借金が膨らんでしまって、いくら頑張って返済しても完済できる目途が立たない時には、自己破産などの債務整理も検討してみる必要があります。自己破産すると、その時点で返せない借金の残りを免除してもらうことができます。
そのため、自己破産すると、借金をキレイに整理して、やり直すことができるというメリットがあります。自己破産は、借金問題に悩んでいる方に、非常に有効で、強力な手段となります。しかし、自己破産には、デメリットもあります。自己破産する前に、最後に気を付けておきたい注意点や、デメリットをご紹介します。
意外と悪影響は少ない?
自己破産に関しての知識が少ない方からすると、自己破産って非常に「悪い」イメージがあるかもしれません。自己破産すると全てを失ってしまったり、社会から「失格」・「落伍者」の扱いを受けてしまい、離婚など家族も失ってしまいそうな印象を持たれているのではないでしょうか。
しかし、これらの印象やデメリットの大部分は誤解です。自己破産による影響を考えるうえで、最初に知って置いていただきたいことは、「思っていた程、デメリットは多くない」ということです。もちろん、自己破産することによるデメリットはあり、失うものもあります。
しかし、自己破産を行ったからといって全てを失ってしまい、その後のやり直しがきかないというものでは決してありません。
戸籍に記録される!?
良く聞かれる疑問に、自己破産すると「戸籍」に記録が残って他人にばれるとか、「選挙権がなくなる」といったものがあります。結論から言えば、自己破産しても、戸籍に載るとか、選挙権を失うといったデメリットはありません。こういった自己破産に対する疑問は、誤解でしかありません。
破産は変わった!!
実は平成17年に自己破産を規定する法律である「破産法」は大きく変化しました。旧破産法の時代は、破産手続き開始決定が確定すると、裁判所から破産者の本籍地の市区町村にその旨が通知され、「破産者名簿」に記録されていました。
しかし、新破産法に変わってからは、「免責決定」が出れば、破産者名簿への記録から抹消されることとなりました。万一、免責決定が出なかった場合でも、市区町村発行の破産者名簿は、一般に公開される情報ではありません。誰かが破産者名簿を見て、破産の事実を知ってしまうという懸念は低いでしょう。
なお、「破産手続き開始決定」とは、裁判所に対して申立てした破産申立てが認められたことを意味します。また、「免責決定」とは、破産手続きが無事進み、返済できなかった負債を免除してもらう許可が、裁判所から出されたことを意味します。
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破産するとクビになる!?
自己破産すると、職場にばれて、仕事をクビになるというデメリットの噂を聞いたことがあります。しかし、これもただの噂であって、自己破産の本当のデメリットではありません。自己破産しても、会社からクビになることはありませんし、ご自身で辞める必要もありません。公務員であっても同様です。
稀に、借金を延滞していると、自己破産前に、裁判に訴えられて、「給与の差し押さえ」をされることがあります。給与の差し押さえとは、勤務先から支払われる給料を受け取る前に、直接、給与の一部が債権者に支払われる法的手段です。この時、借金があること、支払えていなくて訴えられていることが勤務先にばれてしまいます。
しかし、勤務先にばれても、「給与の差し押さえ」を理由として、従業員を解雇することは法律で禁じられています。給与を差し押さえられたからと言って、クビになることはありません。自己破産や給与の差押えが原因で会社に居づらくなって、自主的に退職しない限りは、解雇されることもありません。
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厳しい取り立てを受ける?
自己破産すると、債権者が夜中、早朝に関わらず、自宅に押し掛けて来て請求されたり、ひっきりなしに電話してくるといったデメリットを想像している方がいます。しかし、闇金など、相当に悪質なところから借入していない限り、こういったデメリットは自己破産にありません。少なくとも、「貸金業者」など、正規の免許を持って貸付を行っている業者であれば、問題ないでしょう。
自己破産では、通常代理人として、自己破産の手続きを弁護士に依頼します。自己破産は個人が自分単独で行うことはできません。そして、弁護士に委任すると、それ以降の債権者からの連絡や請求は、全て弁士に集約され、、借入人に対して直接請求すること自体が禁止されます(これは自己破産のメリットの1つです)。
それでも、しつこく連絡してくる債権者がいれば、弁護士に対応を依頼することで、連絡を辞めるように対応してもらえます。
新規借入が出来なくなる
自己破産することによる最大のデメリットは「信用を失う」ことでしょう。信用を失うというのは、「個人信用情報」に自己破産の履歴が登録され、自己破産による免責決定を受けても、その後、数年間に渡って履歴が残ってしまいます。
個人信用情報に自己破産が記録されると、以下のようなデメリットが生まれます。
・新規借入が原則出来なくなる
・クレジットカードが作れなくなる
・信用保証会社の利用が必要な賃貸物件が借りられなくなる
上記のようなサービスは、それぞれ、個人信用情報に記載された信用情報を確認して審査します。そのため、個人信用情報に、自己破産のことが掲載されると審査に通らなくなります。
但し、賃貸物件の場合、既に借りている賃貸物件の契約が解除されて、強制的に退去させられるといったデメリットはありません。家賃の支払いを滞納するなど、契約違反しない限りは、契約を解除されませんので、安心して良いでしょう。
士業の業務に制限
弁護士・司法書士・税理士といった、いわゆる「士業」と呼ばれる方には自己破産特有のデメリットがあります。これらの資格者は、自己破産することによって、資格を制限されるデメリットがあります。いずれの資格も超難関と呼ばれる資格であり、一生ものの資格です。
せっかく資格を取ったのですから、この資格を活かして仕事をされている方は少なくないでしょう。自己破産すると、資格者としての業務を制限され、士業にとっては、致命的なデメリットとなります。その他、制限される資格(もしくは職種)には、宅地建物取引士、行政書士、公認会計士、不動産鑑定士、警備員などがあります。
なお、良く聞かれる質問に、士業は資格を失うけど、「師」は問題があるか?というものがあります。例えば、医師が該当します。医師に関しては、自己破産しても資格を失いません。そのため、自己破産後も変わらず医師業を続けることができ、デメリットはあまりありません。
復権ってなに?
自己破産によって、資格者としての業務が出来なくなる場合でも、永久に停止となるわけではありません。一定の要件を満たすと、再度、資格者として仕事をすることができます。その要件のことを「復権」と言います。
復権とは「自己破産中」のため資格制限を受けた方が、「自己破産」が終了して、通常の状態に戻ったということを意味します。つまり、士業は自己破産中のみ制限されるのです。では、自己破産を申し立てしてから、復権するまでには、どの位の時間がかかるのでしょうか。復権にかかる時間はケース毎に異なります。
以下に、復権の例を示します。
・破産免責の許可を受けるとすぐに復権
・同時廃止となると、破産手続き開始後3ヶ月程度で復権
(同時廃止とは、現金化できる資産がなく、破産開始と同時に手続きを終了するものです)
・同時廃止、免責許可が出ないと10年経過後に復権
通常、自己破産して資産を隠すなどしなければ、同時廃止か、もしくは1年以内に免責許可決定が得られます。そのため、長くても1年程度で資格者としての仕事に復帰できます。自己破産のデメリットとは言っても、それ程大きな影響にはならないと言えるでしょう。
役員になれなくなる?
自己破産後のもう1つのデメリットとして、「会社役員になれなくなる」と聞かれたことがあるかもしれません。しかし、会社役員に収入することの制限も「旧破産法」による制限です。新破産法に変わってからは、自己破産中、破産後のどちらであっても、取締役への就任も問題ありませんし、起業することもできます。
しかし、注意点もあります。
自己破産後に役員になると、その会社の資金調達(銀行借入)に支障を来たす可能性があります。銀行は、法人向けの融資審査において、その法人の代表者や、役員を含めて、信用調査を行うことがあります。銀行内部には、数多くの情報が蓄積されているため、自己破産の事実を知る可能性があります。
そして、銀行では、「自己破産した」という履歴を極端に嫌います。そのため、自己破産の履歴がばれると、法人であっても借入できなくなるかもしれないというデメリットがあります。
転居・旅行の制限
自己破産を申し立てして、破産管財人が選任された場合、破産者は裁判所の許可を受けないと、旅行や、転居することができなくなるというデメリットがあります。自己破産で、破産管財人が選任される場合とは、破産者に「かなりの資産」がある場合です。資産全てを現金化して、債権者に配当するのが大変な場合で、かなり規模の大きい破産事件として扱われる場合が該当します。
こういった破産事件では、破産者が逃走したり、財産を隠してしまわないようにする目的から、旅行や、転居を制限するのです。しかし、裁判所からの許可は必要ですが、それほど許可を得るのは困難ではありません。しっかりとした理由があって、裁判所に届け出すれば、容易に許可が得られますので、心配する必要はないでしょう。
大部分の資産を失う
自己破産を申し立てすると、大部分の財産を失うというデメリットがあります。自己破産は、申立て時点の財産を現金化して、その現金で返済できるだけ返済します。そのうえで、返済しきれなかった借金を免除してもらうための法的手続きです。
そのため、保有している財産の大部分を失うというデメリットがあります仮に、自宅を保有していれば、自宅も売却されます。
自己破産で、自宅を守ることは原則できません。自動車などを保有していれば、こちらも売却されます。
もし、自宅をなんとか守りたいという時は、自己破産ではなく、個人再生などの手続きを利用する必要があります
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例外として、生活に必須の道具や、99万円以内の現金は、残すことができます。最低限度の資産を残さず返済に充てると、その後、破産者も生活を続けることが出来なくなります。そのため、最低限度の資産だけは残すことが認められています。
この99万円以内の現金など、残せる資産のことを、「自由財産」と言います。
保証人は免除されない
自己破産を申し立てする方のなかには、誤解している人もいます。それは、自己破産すると、借金自体が無くなるという誤解です。これは少し違い、自己破産したからと言っても借金自体が無くなるわけではありません。あくまで、自己破産を申し立てした方が免責されて、返済義務がなくなるだけです。
そのため、その借金に対して、「連帯保証人」がいる場合、借入人が自己破産しても、連帯保証人が負っている返済責任まで無くなる訳ではありません。自己破産後、債権者は「連帯保証人」に対して、返済を請求することになるというデメリットが発生します。連帯保証人が免責されるためには、連帯保証人自身が自己破産する必要があります。
自己破産のデメリット整理
自己破産すると、それなりにデメリットがあることがお解りいただけたと思います。一方で、致命的ともいうべきデメリットまでは無いと言っても良いでしょう。
こちらでご紹介した自己破産のデメリットを整理すると以下のようになります。
①新規借入できなくなる
②賃貸物件を借りにくくなる
③資格者の就業に制限がかかる
④自宅を含む財産の大部分を失う
⑤転居や旅行を制限される
⑥連帯保証人は免責されない
一方で、以下のような自己破産のデメリットは誤解です。
①自己破産すると自動的に勤務先にばれる
②仕事を失う(士業除く)
③戸籍に記録される
④選挙権が無くなる
まずは弁護士に相談
自己破産を含めた債務整理は個人が単独で行うことは困難です。経験豊富で、債務整理に精通した弁護士に相談して、実際の自己破産の手続きを依頼する必要があります。
まずは、信頼できる弁護士に実際に相談してみるのが良いでしょう。以下は、①24時間365日相談可能、②初期費用0円、③相談無料の弁護士事務所であり、自己破産などの債務整理に特化している弁護士事務所の例です。
任意整理や自己破産などの債務整理を行うには、弁護士や司法書士などの専門家に相談することが大切です。また、これらの専門家は事前に相談する段階なら無料で相談にものってくれますので、まずは相談されてみるのが良いでしょう。
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まとめ
自己破産すると、新規借入が出来なくなるなど、いくつかのデメリットがあります。しかし、致命的となる程のデメリットは無いと言ってもよいでしょう。
少なくとも、自己破産に対して持たれている「最悪」なイメージとは、大きくかけ離れているのではないでしょうか。自己破産を検討するなら、こちらに記載しましたデメリットや、注意点を確認して、もう一度、問題がないかを確認しておきましょう。
また、自己破産前には弁護士などの専門家に相談することも大切です。相談なら無料でできるという弁護士も存在しますので有効活用しましょう。
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