法人・個人事業主が事業性資金の融資を受けやすくなる方法を紹介します。
大企業・中小企業・個人経営など企業の規模を問わず、事業をされている方が、事業性資金の融資を受けやすくするために大切なことは、ずばり、銀行融資を受けている取引銀行との関係性です。
資金調達成らずして、会社の安定的な運営はできません。資金調達が安定しない会社は、経営者が資金繰りに追われるため、本業も手薄になってしまうことが多く、業績も低迷してしまう傾向にあります。
ここでは、まず、銀行融資が受けやすい状況を作るためのポイントを紹介していきます。
銀行融資を受けやすいポイント
それでは今回の本題である銀行融資を受けやすくするためのポイントを解説していきましょう。
銀行融資を受けるための銀行選定
銀行融資には銀行毎に条件や融資制度など、様々なニーズの商品が用意されています。
銀行毎にメリット・デメリットがあるので銀行の特徴や、用意している融資商品、制度のポイントをおさえ、資金調達の参考にしていただければ幸いです。
①日本政策金融公庫
【開業予定】【開業7年未満】【おすすめ】
事業開始後7年以内の新規開業者や、開業から間もない企業に対して、融資制度の種類も多く用意しています。
確定申告前(決算報告書がマダ)でも、事業計画書で審査をしてもらうことが可能です。
一般的な民間の銀行では、資金調達(銀行融資を受けやすい)には、確定申告後の決算報告書を元に銀行融資に必要な審査が行われるのが一般的で、決算報告書がない場合(開業初年度など)での銀行融資は不可能に近いです。
例え確定申告後で、決算報告書が手元にあったとしても事業として成り立っていないと(黒字経営でないと)信用力が低く、この場合も銀行融資は不可能に近いでしょう。
そのため、事業計画書で融資審査してくれ、赤字でも借入が可能な日本政策金融公庫は、新米中小企業の強い味方なのです。
新米起業家にとっては、大きなチャンスであり、自分に寄り添ってくれる銀行と言えるでしょう。開業間もない企業にとって、取引する価値は大いにあると言えます。銀行融資が受けやすいので、是非利用してみてください。
②創業後数年経過したら?
軌道に乗り始めてから考えるのは新たな資金の調達です。銀行融資の額が1,000万円を超えるようになると検討する必要が出てきます。
日本政策金融公庫は借り入れできる金額も限度があるため、企業の規模が大きくなってくると、受けられる融資額が不足してきます。
事業として軌道に乗り始めると会社の規模を大きくしていくために、銀行融資の増額が必要になります。
つまり、融資を受けられる銀行を増加させていくことが必要になります。そこで、この時期に頼りになるのが【信用金庫】【地方銀行】の存在です。
③信用金庫・地方銀行で融資を受ける
【地方銀行】【信用金庫】が最も得意とする融資先として中小企業に力を入れています。
都市銀行(大手メガバンク)が大企業を主要融資先とするのと同じで、信用金庫や地方銀行が主要融資先とするのは中小企業です。
中小企業が、受けられる融資を増加させるためには、ぜひ利用したい銀行と言えます。
都市銀行は中小企業に対しての審査は厳しいですが、信用金庫や地方銀行は都市銀行よりも審査は優しく寄り添ってくれるため、銀行融資も受けやすい環境でしょう。
自分に合った相談やアドバイスも受けやすい環境なので是非借入申込・相談してみたいところです。
ミニポイントアドバイス
銀行にも得意とする分野に違いがあります。法人向け融資と、銀行融資制度を表にまとめてみましたのでご参考にしてください。
<金融機関の比較>
都市銀行 | 大規模融資 | 大手企業 |
地方銀行・信用金庫 | 中規模融資 | 中小企業 |
日本政策金融公庫 | 小規模融資 | 個人・新規事業 |
④大きくなったら都市銀行
会社が成長を続けることにより、次のステップアップに向け必要になるのが、さらなる増額融資です。ここで登場するのが都市銀行です。
地方銀行から融資を受けていたが、借入金額で5,000万円~1億円程度になると、都市銀行からの融資でメリットが期待できます。
会社の経営が軌道に乗り、実績が伴えば大手銀行から融資が受けやすい環境になります。
1.借入先を都市銀行に一本化する
2.現在の借入先はそのままで新たな増額融資分のみ都市銀行を利用
3.現在の借入先から増額融資を受ける
主に、上記3つから選択します。
都市銀行から融資を受ければ、低い金利での銀行融資に期待ができます。
ただし現在の借入先である地方銀行も借入先銀行を変更されては金利収入がなくなり、借入条件を優遇してくれる可能性があります(例えば金利を都市銀行と同じにするとか)。
会社がここまで成長してくると、よりよい交渉材料が手元にあるので、どの銀行融資を受けるか検討できるようになります。
もちろん銀行融資は受けやすい状態になり、借入でもいい金利条件の交渉が期待できます。
審査に必要な事業計画書の作成
1.開業したばかりで決算書がない(決算を行っていない時期)
2.決算を行い実績はあるが赤字である
上記いずれかに当てはまる場合は、銀行融資を受けるための審査で、「事業計画書」の提出が必要になります。
返済の見通しがない法人向け融資はリスクが大きいので、銀行は嫌がります。そこで必要になるのが「事業計画書」です。
銀行は法人向け融資の審査においては、【企業の方向性】【将来の目標】などを把握した上で審査します。
ここでのポイントは銀行と事業計画を共に共有することにより、銀行融資が受けやすいということです。
銀行により多少内容に違いがありますが主に必要な内容は以下の通りです。
【参考】
事業計画概要 | 事業内容の詳細・必要になる資金についての詳細 |
初期投資金計画 (開業時のみ) | 開業するために必要な資金の詳細(開業時のみ) |
月別収支計画 | 月別予想による黒字のタイミングの予定 |
資金繰り計画 | 年度の資金繰りの詳細 |
借入金返済計画 | 収支による返済計画の詳細 |
損益計画 | 5年ごとの損益計算書の詳細 |
※日本政策金融公庫での借入するときは、【創業計画書】という専用の書式がホームページにあります。
こちらで作成した計画書による事業計画の内容説明がとても大切になります。
次の章では事業計画書を用いた説明のアドバイスを紹介します。
事業計画書の説明ポイント
下記の内容を押さえて、銀行融資を受けやすい環境をつくりましょう。
1.借入金の使い方
銀行融資を受けるためには【融資の使い途の明確化】が必要です。
特に下記2つについての説明が必要です。
運転資金 | 経営するための支払い日と回収日が前後するなどの理由による資金充当の目的 |
設備資金 | 経営するための不動産や機械、設備などを整える設備投資の目的 |
2.融資金額の計算方法・根拠資料
運転資金 | 売掛債権(売掛金+受取手形)+棚卸資産‐支払債務(買掛金+支払手形)で算出 |
設備資金 | 契約書・見積りなど金額のわかるもの |
その他 | 必要になる理由と金額の明細を資料として準備 |
3.銀行融資を必要とする理由、運営に貢献する方法
4.返済方法
※あくまでも会社として成り立つことが前提で、返済能力が見込めなければ銀行融資は受けられません。銀行融資を受けた場合、
【〇万円の収入の中から△万円の支出がありXX万円の利益が見込め●●万円の返済が可能】という現実味のある内容で説明が必要です。
仮に取引先が決定していて確実に利益が見込めるなら、返済できると銀行も判断しやすくなり、銀行融資を受けやすくなります。
準備は怠らず丁寧に!!
会社や取引先へのプレゼンテーションと同じで資料は最大限準備し、いかに銀行員を説得できるかがポイントとなります。
1.決算書
重要なのは黒字経営であること。節税目的で赤字決算をしている個人経営者が多いですが、赤字では経営能力も返済能力もなしと判断され銀行融資を受けることができません。
銀行融資を受けやすい状況にするためには、決算書の黒字化は重要です。
2.事業計画
開業して間もない(未決算)や赤字決算の場合は銀行への信用がないため事業計画書により、どのようにどのくらいの期間で黒字化させるか納得してもらえる合理的説明が必要です。
悪い例として多いのが、【営業に力をいれる】【販売方法を工夫する】など、現実味の無い根拠で、売上が増加していく計画です。
【何に対してどのように改善しどのようなアクションをしてこのような結果を出す!】など、赤字理由の分析結果に対する具体的改善案が必要なのです。
いくら計画を作っても簡単に売上はあがりません。銀行融資の審査で求めるのは、納得感があり、会社で出来る実行力のある計画です。コストを下げる、費用を減少させるなど、「本当に出来る」ことや、赤字経営を打破するための強い意志が伝わらないと話になりません
3.資金繰り表
数か月~1年程度の資金繰り表を作成することが重要です。
中小企業の場合、どんぶり勘定の会社が多く、直前になってお金が足りないことに気付くという、危なっかしい会社が少なくありません。
本来、資金繰り破たんする必要のない、事業が好調な会社でも、こういったどんぶり勘定をしていると倒産する危険性があります。
そのため、銀行融資の審査でも、こんな会社に融資したくありません。
しっかりと、会社の資金繰りを管理するために、そして管理していることが銀行の融資審査に伝わるために、資金繰り表を作成することは必要です。銀行の法人向け融資審査では資金繰り表を作っていない会社は危ないと考えています。
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適用金利・手数料など | 2%~(ファクタリング手数料) |
---|---|
所要時間 | 最短即日での現金化 |
その他優遇など | 2社間・3社間ファクタリングも利用可能 |
資金調達限度額 | 3億円 |
利用できる方の条件 | 個人事業主・法人ともに可能 |
銀行融資を受けやすい付き合い方
個人経営・中小企業・大企業問わず、銀行融資は一度のみではありません。
日々の運転資金はもちろん、数年後にやってくる機械などの寿命や経年劣化による設備を入替のための設備投資が必要なこともあります。
お店の売り上げを拡大するために、2号店、3号店を出店するための資金や、会社の規模を大きくするための移設費用なども必要です。
銀行融資が必要となるのは頻繁に起こります。銀行融資を継続して受けやすいことは中小企業の死活問題です。
つまりは、銀行と長期的なお付き合いが続いていくということです。
もちろん銀行も融資をすることにより利息収入を得るわけですから、経営が成り立つ優良企業とは長く付き合いをしていきたいと考えます。経営者も自分の会社を潰さず経営していきたいと考えるので、どちらの立場であっても友好的に長く付き合っていくことが大切です。
銀行も長期的に付き合うため、会社の相談に乗ってくれます。
良い関係性を保つため、こまめな【連絡】【報告】【相談】が必要です。
首が回らなくなってからの相談は、銀行も手の施しようがありません。
【月次決算書(試算表)】【年度決算書】は都度提出し、経営状態が良い時も悪い時も隠さず報告することがとても大切です。
一緒に赤字の回避策を考えることも可能になるかもしれません。
【どのような理由で】
【どのような結果が出て】
【次はこうする】
など、来期の見込みなどを踏まえた、事業の分析ができている資料を準備して報告しましょう。
銀行融資を受けるミニポイント
1.新しい銀行と取引を始めるきっかけ
【取引先からの紹介】
【税理士からの紹介】
【銀行の営業担当者が営業に訪れた時】
が、一番効率的な、銀行融資を受けやすい方法と言えます。
銀行から営業をしてきた取引と、借入人から相談して融資を受ける場合では、条件が大きく異なります。どんな企業でも、営業をかけて、新しい顧客から取引を得るときには、多少の条件交渉に応じますよね。銀行も同じです。
しかし、企業から相談してきた銀行融資では、銀行も企業の足もとを見ますので、逆に金利を高く設定することがあります。
2.黒字の時に銀行融資の実績を作る
軌道に乗っている時期に借入して借入・返済の実績を作ることが大切です。銀行だって、これまで取引の無かった、赤字で、資金繰りが悪化している状態の会社から相談されて、急に融資して欲しいと言われても困ります。
そんな「火中の栗を拾う」銀行はいません。
しかし、同じような状況の企業でも、取引歴のある銀行であれば、出来る限りの協力をしてもらうことが期待できます。
つまり、会社は「お金が無くてもやっていける」と思える状態のうちに、銀行融資を受ける実績を作ることが大切です。
銀行も黒字の時に行う融資であれば貸しやすいのです。赤字になり首が回らなくなってからでは回収見込みがないため銀行も融資したくないのです。経営状態の良い黒字の時期に、銀行を探して少額でもいいので銀行融資を受け、銀行との良い関係性を築くことが大切です。
3. 銀行融資を相談する時期を選ぶ
銀行融資を受けやすい時期があります。銀行の営業マンほど、決算期、中間決算期に尻を叩かれている営業マンはいません。
つまり、銀行の営業マンは、2月・8月あたりから、なんとか営業成績を伸ばすために必死に活動しています。
この時期を狙って、銀行融資を相談すれば、かなり融資が受けやすくなります。
逆に、4月、10月は燃え尽きて、疲れていたり、次の決算期まで時間があって、それほど融資を増やすことに必死ではなくなります。
まとめ
銀行融資の審査は結局のところ、最後は営業担当者や担当者の上司で判断しています。
銀行からの融資を受けやすい状況にするためには、営業担当者の心を掴むことが最も重要といえるでしょう。営業担当者が【この会社に融資したい】と思える会社なら、少し融通を利かしてでも頑張って上司に掛け合い融資をしてくれます。
そのため、営業担当者との良い関係性ができていないと、例え同じ内容で説明しても受け取り方が変わってしまいます。
銀行との関係性が出来ていない、希薄な状態で、融資申込しても、少しのマイナスポイントがあると、簡単に断られるのが現実です。
最後になりますが、やはり【銀行の営業担当者との良い関係性を築き上げること】・【継続していくこと】が、銀行融資を受けやすい重要ポイントです。
ぜひ、銀行審査で、優良企業と認められ、銀行融資を受けやすい環境を整えてください。
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