設備投資や、運転資金、採用・育成など、事業を維持・成長させていくにはお金がかかります。今回は、そんなお金に関して、経営者に知っておいていただきたい情報になります。お金が必要な時は、「借入」しかないと思っている経営者は損するかもしれません。
日本には、中小企業や、個人事業主などを保護・育成するための「補助金」、「助成金」がたくさん用意されています。補助金・助成金を上手に活用すれば、費用の一部を政府が負担してくれます。こんな補助金・助成金を活用しないのは損と言えます。
役に立つ補助金・助成金と活用方法をご紹介します。
補助金・助成金とは?
最初に、「そもそも補助金・助成金ってなに?」というところからご説明しましょう。補助金・助成金を知らない方からすれば、政府が、事業に必要な費用を負担してくれると言われても、「本当に?」と疑問に思いますよね。
補助金・助成金とは事業主が特定の条件を満たすと、行政などの公的な機関から受け取れるお金のことです。政府は、経営基盤が弱くなりがちな中小企業や、個人事業主を保護する方針です。そのため、特定の条件を満たした中小企業・個人事業主を支援(補助・助成)するために支給してくれるお金が補助金や助成金です。
補助金・助成金のポイント
補助金・助成金には、以下の4つのポイントがあります。
補助金・助成金を理解するうえで、この4つのポイントからご説明していきましょう。
①様々な目的と仕組みがある
補助金・助成金は、国の政策に応じて募集されます。そのため、補助金・助成金には政策毎に色々な種類があるということがポイントです。たくさんある「補助金・助成金」から、各企業や個人事業主が利用できる補助金・助成金を見つけて申請することになります。
実際にある補助金や助成金としては、中小企業や個人事業主が従業員の採用や、研修を実施したり、設備投資の実施、新規事業を開始するといった目的に活用できるものなどがあります。
②事業全部または一部の費用が対象
補助金・助成金で負担してくれる費用は、各補助金・助成金の制度毎に異なります。事業全部となる場合もあれば、一部となることもあります。補助対象となる経費・補助の割合・上限額は、制度毎に異なりますので、良く確認する必要があります。
③審査が必要
補助金・助成金を受けるためには、「事前の審査」が必要です。
政府からお金がもらえる「補助金・助成金」ですので、人気も高く、制度毎に希望者もたくさんいます。補助金・助成金には、「予算」がありますので、希望者全員に支給できるわけではありません。
希望者から「申請」を受け、より国の政策に合致した方を選抜したうえで、補助金・助成金の対象者を選定することになります。
④事後の検査とは?
大抵の補助金や助成金は後払いです。補助金や助成金の対象となる事業を実施した後に報告書等の必要書類を提出して清算してもらう必要があります。
補助金や助成金として認められた事業に使用したことや、禁止されている事項に該当していないかなどが確認されたうえで、補助金・助成金を受け取ることができます。
補助金や助成金の申請手続き
補助金や助成金を受けるためには、手続き・申請方法や、流れを理解しておくことが重要です。補助金を申請したいと思っていたのに、申請方法が解らなかったり、知らない間に、申請期間が終了していて利用できなかったという失敗談は良くあります。
そうならないためにも、補助金・助成金の基本的な申請手順を知っておきましょう。
補助金や助成金を知る
利用できる補助金・助成金を探す必要があります。補助金は特定期間のみに募集されたり、年度によって実施される補助金や助成金が異なる場合があります。ご自身で「中小企業庁のサイト」などから探すことも可能ですが、補助金・助成金申請をサポートしてくれるコンサル業者などに相談してみるのも有効です。
▼ コンサルに相談するなら
申込要件を満たす
補助金や助成金には、申請対象となる方に「要件」が設けられています。要件にあてはまらないと審査に通過できないどころか申込すらできません。
企業・個人事業主毎にご自身が対象となるかどうかを確認したり、必要な要件を満たすために対応する必要があります。
補助金に申請する
各補助金や助成金毎に申請方法が決められています。
補助金や助成金の運営事業者のホームページなどに申請書が掲示されていたり、窓口で交付してもらえますので、取得して作成する必要があります。
補助金・助成金の申請書類には、「事業計画書」の作成が必要となることが多く、中小企業・個人事業主には作成が難しいものもあります。ご自身での作成が困難なら、早めにコンサル会社などに相談するのが良いでしょう。
受給が決定する
補助金や助成金毎に審査が行われます。審査結果がでて、補助金・助成金の交付が認められた場合には、「交付申請書」を事務局に提出する必要があります。
対象事業を実施
交付決定された内容で事業を開始します。事業途中で実施状況について事務局のチェックを受ける必要があるものもありますので、個別の助成金や、補助金毎に確認しておく必要があります。※交付時の事業計画を、勝手に変更してはいけません。また補助金の対象となる経費については、領収書や証拠書類をすべて保管しておく必要があります。
補助金・助成金を交付
実施した事業の内容と、使用した経費を補助金・助成金の運営者に報告します。
「申請通りに実施されたと確認」されると補助・支援を受けられる金額が確定し、補助金・助成金を受け取りが確定します。
書類を保管
補助金・助成金の対象となる領収書や証拠書類は、補助事業の終了後も5年間は保管しておく必要があります。
助成金の具体例
実際に使える補助金・助成金には、どういったものがあるのか気になりますよね。
特に、中小企業や、個人事業主が日々の事業活動のなかで役立てることのできるものがあるかどうかは気になるところでしょう。実際の「補助金・助成金」について、いくつかの例をご紹介します。
ものづくり補助金
「革新的なサービスや試作品開発にかかる経費」の3分の2(最大1,000万円)を補助してもらえるのが「ものづくり補助金」です。
ものづくり補助金の支給対象者
日本国内に本社および実施場所を保有する中小企業者
申込要件
ものづくり補助金には以下3つの要件があります。
3つの要件のうち、いずれかを満たすことができれば補助金の対象になります。
<ものづくり補助金の対象>
- 革新的サービス
- ものづくり技術
- 高度生産性向上型
革新的サービスとは、「地域内や業種内で革新的」であることが求められる要件です。
同業他社での取り扱いが少ない、オリジナリティのある製品を開発し、その製品を事業化するための資金が、ものづくり補助金の対象になります。革新的サービスとなると「少しハードル」が高い補助金と感じますが、以下のように「ものづくり技術」も対象になりますのでご安心ください。
ものづくり技術は、「ものづくり中小企業が自ら行う試作品の開発やプロセス改善」を意味します。
ものづくりの「もの」は、必ずしも、目に見え、手に取れるものだけではありません。ソフトウェアや溶接、発行、真空の維持といった分野まで網羅しています。実際に対象になる技術には、以下のようなものがあります。
<ものづくり技術の対象>
デザイン 情報処理 精密加工 製造環境 接合・実装 立体造形 表面処理
機械制御 複合新機能材料 材料製造プロセス バイオ 測定計測
各分野には、中小企業庁が定める「特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」があり、指針に該当する「ものづくり技術」に相当すれば支援の対象になります。設備投資の場合、設備を購入する業者にて、対象になる設備かどうかを判別してもらうこともできます。
補助金の対象
①一般型:補助上限額1,000万円(経費の3分の2まで)
設備投資必要 / 補助対象経費:機械装置費、技術導入費、運搬費、専門家経費
②小規模型:補助上限額500万円(経費の3分の2まで)
設備投資不要
補助対象経費:機械装置費、原材料費、技術導入費、外注加工費、委託費、知的財産権等関連経費、運搬費、専門家経費、クラウド利用費など
③高度生産性向上型:補助上限額3,000万円(経費の3分の2まで)
設備投資必要 / 補助対象経費:機械装置費、技術導入費、運搬費、専門家経費
なお、ものづくり補助金の金額や支給対象などは、募集年度によっても多少異なります。申請時の募集要項で確認する必要があります。
ものづくり補助金以外にも、以下のような雇用対策に使用できる補助金・助成金があります。
キャリア形成促進助成金
「キャリア形成促進助成金」は、従業員の研修にかかる費用として使用できる助成金です。従業員研修は、従業員の生産性を高めるだけでなく、従業員の満足度を高めるうえでも非常に重要です。実際に、従業員に対する研修制度を設けている中小企業も多いでしょう。
キャリア形成促進助成金は、対象となる研修に該当すれば、研修費や、その分の日当などに充てられる資金を、補助金・助成金から負担してくれます。キャリア形成促進助成金も、必要となる金額のうち、3分の2程度を助成金から負担してもらうことができます。
キャリアアップ助成金(健康診断制度コース)
有期契約従業員や非正規雇用の従業員に対しキャリアアップを図ることで、従業員の労働意欲、会社の生産性向上を目指すための助成金が「キャリアアップ助成金」です。
キャリアアップ助成金には、様々なものがありますが、そのうち「健康診断制度コース」は、受給対象の有期契約従業員に対し要件を満たす法定外の健康診断制度を導入した事業主の方が受給できる助成金です。
要件を満たせば、最大で48万円の助成金を受け取ることができます。
補助金・助成金を探すポイント
補助金・助成金を探す際には、以下の点に注意して、探していくのが良いでしょう。
1. 補助金・助成金の対象要件
まずは要件を抑えることが必要です。対象になるかどうかの確認となります。
2.応募期間
補助金・助成金には応募期間が定められています。
期間を過ぎてしまうと、応募できなくなってしまいます。
3.経費の補助率
実際に支払った額の何割を負担してもらえるかです。
全額負担してもらえるケースから、一部負担となるものまで多数あります。
4. 補助金・助成金の金額
通常、補助金・助成金には、「上限額」が設けられています。
3の補助率と合せて、補助金・助成金の上限額を確認しておく必要があります。
審査に通るポイント
補助金・助成金を受けるためには、政府などの運営者が行う「審査」に通過する必要があります。しかし、補助金・助成金には事業主からの希望者も多く、実際に受給できる方は、希望者の半分未満といった補助金・助成金などもあります。
さらに、補助金・助成金は、年に1~2回しか募集しないといったものや、翌年以降には無くなってしまう補助金・助成金もあります。そのため、ご自身の事業で対象となる補助金・助成金が見つかった場合、少しでも審査に通る可能性を高めて、申請したいところです。
そのために活用できるのが、補助金・助成金の申請サポートをしてくれる「経営コンサルティング会社」です。中小企業診断士や、社会保険労務士など、補助金・助成金申請のプロが一定の料金を対価としてサポートしてくれます。経営コンサルティング会社の料金は初期着手金と成功報酬(補助金の数%)とするところが多いでしょう。
経営コンサルティング会社は補助金・助成金の申請に関する経験が豊富であり、審査に通る可能性を高めることができます。
▼ 中小企業診断士事務所
補助金・助成金の実績が豊富な経営コンサルティング会社です。
資金調達を急ぐなら
補助金や、助成金の申請、交付には時間がかかります。
審査期間を経たりするなど、急な資金需要に対応することは難しいでしょう。
すぐに事業資金を調達する必要があるなら、ファクタリングやビジネスローンがおすすめです。ファクタリングは「売掛金」を保有していれば、最短即日での資金調達も可能であり、銀行融資に比べて、審査に通りやすいのが特徴です。
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その他優遇など | 2社間・3社間ファクタリングも利用可能 |
資金調達限度額 | 3億円 |
利用できる方の条件 | 個人事業主・法人ともに可能 |
まとめ
中小企業や、個人事業主が資金調達するための手段は借入だけではありません。
補助金や助成金といった方法で資金を得ることも可能です。
補助金・助成金は借入ではありませんので、返済する必要もありません。
政府が中小企業や個人事業主のために実施する「補助金・助成金」は最大限活用しないと損とも言えます。補助金・助成金を活用して、経営を安定化させたり、成長させることが重要です。
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