「任意整理後は住宅ローンの審査に通らない」、「一度ブラックリストになったら借入できない」と諦めている方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、任意整理後でも住宅ローンの審査に通ることは可能です。ただし、いくつか注意すべき点があります。
ここでは、任意整理後でも住宅ローンに通過するために大事なポイントを紹介していきます。
住宅ローン審査の基準
任意整理について解説する前に、住宅ローン審査で通常チェックされる審査のポイントを確認しておきましょう。
住宅ローンの審査は、事前審査と本審査の2段階で行われます。
まず事前審査で基準をクリアしているかどうかがチェックされ、本審査で返済能力が確認されます。事前審査、本審査それぞれのチェック項目について説明していきましょう。
事前審査(仮審査)
住宅ローンの事前審査でチェックされるのは、主に以下の項目です。
- 年収、勤務先、勤続年数
- 借入時年齢
- 個人信用情報(いわゆるブラックリスト)
- 各種公共料金や年金などの未払い・滞納の有無
- 返済負担率(年収のうち住宅ローン返済額が占める割合)
- 担保評価
- 健康状態(団体信用生命保険加入の必要がある場合)
事前審査の結果は、遅くとも1週間以内に通知されます。
任意整理した人は、個人信用情報に事故記録が記載されているため、この段階で審査落ちとなります。
任意整理をしたことがない人でも、借入時の年齢や勤続年数などに不安があると評価された場合は、事前審査の段階で落とされることがあるので注意が必要です。
住宅ローンの本審査
事前審査に通過した人は本審査へと進み、ローン会社・保証会社によって返済能力をチェックされます。
本審査でチェックされるポイントは事前審査とほぼ同様ですが、事前審査は申込書に記入した内容(自己申告)で行われるのに対し、本審査は提出書類をもとに行われます。
そのため、事前審査に記入した内容に誤りがあると、せっかく事前審査に通過したと思っても、本審査で落ちてしまうということがあります。
また、事前審査では担保(住宅ローンの対象となる住宅)の調査を行わず、本審査で行う銀行もありますし、事前審査は銀行の担当部署が行い、本審査は保証会社が行うといった銀行もあります。そのため、事前審査と本審査の提出書類の内容に誤りがなくても、審査に落ちてしまうこともあります。
なお、本審査の基準は会社ごとに異なります。そのため、任意整理をしたことがない人でも、本審査で落ちる可能性はあります。ただ一般的には、事前審査を通過すれば、本審査を通る可能性が高いようです。
任意整理と住宅ローンの関係
任意整理をすると、住宅ローンにどのような影響を及ぼすのでしょうか。ここでは、任意整理と住宅ローンの関係性をチェックしていきましょう。
任意整理から5年間は駄目
任意整理をすると、個人信用情報に事故情報が記録されます。
事故情報とは、借入の延滞や、債務整理など、借入人の信用情報に問題があることを示す情報のことで、「異動情報」と呼ばれることもあります。
この事故情報が個人信用情報に記録されることを、俗に「ブラックリスト入り」などと言います。
ブラックリストは金融機関が審査で最も敬遠する情報の1つであり、1度ブラックリストに載ってしまうと、最低5年間はクレジットカードやカードローンの審査に通過することができなくなります。
銀行や信用金庫、クレジットカード会社や貸金業者などは、審査を行う際にこの個人信用情報を必ずと言って良いほど参照するため、事故情報があることがわかると、すぐに審査落ちとなってしまうのです。
住宅ローンの審査も同様に個人信用情報をチェックするため、ブラックリスト入りしている人は審査を通過することができません。
既に任意整理を行ったことのある方は、任意整理終了から5年間待って、ご自身のブラックリストの登録があるかどうかを確認しておく必要があります。
個人信用情報に記録される期間は5年間なので、その間は住宅ローンを利用することができなくなります。住宅ローンの利用を検討している人は、任意整理をすべきかどうか、慎重に判断しましょう。
任意整理後でも住宅は残せる
次は既に住宅ローンを借入している方が任意整理を利用するケースを考えてみましょう。
自己破産などの債務整理を行う場合、借金を減額したり、免除してもらうことはできても自宅を売却せざるを得ないことがあります。
金融機関も借金の免除に応ずる代わりに、担保不動産からの回収を行ったり、所有資産を売却して返済することを求めるためです。
しかし、住宅ローンの返済途中に任意整理をしても、住宅を残すことは可能です。
住宅を残したまま借金を整理したい場合は、以下のいずれかの方法を選ぶことになります。
- 住宅ローン以外の債権者だけ任意整理する
- 個人再生手続きで住宅資金特別条項(住宅ローン条項)を利用する
ただし、住宅ローンの返済が厳しいと思った場合には、住宅を残さずに処分してしまったほうが生活の立て直しには効果が大きくなります。住宅を守ることを最優先して無理をしてしまうと、経済的な立ち直りが難しくなるので注意しましょう。
個人再生なら専門家に相談してみましょう。
ブラックリストを解除する方法はある?
やはり知っておきたいのことの1つは、一度ブラックリストになってしまった後に、ブラックリストを解除して借入ができるようにする方法はあるかではないでしょうか。
もし、延滞や、債務整理、自己破産などを行ってブラックリストになっても、ブラックリストの登録を解除してもらう方法があるのなら知っておきたいところです。
結論から言えば、一度登録されたブラックリストを解除する方法はありません。
仮に、ブラックリストに登録された原因が誤り・間違いの場合は違います。
例えば、他人の延滞や、自己破産などの情報が誤って自分の個人信用情報に登録されてしまうというケースも、稀ではありますが存在します。
また、他人が悪意によって、人の名義を名乗って借入を行って、その後に延滞してしまったことで個人信用情報に登録されてしまったという事例もあります。このように他人が名義を偽って借入することを「なりすまし借入」と呼びます。
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誤って登録されたものや、なりすまし借入が原因で登録されたブラックリストであれば、信用調査会社に連絡することで、ブラックリストを解除することも可能です。
しかし、実際にご自身が行った借入に対し、延滞や自己破産、任意整理などで登録されたブラックリストを解除することはできません。
一度登録された事故情報は、規定の期間が経過して、登録が解除されるのを待つしかありません。
任意整理後に住宅ローンを組む方法
任意整理後でも住宅ローンを組むことは可能です。ただし、住宅ローンの審査に通過するには、いくつかポイントを抑えておく必要があります。
事故情報が消去されるまで5年待つ
任意整理をしたからといって、ブラックリストに永久に掲載されるわけではありません。
一定期間が経過すると、どの信用情報機関からも事故情報が消去され、クレジットカードや住宅ローンの審査に再度通過することが可能になります。
事故情報が消去されるのは、任意整理の手続きが終わってから約5年です。
ある程度の期間が経過してから、信用情報機関に任意整理などの事故情報が残っているかどうか心配な人は、開示請求をしてみましょう。
信用情報機関は有料で開示請求手続きを受け付けているため、住宅ローンの審査を受ける前に自分の信用情報について確認することができます。
開示方法は郵送が一般的ですが、電話やインターネットで開示を受け付けている信用機関もあります。
信用機関名 | 信用情報登録期間 | 開示方法 |
株式会社CIC | 任意整理・個人再生・自己破産の手続き後5年 | 窓口、郵送、インターネット |
JICC(日本信用情報機構) | 任意整理・個人再生・自己破産の手続き後5年 | 窓口、電話、郵送など |
KSC(全国銀行協会) | 任意整理の手続き後5年 個人再生・自己破産の手続き後10年 | 郵送のみ |
任意整理した会社とは違う会社に申し込む
信用情報機関の事故情報は、一定期間を過ぎると消去されますが、任意整理した時に借入を行っていた金融機関には事故情報が残り続けます。
任意整理から5年以上が経過していても、金融機関側が保管しているブラックリストから自分の名前が消えることはありません。
そのため、任意整理をした金融機関に住宅ローンを申し込んでも、その会社の審査に通過することはほぼ不可能だといえます。
住宅ローンを利用したいなら、任意整理した会社とは別の会社に申し込むようにしましょう。
頭金を準備する
頭金をどれくらい用意できるかで、住宅ローンの審査結果も異なってきます。
頭金を多く積むほど、住宅ローン審査に通過する確率も高くなるので、頭金はできる限り用意しておきましょう。
任意整理をしたことがない人でも、頭金0円で住宅ローンに申し込むと、審査にマイナスの影響を及ぼします。
頭金の有無は住宅ローンの審査に大きな影響を及ぼすので、少しでも多くの頭金を準備するのが理想的です。
また、頭金があるかどうかは金利にも影響します。
フラット35を利用する場合、住宅購入資金の9割までの借入と、9割を超えて借入する分とで金利が高くなります。
民間銀行の住宅ローンでも、頭金が多い方が優遇金利を受けられる可能性は高くなります。
任意整理後の5年間は、住宅を購入するための準備期間ととらえましょう。
この間に生活を立て直して、頭金をなるべく多く作っておけば、5年後の住宅ローンの審査に通過する可能性が高くなります。
自分で頭金を貯蓄するのが難しい場合は、両親や親戚に相談するのも一つの方法です。
実際、多くの人が頭金を家族に支援してもらっているので、支援を頼むことは決して恥ずかしいことではありません。
どれくらいの金額なら用意してもらえるのか、まずは相談してみましょう。
審査の甘い住宅ローンに申し込む
住宅ローンの審査のレベルは会社ごとに異なります。
一度、住宅ローンの審査に落ちたからといって、別の住宅ローンの審査にも落ちるとは限りません。
一般的に、大手銀行の住宅ローンは審査が厳しい傾向にありますが、住信SBIネット銀行などは銀行系の中でも審査が緩いといわれています。
パートやアルバイトなど、正社員でない人でも、安定した収入があれば審査に通過することは可能です。
また、フラット35についても、公的な住宅ローンということもあって、比較的審査に通りやすい住宅ローンになっています。
そのため、過去にブラックリストに載ったことがあっても、現在、事故情報が削除されているのであれば審査に通過しやすい住宅ローンと言えるでしょう。
ただし、地方銀行などの場合、住宅ローン審査の甘い金融機関は金利が高い傾向にあるため、事前確認が必要不可欠です。各金融機関の金利と審査レベルを比較した上で、申し込むようにしましょう。
配偶者名義、家族名義で申し込む
個人信用情報に事故情報が記録されるのは、本人だけです。配偶者や家族の信用情報に影響を及ぼす心配はありません。
そのため、任意整理後5年以内であっても、配偶者名義や家族名義で申し込めば、住宅ローンを利用することが可能になります。
住宅ローンだけでなく、クレジットカードやカードローンなども家族名義であれば利用可能です。
ただし、配偶者や家族もブラックリスト入りしている場合は、住宅ローンの審査に通過することはできません。
住宅ローンを借りるならこの銀行
2020年現在、住宅ローンをあらたに申込するならこちらの銀行がおすすめです。
住宅ローンは条件交渉も含め、2~3行程度で同時に相談、事前審査を受けておくのが良いでしょう。
au住宅ローン(じぶん銀行)
*2020年12月現在のau住宅ローンの金利
じぶん銀行とは三菱UFJ銀行とauを運営するKDDIが共同で設立したネット銀行です。新興のネット銀行ならではの低金利とお得な団体信用生命保険の制度が魅力です。
もちろん、auユーザー以外の一般の方もau住宅ローンを利用できます。
2020年12月現在、au住宅ローンは変動金利は0.410%、10年固定金利でも0.55%で借入可能です。
申込・相談はこちらから公式ホームページへ
☆じぶん銀行のau住宅ローン
☆業界最低水準の住宅ローン金利
☆がん50%保障団信が無料で利用可能
☆auユーザー以外の方でもお申込みできます
*じぶん銀行は三菱UFJ銀行とauの共同設立のネット銀行
借入可能額(最大) | 2億円 |
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適用金利・手数料など | 変動金利 0.31%、10年固定金利 0.465%(2022年1月時点・au金利優遇割適用時) |
所要時間 | 申込から融資実行まで1ヶ月程度 |
その他優遇など | 一般団信・がん50%保障団信の保険料が無料、一部繰上返済手数料が無料 |
- 変動金利・10年固定金利は業界最安水準
- 50%がん保障特約付き団信が無料で利用可能
- 保証料・繰り上げ返済手数料などが無料
三菱UFJ銀行(ネット受付専用)
「三菱UFJ銀行のネット専用住宅ローン」がおすすめです。
三菱UFJ銀行の住宅は13年連続で国内No1の取り扱い実績を誇る住宅ローンであり、日本で一番人気のある住宅ローンと言えます。
また、三菱UFJ銀行の住宅ローンは窓口とネット申込で条件が異なります。ネット申込であれば、それだけで金利が低くなるメリットがあります。
三菱UFJ銀行のネット専用住宅ローンへの申込
☆三菱UFJ銀行のネット専用住宅ローン
☆13年連続で日本で最も利用されている住宅ローン
☆変動金利 0.475%(2022年1月現在)
☆3年固定金利 0.34%、10年固定金利0.74%(2021年4月現在)
☆申込手続きなどはネットで完結
☆7大疾病保障付き住宅ローン ビッグ&セブン<Plus>も利用できます
借入可能額(最大) | 1億円 |
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適用金利・手数料など | 変動金利 0.475%、3年固定金利 0.39%、10年固定金利0.74%(2022年1月現在) |
その他優遇など | 7大疾病保障付き住宅ローン ビッグ&セブン<Plus> |
住信SBIネット銀行
金利の低さがメリットのネット銀行のなかでも、圧倒的に金利が低いのが住信SBIネット銀行です。
住信SBIネット銀行では、変更金利なら0.5%以下で借入可能です(2020年12月現在/優遇金利を活用時)。
さらに、住信SBI銀行は、ネット銀行の住宅ローンのなかでも、申込できる方の要件が少ないことが魅力です。
他行の住宅ローンのように、最低年収の基準や、勤続年数などの条件が少ないのが特徴です。
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住信SBIネット銀行への申込
★住信SBIネット銀行の住宅ローン
★業界トップクラスの低金利
★新規購入時の通期変動金利は0.32%(2023年5月現在)
★全疾病保障保険の特約を無料で利用できる
借入可能額(最大) | 1億円 |
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適用金利・手数料など | 変動金利0.32%(借り換え時 0.299%) ※所定の条件を満たした場合の通期変動金利となります※掲載金利は最大金利引下げ幅時の適用金利です。審査結果によっては、表示金利に年0.1%上乗せとなる場合があります。 |
所要時間 | 申込から融資実行まで1ヶ月程度 |
その他優遇など | 全疾病保障特約を無料で付加、一部繰上げ返済手数料無料 |
SBIマネープラザで相談
金利が住宅ローン業界でトップクラスに低いことで有名な住信SBIネット銀行はネット専業銀行です。
ネット専業のデメリットとしてあげられることの多い対面相談できない問題を解消するものとしてSBIマネープラザが設けられています。
SBIマネープラザは対面相談が可能な店舗で、ネット専業銀行の住宅ローンが利用できるサービスです。
なお、SBIマネープラザは店舗数が少なく、相談には予約が必須となります。以下から、ご予約のうえ相談してみてはいかがでしょうか。
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住信SBIネット銀行と同水準の低金利
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借入可能額(最大) | 2億円 |
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適用金利・手数料など | 変動金利 0.41%、10年固定金利 0.53% (2021年7月時点) |
所要時間 | 申込から融資実行まで1ヶ月程度 |
その他優遇など | 団信・全疾病保障付(金利上乗せなし) |
フラット35(住信SBIネット銀行)
フラット35は公的な住宅ローンということもあり、民間銀行に比べて、審査に通りやすい住宅ローンとなっています。
加えて、フラット35は長期固定金利での借入が可能であり、借入全期間の金利が固定金利になるのが特徴です。
借入期間中の金利が変動しませんので、資金計画が立てやすくなります。
なお、フラット35はどこの銀行で借入しても同じというのは誤りです。申込する金融機関によって借入条件が大きく異なります。
そして、2020年現在、フラット35の金利が低く、おすすめなのが住信SBIネット銀行です。
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適用金利・手数料など | 35年間固定金利 1.5%(2023年6月現在・保証型:自己資金10%以上) |
その他優遇など | 借入期間を通して固定金利 |
まとめ
任意整理をした人も、住宅ローンの審査を通過することは可能です。
ただし、任意整理後5年間はブラックリスト入りしているため、事故情報が消去される5年後に住宅ローンを申し込みましょう。
どうしても5年以内に住宅ローンを申し込みたい場合は、家族名義や配偶者名義で申し込むことをおすすめします。
できる限り頭金を用意しておくと、審査に通過しやすくなります。
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