近年注目を集めている資金調達方法がクラウドファンディングです。
クラウドファンディングとは、インターネットを利用して不特定多数のユーザーから資金を募る方法で、創業直後や実績のない企業/経営者でも資金調達できる可能性があります。
本記事では、クラウドファンディングに興味があるけど、よくわからないという方や、創業を検討されていて良い資金調達方法を探している方向けに、クラウドファンディングとはどのようなサービスなのかについて説明します。
クラウドファンディングとは?
まずは、クラウドファンディングとは何かから説明します。クラウドファンディングとはインターネットを利用して資金を集める方法のこと全般を指します。
1言でクラウドファンディングと言っても、融資を受けるタイプのクラウドファンディングもあれば、資本に出資を受けるクラウドファンディングもあり、バリエーションは様々です。
詳しいクラウドファンディングの種類については、「クラウドファンディングの種類」の章で詳しく解説します。
クラウドファンディングの仕組み
すべてのクラウドファンディングに共通して言えるのは、インターネットを利用して見ず知らずのユーザーから資金を集められることです。資金を出してくれる候補者は日本中どころか、世界中ということもあり、資金調達の可能性は高まります。
インターネットを使って、自分の会社やプロジェクトをクラウドファンディングのサイトに登録して、それを見て興味を持ったユーザーは、その会社やプロジェクトに資金を提供します。
そして、集まった資金から手数料を差し引いた金額が募集人に振り込まれます。
銀行融資のように2~3行から融資を受けるのではなく、数十人~数万人規模のユーザーから少額の資金を集めるのが特徴です。どちらかと言えば、広く、薄くといった資金調達豊富です。面白いサービスや商品であれば採算を度外視で資金を提供してくれるユーザーも存在します。
よって、「銀行融資を受けられない企業」、「創業間もなく信用力が低い経営者」でも資金調達ができる可能性があります。
代表的なサービス
日本では、CAMPFIREやReady forなどのサービスがクラウドファンディングとして有名です。また、大手企業もクラウドファンディング事業に参入しており、朝日新聞が運営しているA-port、TSUTAYAを運営するカルチュアコンビニエンスクラブが運営しているGREEN FUNDINGなどがあります。
また、クラウドファンディングによる資金調達事例として、近年目立った事例が発生している日本クラウドキャピタルのFUNDINNOというサービスもあります。
海外にもクラウドファンディングサービスが存在していて、KICKSTARTERやINDIEGOGOなどが有名です。
有名なサイトの方が、ユーザーも多く、流通額も大きいので、資金調達がしやすい傾向にあります。
クラウドファンディングの種類
一口にクラウドファンディングと言っても様々なパターンが存在します。ここではクラウドファンディングを資金調達の性質毎に、購入型、寄附型、融資型、事業投資型、株式投資型の5つに分けて紹介します。
5つのクラウドファンディング
一番ポピュラーなクラウドファンディングが「購入型」です。購入型ではユーザーから資金を提供してもらう代わりに返礼品を送ります。募集するプロジェクトで作ろうとしていた製品や、プロジェクトのTシャツなどが代表的です。資金調達というよりは予約注文を受け付けており、調達資金は売上となります。
2つ目に紹介するクラウドファンディングは「寄附型」ですがこれはNPO法人などの非団体向けのサービスです。インターネットを通じて寄付を募るのですが、一般の営利企業には関係ないでしょう。
3つ目に紹介するのが「融資型」です。融資型クラウドファンディングは別名ソーシャルレンディングとも呼ばれていて、サービスを通じてユーザーから融資を募ります。そして、ソーシャルレンディングサービス経由で利息をつけて返済します。
4つ目に紹介するクラウドファンディングの「事業投資型」は、事業に投資をしてもらって収益があがれば、投資家に分配するクラウドファンディングです。収益を分配するだけではなく、投資家がそのサービス・商品を利用したときの特典などをセットでつける場合もあります。
最後に紹介する「株式投資型」は株主を募集するクラウドファンディングです。調達した資金は資本となります。投資家には資金の代わりに株式を渡します。
手数料はどのくらいかかるの?
手数料はどのパターンのクラウドファンディングを利用するか次第で大きく異なります。
購入型の場合は、サービス会社に応じて手数料が異なりますが、だいたい調達金額の15%~20%を目安に考えれば良いでしょう。寄附型も購入型と同じく調達金額の15%~20%が目安となります。
融資型はその案件毎によって利息が異なりますので、一概に手数料を算定することはできません。ただし、ビジネスモデルの性質上、銀行からプロパーの融資を受けるよりは、利息が高くなりがちだと考えた方が良いでしょう。一般的に、ベンチャー企業や、創業間もない方は「リスクが高い」と思われるためです。
事業投資型のクラウドファンディングは出資者から運用手数料をもらって収益をあげているので、基本的にプロジェクトの発起人側に手数料は発生しません。ただし、他のクラウドファンディングと比較するとユーザーのリスクが高いので資金調達のハードルは少し高めです。
株式型はケースバイケースです。GoAngelというサービスは出資者から手数料を徴収して、募集者から手数料は受け取りません。一方で、FUNDINNO、エメラダイクイティというサービスは株式の発行価格に対して最大20%程度の手数料が募集者に対して発生します。また、別途審査費用がかかる場合もあります。
クラウドファンディングが適する方
どのようなときにクラウドファンディングを利用するのが適しているのでしょうか。クラウドファンディングを活用することがメリット大きいと考えられる方を列記してみます。
使用するメリット
お金が無いけれども、面白いプロジェクトを考えている、有名人などで固定的なファンが存在しているという場合はクラウドファンディングで資金を集めやすい傾向があります。
特に購入型の場合は、資金調達ではなく実質的に予約注文を取っているのと同じことなので、後で返済に苦しむということもありません。
創業間もない企業や零細企業が資金調達手法は限られており、銀行からプロパーで融資を受けるのは厳しいので、クラウドファンディングで資金調達できるのならばぜひとも調達した方が良いでしょう。
過去の資金調達例
最大級の資金調達で5,000万円~6,000万円程度となります。過去このクラスの資金調達を達成した案件としては
「モノづくりが、変わる。5万円台のレーザー加工機 FABOOL」
「キングコング西野の個展『えんとつ町のプペル展』を入場無料で開催したい!」
「移動を無料に!未来の移動体験配車サービス「nommoc(ノモック)」」
などが挙げられます。特に最後のnommocは創業から1か月足らずの会社で、募集してから4分30秒で5,000万円の資金調達に成功しています。事業が「面白そう」だったり、サービスや商品が素晴らしく、「将来性がありそう」であれば、クラウドファンディングでも十分に資金調達ができることがこれらの事例から伺えます。
創業融資制度もある
創業者、開業者が資金調達する場合、前述のクラウドファンディングは大変おすすめです。しかし、クラウドファンディングはネット上で見ず知らずの方からお金を集められる判明、知名度や、目立った特徴がないと、融資を受けることが難しくなります。
こんな方におすすめなのが、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」です。新創業融資制度を活用すれば、業歴の短い企業や、創業間もない経営者でも融資を受けられる可能性があります。
また、新創業融資制度は、代表者を含めて連帯保証人、担保が不要だったり、比較的審査に通りやすく、資金調達ができるのが特徴です。
なお、新創業融資制度であれば、銀行借入の経験が薄く、良く解らないという方でも、資金調達できる可能性があります。新創業融資制度に申込する場合、事業計画の作成が重要です。
事業計画の作成を専門家にサポートしてもらうのであれば、以下がおすすめです。
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まとめ
以上のようにクラウドファンディングについて説明してきました。一口にクラウドファンディグと言っても5つのパターンにわけることができ、それぞれのパターンでどのような性質の資金調達を行ったかが異なるので、自社にあったクラウドファンディングを利用した方が良いでしょう。
一般論として、一番ポピュラーで、一番リスクが少ない資金調達手法が購入型クラウドファンディングです。面白い商品やサービスを作ろうとしていたり、固定ファンを持っている有名人が行うプロジェクトと相性が良いでしょう。
融資型は銀行融資よりもコストが高くなりがちなので、銀行から融資を受けられるのならば、銀行融資の方が良いかもしれません。
事業投資型は募集者側のリスクは少ないですが、出資者にリスクが多いので使いどころが難しいかもしれません。
株式投資型については株式を渡すことになるので、株主を安定させたいという場合は不向きです。ただし、返済の必要もありませんし、返礼品も必要ありません。
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