住宅ローンを組んで自宅を購入した後、家族構成や収入の変化、家族の病気などで現在の住宅ローンの返済が難しくなってしまうこともあります。
住宅ローンの返済が困難になってしまった場合、支払うために無理な生活を続けたり、何も対処せずに住宅ローンを延滞したままにしておくことは危険です。
こんな時には自宅の売却も検討してみる必要があります。
ここでは、住宅ローンで購入した自宅を少しでも高く売却して住宅ローン問題を解決する方法などを解説します。
今回ご紹介する内容
- 住宅ローンが払えなくなるとどうなるのか?
- 自宅を強制的に売却されることもあるのか?
- 任意売却と競売のメリット・デメリット
- 自宅を少しでも高く売る方法
- 住宅ローンのオーバーローンとは?
住宅ローンが払えないとどうなる?
収入の低下や、家族構成・生活スタイルの変化による出費の増加などで住宅ローン返済が難しくなってしまうことは少なからずあります。
こんな時には問題を先送りせずに、自宅、及び住宅ローンをどうするかを考える必要があります。
返済が苦しい状態で無理に払い続けたり、住宅ローンの支払いを遅延したままにしておくと事態が悪化して悲惨な状況になってしまうこともあります。
最初に、住宅ローンの返済が出来ないままにしておくとどういった問題が起こるのかを確認しておきましょう。
延滞開始するとどうなる?
住宅ローンの返済が苦しくなって、本来返済すべき日(約定弁済日)に入金ができないことを「延滞」や「滞納」などと呼びます。
住宅ローン返済を滞納し始めると銀行の担当者から入金を催促する電話がかかってきます。
初めての延滞であればそれ程大きな問題にはならず、電話に出て「いつまでに入金をするのか」を約束すれば電話は終了します。
銀行にとっても、借入人のミスによる入金漏れなどで住宅ローンが延滞になってしまう方は多いため、初めて延滞する方や、1ヶ月以内の入金遅れであれば問題にはしないことが多いのです。
しかし、この住宅ローン返済の遅延も、2ヶ月、3ヶ月と蓄積されてしまうと状況が変わってしまいます。
電話で約束した支払期日に入金が出来ず、延滞期間が2ヶ月を超えてくると銀行からは電話だけでなく、催促状や督促状といった手紙が送られてきます。
こういった手紙には、「●●までに延滞分の金額を入金しないと、期限の利益を喪失することがある」と記載されています。
電話で催促しても状況が変わらないなら次は書面で催促するというわけです。
しかし、それでも延滞が解消されない場合には、さらに次の段階に移行します。
延滞していると銀行からの督促が行われる
住宅ローンを3ヶ月以上延滞すると期限の利益が喪失される
延滞が3ヶ月を超えた場合
住宅ローンの延滞期間が3ヶ月を超えてしまうと、これまでの電話や手紙による催促から状況が変化してきます。
その1つが「期限の利益喪失」です。
期限の利益とは、住宅ローンの返済は毎月の約定弁済通りに支払っていれば良く、急に残元金の一括返済を求められない権利のことを指します。
住宅ローンの借入時には借入期間を最長35年間の範囲内で契約し、その期間で徐々に返済していくのが通常であり、この徐々に返済していく権利が「期限の利益」にあたります。
そして、期限の利益を喪失するとは、こういった権利が奪われ、住宅ローンの残債全てをすぐに返済するように求められてしまうことを意味します。
住宅ローンの延滞開始から3ヶ月以上が経過すると、銀行から期限の利益を喪失される可能性がでてきます。
それまでに送付されてきた催促状・督促状などと同様に「期限の利益喪失通知」と呼ばれる手紙が自宅に送付されてくるのですが、内容が少し異なります。
期限の利益喪失通知には「期日までに延滞分を支払ってください。入金が無い場合は期限の利益を喪失します」と記載されており、記載された期日までに延滞を解消できないと期限の利益を喪失されてしまいます。
期限の利益が喪失されると、その時点で残っている住宅ローン残高を一括で返済することを求める通知が送付されてきます。
期限の利益喪失前は延滞している数ヶ月分のみを催促をされるだけですが、期限の利益喪失後は住宅ローンの借入額全額の返済を求められるというのが違いになります。
借金が膨らんでしまう
さらに、期限の利益が喪失されると住宅ローンに対して発生する利息が増加してしまいます。
住宅ローンを延滞していると、延滞している元本に対して、遅延損害金、もしくは延滞利息とよばれる利息が付加されます。
通常であれば、住宅ローンの利息は0.5%~1.0%程度です(2021年現在)。
しかし、延滞している元金に対して発生する遅延損害金は14.0%~14.6%にもなります。
そのため、10倍以上もの利息が発生してしまうのです。
さらに、期限の利益を喪失されると、数ヶ月分の延滞だけでなく、借入残高全てが延滞していることになりますので、借入残高全てに対して遅延損害金が発生します。
仮に、住宅ローン残高が3,000万円であったとすれば、1ヶ月で37万円もの遅延損害金が発生してしまいます(≒3,000万円×14.6%÷12ヶ月)。
毎月の約定弁済額すら支払えなかった状態にも関わらず、期限の利益を喪失され、遅延損害金まで発生してしまうと返済できる見込みはさらに低くなってしまいます。
住宅ローンを返済するどころか、毎月発生する遅延損害金額が増加していくことになるため、返済すべき借金は膨れ上がっていきます。
期限の利益が喪失されると借金は大きく膨らむ
保証会社が代位弁済
住宅ローンの延滞期間が4ヶ月~6ヶ月となって期限の利益喪失が行われた後には次は保証会社による代位弁済が行われます。
保証会社というのは銀行が住宅ローンを融資する際に、銀行に対して借入人の支払を連帯保証している会社のことです。
保証会社の存在を意識していなかった方もいるかもしれませんが、住宅ローンの借入時に保証料として、借入額の2%程度を支払っていれば保証会社は存在しています。
住宅ローンの延滞期間が4~6ヶ月になってくると、この保証会社が銀行に対して、借入人の代わりに住宅ローンの残債を一括で返済します。
そして、保証会社が銀行に対して借入人の代わりに返済する保証履行のことを「代位弁済」と言います。
しかし、保証会社が代わりに支払う(=代位弁済)と言っても、それで借入人の住宅ローンの返済義務がなくなるわけではありません。
借入人にとって代位弁済後は返済相手が銀行から保証会社に変わるだけです。
保証会社は銀行に対して支払った保証履行額をそのまま住宅ローンの借入人に対して請求します。借入人も保証会社に対して返済する義務を負います。
住宅ローンの代位弁済とは?
代位弁済されても借金はなくならない
競売が行われる
返済相手が銀行から保証会社に変わると、借入人に対する請求方法も大きく変化します。
銀行が延滞者に請求する方法は、電話や手紙による催促がメインであり、その他の請求方法はほとんどないでしょう。
しかし、保証会社が代位弁済を行った後は、様々な手続きが行われます。
その1つが、住宅の強制的な売却処分です。
保証会社が代位弁済した後、借入人から任意弁済で返済が行われる目途が立たないと保証会社は住宅の強制的な売却を始めます。
これを「競売」と呼びます。
競売は銀行などの債権者の手続きのみで行われるため、住宅の所有者(住宅ローン借入人)が拒否しても競売手続きを止めることはできません。
債権者である保証会社の手続きのみで住宅は売却されてしまい、売却が完了すれば住宅ローン借入人は立ち退かざるを得なくなります。
競売が始まってしまうと住宅所有者や、住宅ローンの借入人などの承諾や同意を必要とせず売却されてしまいます。
こうなってしまうと住宅を維持したいと思っても、住宅ローンを全額返済するしか方法はなく、自宅を売却せずに残すということは難しくなってしまいます。
競売よりも任意売却が良い
住宅ローンの返済が苦しくなって延滞を続けたまま放置していると競売によって自宅は売却されてしまいます。
競売は住宅ローンの貸し手である銀行が法律上の手続きによって行う不動産の売却あって、住宅ローンの借入人・所有者の同意や協力を必要とせずに行う強制売却です。
一方、住宅ローンの借入人が自主的に自宅を売却して、売却代金を住宅ローンの返済にあてる方法を任意売却と呼びます。
銀行が強制的に売却する方法が「競売」で、住宅ローンの借入人が自主的に売却する方法が「任意売却」になります。
そして、住宅ローンの返済が困難になってしまい、いずれは住宅を売却せざるを得ないことが判明した場合、競売よりも任意売却で進める方が良い結果が期待できますので、極力任意売却を行うことをおすすめします。以降では、任意売却が望ましい理由を解説します。
売却後に債務が残りにくい
良くある誤解の1つに、住宅を売却すればその後は住宅ローンを返済する必要がなくなるというものがあります。
しかし、これは誤解です。
競売であっても、任意売却であっても、住宅を売却して得られる代金を住宅ローンの返済に充てた後、それでも完済できなかった場合には、残った借金を返済し続ける必要があります。
例え、住宅ローンの借入目的であった自宅を売却したからと言って、住宅ローンが消えて無くなるわけではありません。
住宅の売却代金で住宅ローンを完済できなかった場合、賃貸などに引っ越して、あらたに住居費用を負担するうえに、さらに残った借金を返済しなければならないため、住宅売却後の資金負担もかなり重くなってしまうことが懸念されます。
こういった事態を避けるために大切なのは、当然ながら「住宅売却後に借金を残さない」ことです。
そのために、おさえておきたいポイントは2つであり、「出来るだけ住宅を高く売ること」と「借金を膨らませないこと」になります。
この2つのポイントを詳しく解説していきましょう。
任意売却の方が売却金額は高くなる
住宅を高く売れれば、借金を残さない可能性が高くなるのはもちろん、住宅ローンの残債を上回る金額で売却できれば、住宅ローン返済後にお金が手元に残る可能性もあります。
そのため、住宅を出来るだけ高く売却したいと思うのは当然のことです。
そして、住宅を高く売るためには、競売よりも任意売却の方が良いのです。
競売は住宅ローン借入人の協力を前提とせず、銀行などの債権者が強制的に進めてしまう売却方法です。
そのため、自宅の購入を検討する方(購入者)にとって、必要な不動産情報が得られないままに売却の手続きが進められます。
通常の任意売却であれば、対象となる住宅の内部を見学(内覧)したり、住宅内部の設備の状況などをチェックしたうえで購入可否を決定します。
しかし、競売では、購入希望者はこういったチェックは出来ず、裁判所が用意した住宅資料を参考として購入可否を決定するため、後から予想できなかった瑕疵が発見されるなどの問題が起こりやすくなります。
さらに、競売は裁判所が行う売却手続きであり、競売後の売却代金は債権者である銀行への返済に充てられます。
そのため、購入者が後から瑕疵を発見したとしても、そのまま受け入れるしかありません。
そのため、事前の確認が不十分となる点や、瑕疵がある可能性などを考慮して競売で売却される時の価格は、任意売却の価格よりも低くなってしまうケースが多いのです。
一概には言えませんが、任意売却時の価格に対して、7~8割程度の価格になるとも言われます。
競売で手続きが進んでしまうと、住宅ローンの借入人・住宅所有者は売却価格が低すぎることなどを理由として競売の中止を要求することもできません。
競売によって決定した価格を受け入れるしかなく、その後に債務が残れば返済を続けなくてはいけなくなるのです。
任意売却の方が高く売れることが多い
借金を膨らませない
住宅売却後に住宅ローンを残さないためのポイントの2つ目が、住宅ローンの借金を膨らませないことです。
いくら住宅を高い金額で売却できても、住宅ローンの残債が膨らみすぎていては借金を完済できなくなります。
この時、気を付けておきたいのは、前述の「期限の利益喪失」です。
期限の利益が喪失されると、その後は住宅ローンの残元本全額に対して、14.0%~14.6%程度の遅延損害金が課されるため、借金が膨らみ続けてしまいます。
仮に、住宅ローンの残元本が3,000万円であれば、1年間で430万円もの遅延損害金が加算されます(≒3,000万円×14.6%)。
こういった遅延損害金の発生を回避するためには、住宅ローンの返済が困難であると判明した時点で任意売却を検討することが非常に大切です。
銀行としても、約定弁済ができないままに借入人が特段の対応をせずに放置していると期限の利益喪失を行いますが、借入人から説明を行ったうえで、任意売却を進めていることが解れば対応を待ってもらえることもあります。
そのため、住宅ローンの返済が難しいと解った時点で、住宅の任意売却を考えることが非常に重要となります。
★住信SBIネット銀行の住宅ローン
★業界トップクラスの低金利
★新規購入時の通期変動金利は0.32%(2023年5月現在)
★全疾病保障保険の特約を無料で利用できる
借入可能額(最大) | 1億円 |
---|---|
適用金利・手数料など | 変動金利0.32%(借り換え時 0.299%) ※所定の条件を満たした場合の通期変動金利となります※掲載金利は最大金利引下げ幅時の適用金利です。審査結果によっては、表示金利に年0.1%上乗せとなる場合があります。 |
所要時間 | 申込から融資実行まで1ヶ月程度 |
その他優遇など | 全疾病保障特約を無料で付加、一部繰上げ返済手数料無料 |
ブラックリストに記載される
競売が行われることの問題点の2つ目はブラックリストに載ってしまうことです。
ブラックリストとは、金融機関が融資審査に必ずと言って良いほど利用する個人信用情報に「事故情報」、もしくは「異動情報」有りと登録された状態のことを指します。
一度、ブラックリストに登録されていると、その後は新規の借入がほぼ不可能になってしまいます。
ブラックリストに事故情報として登録される時期は、競売というよりも、借金返済の延滞が2~3ヶ月を超え、期限の利益を喪失されるタイミングです。
一度ブラックリストに記載されると、その後は5~7年ほどの長期間に渡って履歴が残ります。
ブラックリストになると、その後収支が改善しても再度住宅ローンを借入することは出来なくなりますし、加えて、クレジットカードなどを作ることさえ難しくなります。
ブラックリストになることを避けるためには、返済が困難と判明した後、延滞が長期化する前に任意売却を進めていくことが大切になります。
借金から早期に解放される
住宅ローンの返済が困難になってしまった時、任意売却が望ましい理由として借金問題から素早く解放される点があげられます。
住宅ローンを延滞していると、前述の通り、督促期間の後に、期限の利益喪失、保証会社の代位弁済、競売と手続きが進み、競売の終了までには、1年~1年半程度の期間がかかります。
この間、借金の催促など非常にストレスのかかる生活を送ることになってしまいます。
その辛い期間を終えた後も、競売の場合には、自宅は売却され、借金だけが残ってしまうという危険性もあります。
任意売却であれば、早期に数ヶ月程度で手続きを終えることも可能ですので、借金問題から早期に解放されます。
出来るだけ高く売却する方法
自宅の売却後、住宅ローンの借金を残さず、少しでもお金を残したいと思うなら自宅の売却価格を高くすることが大切です。
少しでも高く売却するためには競売ではなく、任意売却を選択することが大切ですが、ポイントはそれだけではありません。
ここでは、自宅の売却価格を高くするための売却のポイントについて解説しておきましょう。
不動産会社の無料査定サービスを活用
住宅を少しでも高く売却するために活用したいのが、大手不動産会社が行っている無料査定サービスを活用することです。
住宅を売却する場合、一般的には近隣の不動産会社に売却の仲介をお願いして、購入希望者を探してもらう必要があります。
その際に、いくらの金額で売りたいのかという「売却希望価格」、もしくは「販売価格」を決めて、販売活動を行ってもらいます。
この時に決める売却希望価格は近隣相場や、成約に至るまでの希望期間、対象地域の需要など、様々な要因を考慮して決定することになるため絶対的な正解があるわけではありません。
また、仲介を依頼する不動産会社によっては、早く成果につなげたいために、出来るだけ安い金額で売りにだすように誘導する不動産会社も存在します。
そのため、少しでも高く売りたいと思っている所有者の希望が無視されてしまうこともあるでしょう。
そういった事態を避けるために大切なのは、自宅を売却する所有者自身が、事前にご自宅の適切な売却価格や、相場を知っておくことが大切です。
その適正な売却価格・相場を知っておくために有効なのが、不動産会社が行っている無料の査定サービスを活用することです。
大手不動産会社のなかには、WEBからの申込で対象となる自宅の査定を行ってくれるサービスを行っている会社が存在します。
依頼する際には、住宅の所在地や広さ、築年数、間取り(2LDKなど)といった項目を入力すれば、直接店舗に来店することなく、WEB上やメールのやりとりだけで査定を行ってくれるものもあります。
こういった無料査定を活用して、2~3社程度の自宅の不動産業者の査定を行っておくのが理想です。
複数の査定を比較することで、偏りや誤りの少ない適正な売却可能価格を知ることができ、少しでも高く売るための対応を取ることができます。
▼無料査定サービスのおすすめ
高く売ってくれる不動産会社を選ぶ
住宅の査定を集めた後に行うべきは、売却を依頼する不動産会社を選ぶことです。
適正な売却価格を知っても、依頼する不動産会社の選び方が悪くては、自宅を高値で売却することはできません。
不動産会社を選ぶ際、各不動産会社の査定額や、売却価格の提案内容を見て決めることになりますが、その際に注目したいポイントを整理しておきます。
査定額の根拠を確認する
不動産の仲介を相談すると、各不動産会社は売却希望価格に関する査定を行ってくれます。
その時、ついつい高い査定を出して、高額の販売価格を提案してくれる不動産会社を選びがちです。
しかし、こういった査定価格だけを鵜呑みにするのは良い判断ではありません。
各不動産会社に対しては、査定価格や、売却価格の根拠をしっかりと確認する必要があります。
不動産会社によっては、仲介の契約を取ることだけを目的として、妥当性のない高額の売却金額を提案しておいて、後から少しずつ売却価格を下げていくことを考えている会社も存在します。
こういった不動産会社を選択してしまっては、売却までに必要以上の時間がかかってしまうこともあります。
さらに、本来の営業力が不足しているにもかかわらず、無理をして契約を取ろうとする不動産会社だと、高く売るどころか、結果的に低い金額に下げて売らざるを得ないということもあります。
売却実績を確認する
相談する不動産会社に対して、依頼するご自宅近隣や、同じようなタイプの住宅の売却実績を確認しておきましょう。
各不動産会社には得意とする地域や、物件種別というものが存在します。
不動会社と一括りで言っても、賃貸をメインで行っている不動産会社もありますし、全国展開している不動産会社もあれば、地域特化で営業している不動産会社もあります。
また、住宅用の戸建てやマンションに強い不動産会社もあれば、そうでない不動産会社もあります。
売却を依頼するには、もちろん、対象となる地域で住宅用物件の売却に実績が豊富な不動産会社を探す必要があります。
こういった不動産会社を探すためには、対象地域で、自宅と同種の不動産に対する販売実績を確認するのが良いでしょう。
マンションであれば、同じマンション内の住宅を売却したことがあるかを確認してみるのも良いでしょう。
担当営業マンが信頼できるか
いくら実績豊富な不動産会社であっても、担当する営業マンの能力が低ければ良い結果を得ることは難しくなります。
住宅を売る側として、不動産の売却に慣れていないという方は多いでしょう。
こういった時に、営業マンに対して不明点などを細かく質問できて、相談できるかどうかは重要です。
さらに、不動産会社の営業マンから、住宅を高く、早期に売却するために有効な提案をしてくれるかどうかも重要です。
そのためには、不動産会社の営業マンと相談してみて感じる相性も重要ですし、実際に相談、質問した内容に対して、誠実に対応してくれる方かどうかが大切なポイントになります。
相談に対して、曖昧な回答をしたり、適当にあしらうような態度を示すなど、信頼できない営業マンに仲介をお願いすべきではありません。
一般媒介契約を活用
住宅を売却するための仲介を不動産会社に依頼する場合、「一般媒介契約」、「専属専任媒介契約」、「専任媒介契約」の3種類の契約方法のいずれかを選択することになります。
このうち、住宅を出来るだけ高く売却するためには「一般媒介契約」を選択するのが一般的です。
まず、それぞれの契約内容の違いについて確認しておきましょう。
専属専任媒介契約
特定の不動産会社1社にのみ仲介を依頼する契約であり、専属専任媒介契約の場合、他の不動産会社に重複して依頼することができません。
売却を希望する住宅ローン利用者(不動産所有者)が、自分で購入希望者を見つけて売却することもできません。
専任媒介契約
専属専任媒介契約と同様に、特定の不動産会社とのみ契約するものであり、他の不動産会社に重ねて売却の依頼ができない契約です。
しかし、住宅ローン利用者(不動産所有者)が自分で見つけた購入希望者に対して売却することは可能です。
一般媒介契約
複数の不動産会社に対して、同時に売却の仲介を依頼することができる契約です。
不動産会社からすれば、せっかくの仲介契約ですので、自分達で確実に購入希望者を見つけ、仲介手数料を得たいと希望しています。
そのため、不動産会社は自社だけで仲介契約を締結する「専属専任媒介契約」や、「専任媒介契約」を行うように誘導します。
しかし、こういった専任媒介契約はおすすめできません。
契約した不動産会社の営業能力が低いと、売却の話が進むのが遅くなってしまう可能性があります。
さらに、不動産会社が別に優先したい売却案件を抱えている場合、他社に仲介案件を奪われる危険性の少ない専任媒介契約は後回しにされてしまうこともあり、売却自体が塩漬けになってしまう可能性もあるためです。
売却に出しながら、すぐに購入希望者が現れず、時間がかかっていると「人気の無い物件」、「問題のある物件」という評判が立つ危険性もあります。
一方、一般媒介契約であれば、不動産会社はそれぞれが競争して早期に売却相手を探そうとします。
売却相手を見つけられなかった不動産会社は仲介手数料を得ることができず、収入にならないためです。
そのため、一般媒介契約を行った方が、不動産会社としても他社に奪われてしまわないように努力することが期待できるのです。
住宅ローン利用者として、複数の不動産会社と契約したからと言って、手数料などが余分にかかるということはありません。
不動産会社に支払う手数料は、売却が成立した時に支払う仲介手数料のみであり、売却に至らなかった不動産会社に支払う手数料は必要ありません。
そのため、一般媒介契約により、3~4社程度の不動産会社に依頼するのがおすすめとなります。
適正水準を超えた金額を希望しない
売却対象となる住宅に対して複数の査定を行ってもらい、さらに複数の不動産業者と仲介契約を相談した結果、出された「売却価格」よりもさらに高い売却金額にこだわることはおすすめできません。
住宅を売却する場合、少しでも住宅ローンを減らし、手元にお金を残すためにも、売却価格を高くすることは大切です。
しかし、適正水準を大幅に上回った売却金額にこだわりすぎると、売却に出しても購入希望者が見つからずに、時間だけが長くかかってしまう可能性が高くなります。
売却に出して、長期間が経過すれば、住宅ローンを貸している銀行が本気で売る気がないのではないかと疑い始め、一旦ストップしていた期限の利益喪失や代位弁済を再開してしまう原因になります。
さらに、中古住宅を売り出した後、長期間に渡って成約せずに残っていると、近隣の不動産会社などから悪評が立ったり、本気で売る気のない物件として、相手にされにくくなるという懸念もあります。
そのため、住宅を売却する場合には、「適正価格の範囲内において出来るだけ高く売る」意識が重要となります。
適正価格を上回る水準を希望しても成果につながらない可能性が高くなってしまうのです。
内覧希望者に良く見せるポイント
住宅を適正な価格で売却に出すと、次第に内覧希望の連絡が入るようになります。
住宅は購入を考えている見込み者が内覧を行い、納得した場合に購入を決意することになります。
そのため、内覧を行う方が「買いたいと思ってくれる不動産」であることが非常に大切です。
荷物を減らしスッキリさせる
居住中の住宅に対して内覧が行われる場合、荷物を減らし、スッキリとした印象を持ってもらうように気を付けたいところです。
居住中のため、減らせる荷物に限界はありますが、実家やトランクルームに荷物を預けるなどの対応も考えるのが良いでしょう。
内覧を行う方にとって、部屋を広く感じるのか狭く感じるのかは重要な問題です。
さらに、居住中の方の使用状況が、内覧を行った購入後の部屋の使用方法のイメージにつながることもあります。
そのため、荷物を少なくして部屋をスッキリさせ、内覧者が思っていたよりも部屋が広いと感じるように準備しておくのが大切です。
荷物が少なく、すっきりと小奇麗に整えられた部屋は、内覧した方が購入後の明るい生活をイメージしやすくなる効果が期待できます。
明るく見える工夫
内覧希望者に室内を明るく見せる工夫も大切です。
内覧に来る時間帯や、天候によって、室内が暗くなってしまうこともあるでしょう。
また、住宅によっては、そもそも日当たりがいまいちということも考えられます。
しかし、内覧時に室内が暗いと、良くないイメージを持たれがちです。
照明に対する工夫だけでも室内を明るくし、好印象を与えるように対応することも可能です。
昼光色(すっきりと明るいタイプ)や、昼白色(自然な光のイメージ)の電球を活用して、室内を明るく感じるように配慮するのが良いでしょう。
整理整頓を行っておく
内覧者が来る前には最低限の掃除や整理は行っておきましょう。
住宅の購入を考えている方にとって、現在の所有者がどのように住宅を利用していたかも重要な判断材料になります。
購入後、居住前にクリーニングや掃除を行うとは言っても、前所有者の手入れが不十分で汚れが目立つ部屋だと、あまり住みたいとは思えなくなってしまいます。
また、荷物が散らかっていたりする部屋というのも、内覧する方に悪い印象を与えてしまいます。
内覧前には最低限の掃除や整理整頓を行って綺麗にしておきたいものです。
オーバーローンとなる場合の対応
住宅ローンが残っている自宅を任意売却する場合、売却価額によって住宅ローンを完済できるのか、売却代金だけで住宅ローンを完済できないのかは重要な問題となります。
売却代金によって住宅ローンを完済できるのなら、特に問題となることは起こらないでしょう。
住宅ローンを貸している銀行としても、任意売却を拒否する理由はありません。
一方、売却代金を上回る住宅ローンが残っている場合には注意が必要です。
こういった売却代金を住宅ローンが上回る状態のことを「オーバーローン」と言います。
オーバーローンの場合、銀行としては、売却代金だけでは住宅ローンが完済されないことになり、任意売却に応じると、無担保の住宅ローンが残ってしまうことになります。
そうなると、銀行としては融資した住宅ローンを全額回収できないリスクが高くなり、保全上の問題が発生します。
そのため、住宅ローンを完済できない場合には任意売却を希望しても、銀行から拒否されてしまうケースがあります。
売却代金以外の預貯金や、親族からの支援、他の借入などで、売却代金を持って不足する額を返済できるのなら良いですが、その資金もない場合には、銀行と任意売却後の返済方法を良く相談する必要があります。
銀行が返済方法に納得すれば任意売却に応じてもらえる可能性もあります。
住宅ローンの関連記事
まとめ
住宅ローンは長期間に渡って大きな金額を借入するため、なかには借入後の期間で返済が困難になってしまうケースもあります。
こんな時、せっかく購入した住宅を守りたいからと、返済が難しいままに問題の解決を後回しにしていると事態は悪化してしまいます。
延滞利息や遅延損害金といったものが膨らんだ挙句、住宅は強制的に売却されてしまい、膨らんだ借金だけが残るという最悪のケースも少なくありません。
そのため、住宅ローンの返済が難しいのであれば、自主的に自宅を売却することも考える必要があります(任意売却)。
今回は任意売却で自宅を高く売るための方法について解説しました。こちらでご紹介したポイントを活用し、少しでも自宅を高く売却するように取り組んでみてはいかがでしょうか。
住宅ローンの関連記事
住宅ローンで5000万円を借入借入したときの返済額と借入できる年収