宅ローンには制限があります。
全ての銀行が不動産業者と提携しているわけではありません。
大手不動産会社(三井不動産、住友不動産など)であっても、メガバンクと呼ばれる都市銀行(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行など)や、信託銀行、大手地方銀行(横浜銀行など)が中心であり、そこにフラット35を加えて提携ローンとして紹介しています。
提携している金融機関の数が多い不動産業者でも10社前後と言ったところでしょう。
さらに、ここで注意したいのが、現在、低金利で人気の高いネット専業銀行(住信SBIネット銀行や楽天銀行など)は、こういった提携ローンに加わっていないケースがほとんどです。
都市銀行の住宅ローン商品も金利は低めですが、やはりネット専業銀行の金利と比較するとやや割高になってしまいます。
決められた提携ローン取り扱い銀行の中からしか選択できないのがデメリットです。
最優遇の金利が利用できる訳ではない
大手不動産会社経由で提携ローンを利用する場合に誤解する方が多いのですが、提携ローンを利用すれば、対象となる住宅ローン商品のなかで最も低い金利条件が利用できると考えている方がいます。
大手不動産業者と銀行が提携して用意している住宅ローンですから金利条件も良いものだと考えてしまうのも仕方ありません。
しかし、提携ローン=最優遇条件ではありません。
例えば、三菱UFJ銀行の窓口で住宅ローンを申込して、変動金利を利用する場合の最低金利は0.625%です(2021年3月時点)。これは提携ローンの場合も同様です。
しかし、三菱UFJ銀行の住宅ローンにWEB経由で申込する場合の最低金利は0.525%です。
さらに、3年固定の住宅ローンにWEBから申込すれば、適用金利は0.34%に下がります(2021年3月時点)。
つまり、提携ローンで申込する場合に比べ、WEB経由で、自分で申込する方が金利は0.1%以上も低下するのです。
銀行の住宅ローンはネット経由で申込するものが金利条件は低く、提携ローンはそれに次ぐ水準となることが多いのです。
▼三菱UFJ銀行のWEB申込限定ローン
☆三菱UFJ銀行のネット専用住宅ローン
☆13年連続で日本で最も利用されている住宅ローン
☆変動金利 0.475%(2022年1月現在)
☆3年固定金利 0.34%、10年固定金利0.74%(2021年4月現在)
☆申込手続きなどはネットで完結
☆7大疾病保障付き住宅ローン ビッグ&セブン<Plus>も利用できます
借入可能額(最大) | 1億円 |
---|---|
適用金利・手数料など | 変動金利 0.475%、3年固定金利 0.39%、10年固定金利0.74%(2022年1月現在) |
その他優遇など | 7大疾病保障付き住宅ローン ビッグ&セブン<Plus> |
WEB経由で申込しておいて、後から提携ローンに変更することはできません。
同様に提携ローンで申込しておいて、WEB申込の金利条件を適用してもらうこともできません。
大手都市銀行であっても、最も低い金利が利用できるのは「提携ローン」ではなく、WEBからご自身で申込する場合に設定されていることが多いようです。
提携ローンを申込して得られる金利条件が最も優遇された金利条件ではないことに注意しておく必要があります。
不動産業者は手続きを重視する
また、住宅ローンを借入する人は「金利」などの条件を重視する傾向にあります。
一方、不動産業者は「審査に通りやすい」、「契約や融資実行などの手続きが円滑に行いやすい」銀行を重視する傾向にあります。
これは住宅購入者と不動産業者で住宅ローンに対して求める優先順位が異なるせいです。
不動産業者は住宅ローン審査に通過できなければ住宅を販売できません。
また、数多くの住宅購入者の手続きを行いますので、連携が良く、手続きが行いやすい銀行の方が望ましいのです。
そのため、不動産業者に任せすぎると、金利条件の良い銀行ではなく、審査や手続きが行いやすい銀行を優先して進められてしまうことが多くあります。
提携ローンと自分で探すのはどちらが良い
それでは本記事のメインテーマである「住宅ローンは提携ローンと自分で探す方法とどちらが良いのか?」について確認していきましょう。
但し、提携ローンと自分で銀行に相談して探す方法で、全ての方に「絶対に良い」と言える答えがあるわけではありません。
これは住宅ローン利用者ごとの好みや状況によってもどちらを選べば良いかが異なるためです。
それでは住宅ローン利用者ごとのタイプ別にどちらを選ぶべきかを考えていきましょう。
住宅ローンの手続きが苦にならない方
もっとも重要なポイントですが、複数の銀行を比較して選択することや、住宅ローンの申込などの段取り、銀行との相談、その後の審査から契約などの手続きに関して、ご自身で対応することが苦にならないのなら提携ローンではなく、ご自身で最適な住宅ローンを探してWEBから申込するのが良いでしょう。
提携ローンの最大のメリットは不動産業者が代理で様々な手続きを行ってくれることです。
そのため、代理で行ってもらう必要がなければ、ネット専業銀行などを対象として広範囲の住宅ローン商品のなかから条件の良い住宅ローン見つけやすくなるでしょう。
なお、提携ローンを利用しない場合には、ご自身で対応しなければいけない手続きは増加しますが、そもそも提携ローンなら全く何もしなくて良いというものでもありません。
当然ですが、本人でしか取得できない資料(所得証明書や住民票、印鑑証明書など)はどちらを選んでも同様に準備する必要があります。
また、銀行に住宅ローンを申込する書類への記入も共通して必要ですし、契約も同様にご自身で行う必要があります。
一方、提携ローンを利用しなくても、住宅ローン申込のための不動産関係資料などは不動産業者が準備してくれます。
また、住宅ローンの審査に通過すれば、銀行との段取りや調整は不動産業者が直接連絡して行ってくれることもあります。
そのため、提携ローンでなくても手間暇がかからないこともあります。
一方、住宅ローンは条件よりも、少しでも手間暇をかけずに利用したいという方もいるでしょう。
仕事が忙しく、住宅ローンの検討や手続きに時間を割きたくないという方です。
また、住宅ローンの知識が乏しく、ご自身で探しても良い住宅ローンを見付けられる気がしないという方もいるでしょう。
こういった場合には提携ローンが良いこともあります。
なお、住宅ローンに対する知識に自信がないだけなら以下のようなサービスも活用できます。
こちらは住宅ローンのコンサルティングサービスであり、プロが利用すべき最適の住宅ローンを案内してくれるサービスです。
実際に契約に至った場合のみ費用が発生します。
▼住宅ローンのコンサルティングサービス
☆完全成功報酬型の住宅ローンコンサルティング
☆新規借入・借り換えのどちらにも対応
☆プロのアドバイスで最適な住宅ローン選び
▼住宅ローンの一括見積サービス
住宅ローンの金利条件に拘りたい
金利条件に徹底的にこだわりたいなら自分で住宅ローンを探すべきです。
住宅ローンは高額を長期間に渡って借入するものであり、わずかな金利差であっても、大きな支払額の差になることがあります。
仮に、提携ローンの金利と、ネット専業銀行のなかから選んだ住宅ローン金利では、0.1%の金利差があるとしましょう。
そして、住宅ローンとしては5,000万円を借入する場合を想定します。
この時、住宅ローンの利息は1年間だけを見ても、5万円の差が生まれることになります(≒5,000万円×0.1%)。
これが35年間もの長期間となれば、元金の減少ペースも大幅に異なることになり、支払総額は数百万円規模で違ってきます。
そのため、住宅ローンの支払い総額を減少させるのが目標なら、ご自身で複数の銀行を比較、分析して、申込される方が良いでしょう。
住宅ローン審査に自信がない
この場合、提携ローンと自分での住宅ローン探しを並行して行うのが良いでしょう。
審査に自信がない場合、金利条件の良い銀行に相談しながら、同時並行で審査に通りやすそうな住宅ローンにも相談しておくことが大切です。
つまり、少し多めの銀行に相談して、審査に通る銀行が無かったという状況を避ける必要があるのです。
そして、審査の通りやすさでは提携ローンにメリットがあります。
前述の通り、提携ローンでは「購入価格=担保評価額」となることが多く、担保評価の観点から有利になります。
しかし、審査に対するメリットはそれだけではありません。
提携ローンでは銀行との交渉などは不動産業者の担当者が行ってくれます。
銀行にとって不動産業者は住宅ローン利用者を紹介してくれる大のお得意さまです。
そのため、不動産業者との関係を維持して、少しでも多くの紹介を得たいと考えています。
しかし、不動産業者は審査が厳しく、なかなか通してくれない銀行を敬遠する傾向にあります。
そのため、銀行としては不動産業者から嫌われないように審査でも精一杯対応してくれるのです。
一方、ご自身で銀行などに住宅ローンを申込した場合、銀行にとっては「一見さん」になります。
銀行としては、無理に審査で努力しなくても良い相手と思われてしまい、審査も遠慮なく、厳しく対応される可能性があります。
勤務先の提携ローンがあることも
なお、ここまでは銀行が不動産業者と協力して取り扱う提携ローンについて解説しました。
しかし、提携ローンは不動産業者だけのものではありません。
勤務先と銀行との間の提携ローンもあります。
勤務先の提携ローンのことは職域提携ローンなどとも呼ばれます。
勤務先が上場企業などの大企業である場合や、地域の主要企業、公的企業、公務員などである場合、勤務先の提携ローンが用意されていることがあります。
また、そこまでではなくても、お勤め先で親密な取引がある銀行があれば提携ローンがあることもあります。
銀行としても、大企業にお勤めの方や公務員などは住宅ローンで是非とも囲い込みたい優良顧客です。
また、企業としても提携ローンがあることは従業員の福利厚生の一環となります。
そのため、銀行の法人融資などで取引のある優良企業とは、住宅ローンで提携していることが多々あるのです。
もし、公務員の方や、大企業にお勤めの方であれば、ご自身の勤務先で提携ローンがないかを確認してみるのも良いでしょう。
提携ローンの有無は勤務先の経理や、総務などで確認できることが多いので、一度相談してみるのも良いでしょう。
おすすめの住宅ローン
住宅ローンを借入する際におすすめの住宅ローンのご紹介です。既に借入後の方も「借り換え」によって支払額を大幅に下げられる可能性があります。
三菱UFJ銀行のネット住宅ローン
三菱UFJ銀行住宅ローンのチェックポイント
- 大手都市銀行である三菱UFJ銀行の住宅ローン
- 店舗数が多いので借入後の諸届け・相談も安心
- ネット申込専用商品であり店頭よりも有利な金利が利用できる
- 13年連続、日本国内で最も選ばれている人気NO1の住宅ローン
住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行住宅ローンのチェックポイント
- 金利の低さでネット銀行No1の人気住宅ローン
- 全疾病保証保険に無料で加入できるので安心・お得
- 住宅ローン相談から審査、契約までWEBや郵送で完結できて来店不要
SBIマネープラザ
SBIマネープラザのチェックポイント
- 住信SBIネット銀行の住宅ローンが対面相談で借入できる
- 金利条件は住信SBIネット銀行のネット専用住宅ローンと同じ
- 全疾病保障の無料加入ももちろん付加
- SBIマネープラザは対面相談で借入できる住宅ローン
- 住宅ローンは相談しながら借入したい方に最適
★SBIマネープラザの住宅ローンサービス
★完全予約制ですのでまずはご予約ください
★ネット銀行の低金利を対面相談で利用可能
住信SBIネット銀行と同水準の低金利
全疾病保障特約を無料で利用できる
借入可能額(最大) | 2億円 |
---|---|
適用金利・手数料など | 変動金利 0.41%、10年固定金利 0.53% (2021年7月時点) |
所要時間 | 申込から融資実行まで1ヶ月程度 |
その他優遇など | 団信・全疾病保障付(金利上乗せなし) |
au住宅ローン(じぶん銀行)
*2020年6月現在のau住宅ローンの金利
au住宅ローン(じぶん銀行)のチェックポイント
- じぶん銀行とは三菱UFJ銀行とauを運営するKDDIが共同で設立したネット銀行
- 新興のネット銀行ならではの低金利
- がんになると住宅ローンが50%免除になる特約付き団体信用生命保険が無料
- auユーザー以外の一般の方もau住宅ローンを利用可能
- 2020年6月現在、変動金利は0.410%、10年固定金利でも0.55%で借入可能
☆じぶん銀行のau住宅ローン
☆業界最低水準の住宅ローン金利
☆がん50%保障団信が無料で利用可能
☆auユーザー以外の方でもお申込みできます
*じぶん銀行は三菱UFJ銀行とauの共同設立のネット銀行
借入可能額(最大) | 2億円 |
---|---|
適用金利・手数料など | 変動金利 0.31%、10年固定金利 0.465%(2022年1月時点・au金利優遇割適用時) |
所要時間 | 申込から融資実行まで1ヶ月程度 |
その他優遇など | 一般団信・がん50%保障団信の保険料が無料、一部繰上返済手数料が無料 |
まとめ
住宅ローンには「提携ローン」と呼ばれるものがあります。
提携ローンとは不動産会社と銀行が提携して取り組む住宅ローンです。
提携ローンを利用すれば、住宅ローンの申込や融資実行などの手続きにおいて、不動産会社が住宅ローン利用者を代理して手続きを行ってくれるため、利用者は手間暇を削減して利用できるメリットがあります。
一方、提携ローンを利用したからと言って、金利条件などが最も良くなるとは限りません。
住宅ローンはご自身でネット銀行などを比較、検討して探した方が金利は低くなる可能性が高くなります。
手間暇を惜しまないのなら、ご自身で探してみるのが良いでしょう。
住宅ローンの関連記事