カードローンや、クレジットカードのキャッシングなど、借入が過剰になってしまうと返済が継続できなくなることもあります。生活費の削減や、おまとめローンなど、対処法はありますが、それでも限界を超えてしまった時には自己破産も検討すべきです。
自己破産を活用することで借金の返済義務を免れる可能性があります。しかし、自己破産が認められる人には条件があります。自己破産要件について解説します。
自己破産できないケース
最初に自己破産が認められない代表的なケースをご紹介します。こちに該当すると、そもそも自己破産の申請自体ができないこともありますので確認しておきましょう
資産が多いと出来ない
財産(車・不動産・貴金属・株など)を売却し、その売却金額から借金を完済できる場合は自己破産はできません。自己破産は地力で借金を完済できない時に認められる手続きです。そのため、そもそも借金を上回る資産を保有している人は自己破産する必要がないと判断されますので、認められないことになります。
資産の方が多い方は自己破産ではなく、ご自身で資産を処分して、借金の返済にあてていく必要があります。
返済能力が高い人も駄目
資産の保有が多い人は自己破産ができないと前述しましたが、同様に、収入が借金に対して多い場合も自己破産が認められない条件に該当します。
収入が多い方は、自己破産で免責されるのではなく、収入から可能な範囲で返済を継続すべきとみなされるためです。具体的に言えば、債務整理(※利息制限法に引き直し計算)をして、債権者(消費者金融、クレジット会社、銀行など)と交渉をして、利息なしの長期分割(3年~5年)で返済することにより、借金を完済できる場合も自己破産はできません。
なお、利息制限法による引き直し計算というのは以下をご参考ください。
※利息制限法に引き直し計算とは?
・借金の金額が10万円未満の場合:年利率20%
・借金の金額が100万円未満の場合:年利率18%
・借金の金額が100万円以上の場合(101万円~):年利率15%
この利息が利息制限法により定められた利息です。
過払い金は取り戻せる
しかし、これ以上の利息で借金をしている場合があるかもしれないので、まず、借金をしている会社から、取引履歴(契約当初から現在に至るまでの借り入れ状況が載ったもの)を取り寄せます。
弁護士・司法書士に債務整理を依頼すれば、弁護士・司法書士が行なってくれますので、ご自身で借入先に依頼・交渉したり、面倒な計算を行う必要はありません。取引履歴を確認した結果、上記の利息より高い場合に、利息制限法に引き直し計算を行います。
引き直し計算をした結果、借金がゼロになる場合もありますし、利息を払いすぎている場合(いわゆる過払い金)もあります。その場合は、借金をしている会社から過払い金を取り返します。この場合ももちろん自己破産する必要がないので出来ません。債務整理をしても、収入や財産(車・不動産・貴金属などの売却を行っても)よりはるかに上回る債務があり、借金返済が不可能に陥った場合に限り、自己破産することができます。
専門家活用がおすすめ
自分自身は支払い不能に陥っていると思っていても弁護士・司法書士などの専門家に相談し、利息の引き直し計算をしてもらうことにより、自己破産を回避できる場合もあります。また、引き直し計算の結果、過払い金があれば、手元に戻ってくるお金があるかもしれません。
そのため、自己破産を検討するなら、まずは、専門家に相談することをおすすめします。
以下に、債務整理に力を入れており、さらに、自己破産などの代理人になった経験も豊富な弁護士事務所をご紹介しますので、是非、参考にされてみてはいかがでしょうか。
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自己破産申請までの流れ
専門家に相談した結果、自己破産の申し立てをすることが妥当だと判断された場合は、専門家の指示に従い、申し立ての準備をするのがいいでしょう。
ここでは、具体的にどの様な流れで自己破産申請の準備をするか流れを説明します。
支払いがストップ
自己破産を申請するため、代理人となる弁護士・司法書士に依頼すると、大きなメリットとして、そこから各金融機関に対する支払いがストップになります。弁護士や、司法書士は、債務整理に入る予定として、各債権者に支払い停止の連絡を行うのです。
さらに、以降は、各債権者からの連絡は、自己破産を予定する借入人ではなく、弁護士・司法書士などの代理人に一本化されます。そのため、各債権者からの問い合わせや、督促に対応する必要がなくなります。もし、こういった指示を無視して連絡してくる債権者(闇金など)がいても、弁護士などに依頼することで対応してもらえます。
必要書類を準備
裁判所へ自己破産申請するための必要書類を準備します。求められる書類は、「申し立てをする直近2ヶ月分の収入・支出」を裁判所に報告するための書類です。
具体的な書類をあげると以下となります。
収入を証明する資料
給与明細書のコピー
支出を証明する資料
賃貸契約書のコピー(借家・賃貸マンションの場合)、電気・ガス・水道の公共料金、電話料金のコピー、ガソリン代、嗜好品代、保険代なども支出蘭に書く必要があります。
財産を証明する資料
債務者名義の全ての通帳のコピー、保険証券のコピー、又、保険を解約したら解約返戻金があるかどうかの証明書のコピー、車を保有する場合は査定書
分かりやすく言い換えると、2ヶ月分家計簿をつけて、借金の返済をとめているにもかかわらず、収入から支出のお金を使ったら、手元にはいくら残るかという事を、関係資料を添付して証明する必要があります。証明しないと、裁判所も本当に借金返済が困難なのかわからないからです。
全ての財産が没収される?
自己破産すると全ての財産を無くしてしまうというイメージが強いですが、実際は、そうではありません。
20万円以下の現金は、保有していても問題はありませんが、それ以上、現金を保有していると、債権者に配当する必要があります(現金の保有額は、都道府県の裁判所の管轄により、金額は異なります)。逆に言えば、20万円までの現金は残すことができます。
生命保険は、解約返戻金が20万円以下であれば、解約しなくても大丈夫です。
車を保有している場合、売却した場合いくらで売れるかという査定書も必要です。査定してもらって高額であれば、売却する必要がありますが、数万ぐらいであれば売却する必要はありません。
債権者に配当する財産がない場合、または、わずかな財産しかない場合は、破産の申し立てをして認められれば、配当が行われず、同時廃止という手続きになり、裁判所から借金を返さなくていいという、許可がおります。これを借金返済の責任を免除されるという意味で、「免責」といいます。
免責が認められるケース・認められないケース
自己破産の申請を行った後、裁判所の判断として免責を許可しないケースがあります。それでは、どの様な場合、免責が認められるのか、具体的に例をあげてみましょう。
免責が認められる場合
借金をした理由が、以下のような場合には免責が認められやすくなります。
・病気やケガのため失業、休業、療養していて収入が減り、生活費の補填のために借金をした
・子供の学校資金(大学の入学金・授業料)のため
・借金の連帯保証人になっていたなど、やむを得ず借金をした場合。
免責が認められない場合
以下のようなケースでは、免責が認められないことがあります。
・パチンコ・競馬・競輪・競艇などギャンブルにはまって借金をした
・嘘をついて借り入れをした場合(例えば、収入を偽って借り入れをした場合。)
・債権者が数名いる中で、1人だけに偏って返済をしたことがある場合(例えば、親族・友人など1人だけに偏って返済をしたことがある場合)
・クレジットカードで買い物をして、すぐ売却して現金に換えた場合(売却目的で購入した場合です。)
・債権者のリストから外して、嘘の債権者リストを提出した場合。
・財産を隠した場合。(不動産の名義を自分名義から親族にした場合などです。)
上記の場合は、裁判所が免責を認めてくれない理由にあたります。これを免責不許可事由といいます。
しかし、免責不許可事由に該当するからといって、絶対に免責されないかと言えばそうではありません。免責不許可事由に該当しても、反省文を裁判所に提出することにより、裁判官が免責を認めてくれる場合があります。これを、裁量免責といいます。
上記のような不許可自由に該当しても、大部分の人が、裁判官から免責を認めてもらっているのが現状です。
自己破産のデメリット
自己破産をすると少なからずもデメリットがあります。借金の返済義務がなくなるというメリットだけを見て自己破産するのではなく、デメリットまで認識しておく必要があります。
<自己破産のデメリット>
・10年間は借り入れが出来なくなり、クレジットカードが持てなくなります。いわゆる、ブラックリストにのります。ローンも組めなくなるので、物(家電製品・車など高額な物)を購入するとき現金支払いになってしまいます。
・免責を受けるまでの間、警備員、保険の外交員、士業の職に就けません。
・住所と氏名が「官報」という新聞に掲載されますが、一般人はほとんど目にすることはありません。
以上の3点が自己破産した場合のデメリットになります。その点を十分に理解した上で、自己破産をするかしないかを検討してみてもいいと思います。
まとめ
カードローンや、クレジットカードのキャッシングなど、借入が過剰になってしまうと自力だけでは再生できなくなることがあります。一旦、借入が過剰になると、金利負担で一杯になったり、返済負担に追われてしまって追加的な借入が必要になることがあるからです。
こんな時、自己破産などの債務整理を検討することも選択肢になります。但し、自己破産は誰でも出来るわけではありません。自己破産を行って、免責が認められるには要件があります。本記事で紹介した自己破産要件を参考にしてみてはいかがでしょうか。