今回は住宅ローン借入時の銀行との交渉術を取り上げます。
住宅ローンによる借入額は数千万円といった高額での借り入れが一般的です。
これだけの高額になると、金利がたった0.1%下がるだけでも年間数万円の支払い利息が減ることもあります。
さらに、借入期間が30年であると仮定すると数十万円~数百万円もの差が発生することになります。
そのため、住宅ローン金利を下げられれば、大きな住宅ローン支払い額の削減につながります。
少しでも金利を安くするためには、正しい交渉術を身に付ける必要があります。
そこで今回は、金利を引き下げるための3つのポイントをまとめてみました。
ポイントを押さえて、金利を下げる交渉術を実践してみてください。
住宅ローンは金利が重要
住宅ローンは大きな金額を長期間に渡って借入することの多い商品です。
平均的な住宅ローンの借入額は3,000万円~4,000万円程度だと言われていますし、住宅ローンの借入期間は35年間を選択される方が大部分です。
こういった住宅ローンの特徴から、わずかな金利差が大きな支払い額の差につながります。
具体例で返済総額の違いを見てみましょう。
今回は住宅ローン4,000万円の借入残高があり、借入期間30年のケースで考えてみましょう。
加えて、住宅ローン金利を1.0%で借入する場合と、交渉によって金利を0.5%(▲0.5%)にできた場合で比較することにします。
借入残高4,000万円/残期間30年
交渉前 | 金利交渉後 | 借り換え効果 | |
住宅ローン金利 | 1.0% | 0.5% | ▲0.5% |
返済総額 | 4,632万円 | 4,309万円 | ▲323万円 |
毎月返済額 | 12.9万円 | 12万円 | ▲0.9万円 |
この時、月額の返済額で0.9万円、30年間の総返済額で323万円もの利息削減効果が生まれます。
323万円という金額は決して少なくない金額です。
住宅ローンは長期的に返済する借入であるため、金利がわずか0.5%下がるだけでも非常に大きな支払い額の差になるのです。
そのため、住宅ローン借入にあたっては、少しでも金利を下げるようにできる限りの交渉を行った方が良いのです。
住宅ローン金利を下げる3つの交渉術
住宅ローンの金利を下げるためには金利・条件を各銀行と比較しなければなりません。
何よりも優先すべき項目なので、最重要ポイントとして押さえておきましょう。
また住宅ローンは新規借り入れの金利を下げるのか、契約中の金利を下げるのかによって交渉相手が変わります。
それぞれの銀行との交渉上のポイントを身に付けて、金利を最大限に引き下げましょう。
金利・条件を各銀行で比較
1つ目の住宅ローン借入時の交渉術です。新規借り入れ・住宅ローンの借り換え、そして契約中の金利交渉など、どちらの金利を下げるときでも複数の銀行の住宅ローン商品を比較するのが最も有効です。
最低限の条件として、現在契約している、もしくは契約しようとしている住宅ローン金利の水準を知らなければなりません。
地方銀行の住宅ローンなら10年固定金利の住宅ローンで1%~2%前後が相場です。
都市銀行も同じくらいの金利ですが、全体的に地方銀行より割安となります。
そして、ネット専業銀行であれば、さらに金利が低くお得な住宅ローン商品も用意されています。
今検討している銀行の金利が相場より低いなら無理に交渉を行う必要はありません。
また、住宅ローンを借り入れるなら、各種キャンペーンなども見ておきましょう。
キャンペーンでは手数料や金利カット、現金キャッシュバックなどがあるため、かなりお得に住宅ローンが借入できます。
楽天銀行やイオン銀行ならポイント獲得量がアップするキャンペーンもあるので、色々と検討してみてください。
ネット銀行で事前相談
住宅ローン金利が最も低い水準となる銀行は、やはり「ネットバンク」になります。
そのため、金利交渉を効果的に行うには、ネット銀行を含めて住宅ローンを検討する必要があります。
ネット銀行の住宅ローンは店頭で対面相談する必要がなくインターネットから事前相談が可能です。
そのため、ネット銀行で相談してみて、ご自身の金利条件を確認しておくことで、借入金利の「目安」を知ることができます。
なお、銀行の融資手数料や、保証料は、各銀行ともに表現方法は異なりますが、それほど大きくは異ならないと思って良いでしょう。
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ご自身がネットバンクを活用した時に、どれだけの金利水準で住宅ローンを借入できそうなのかは確認しておく必要があります。
ネットバンクなら店頭に行く必要もありませんので、ホームページ上から必要項目を入力するだけで回答が得られます。
ネットバンクの住宅ローンの金利条件を確認したうえで、相談中の銀行と交渉を始めるのが良いでしょう。
▼以下は現在のネットバンクのなかで最も金利水準が低い住宅ローンの例となります。
★住信SBIネット銀行の住宅ローン
★業界トップクラスの低金利
★新規購入時の通期変動金利は0.32%(2023年5月現在)
★全疾病保障保険の特約を無料で利用できる
借入可能額(最大) | 1億円 |
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適用金利・手数料など | 変動金利0.32%(借り換え時 0.299%) ※所定の条件を満たした場合の通期変動金利となります※掲載金利は最大金利引下げ幅時の適用金利です。審査結果によっては、表示金利に年0.1%上乗せとなる場合があります。 |
所要時間 | 申込から融資実行まで1ヶ月程度 |
その他優遇など | 全疾病保障特約を無料で付加、一部繰上げ返済手数料無料 |
新規借り入れは不動産・ハウスメーカーから交渉
2つ目の住宅ローン交渉術は、住宅を購入する、もしくは建設を依頼する不動産業者を活用する方法です。
銀行から住宅ローンの新規借り入れを行うときには、銀行との住宅ローン交渉についても不動産業者やハウスメーカーに相談しましょう。
自分で交渉することもできますが、交渉ノウハウに長けた仲介業者に依頼した方が確実です。
住宅ローンの融資が下りなければ、仲介業者も住宅を販売できず利益は出ません。
あなたの希望金利を聞き入れた上で、銀行と住宅ローンの交渉をしてくれるでしょう。
ただし、仲介業者に斡旋してもらうと、約5~10万円の手数料がかかることもあります。
そのため、事前に手数料を確認しておき、無駄なお金を使わないように注意してください。
確実に金利を抑えるためにも、不動産やハウスメーカーにちゃんと相談しておきましょう。
なお、不動産業者、ハウスメーカー経由で住宅ローンの交渉を行う場合、ネット専業銀行は利用できません。
不動産業者などは、対面相談可能な都市銀行や、地方銀行としか交渉を行うことはできません。
そのため、金利条件が適正かどうかを確認するためにも、ネット専業銀行に対してはご自身で相談・事前申込を行っておく必要があります。
契約中の金利交渉は銀行と直接交渉
3つ目の交渉術です。すでに契約している住宅ローンの金利を下げたいなら銀行で直接交渉を行いましょう。
何よりも重視すべきは、他銀行との金利を比べながら交渉することです。
場合によっては、ネット銀行にWEB申込(事前相談)を行って、ご自身の利用可能な借入金利を確認してみるのも良いでしょう。
具体的な条件が解っていれば、現在の銀行との交渉も行いやすくなります。
また、事前申込なら特段の提出書類も必要ありません。
住宅ローンを他行に借り替えられると、銀行は金利で利益を出せなくなります。
そのため、基本的に他銀行の住宅ローンに借り替えを検討されていることが解ると、金利の引き下げを検討してくれます。
また、交渉を行うときには、他銀行への借り替え+αで話を進めましょう。
その銀行のキャンペーンや現在の変動金利とも比較すれば、金利を下げやすくなります。
「このキャンペーンを使えば、今より金利が下がりませんかね?」
「現在新規で申請して頂いた場合のキャンペーンですので、お客様は対象にはなりません」
「そうですか、それでしたら金利の下がる○○銀行に相談してみます」
こんな流れになれば、金利を下げてくれる確率がグンと上がります。金利が低いネットバンクと比べれば、より効果的に交渉を進められるでしょう。
例えば、金利差が0.3%空いていれば、銀行も条件を出しやすいです。
「そこまでは下げられないですけど、0.1%なら…」
この一言が引き出せれば、0.1%金利を引き下げられます。
たった0.1%と感じるかも知れませんが、年間で考えると数万円の割引となります。
なるべく金利を下げられるように、ある程度金利差があるところを比較に出していきましょう。
ただし、直接交渉で住宅ローン金利を下げるという交渉方法は、1つの銀行に対して、1度しか使えないと思っておいた方が良いでしょう。
2回目以降に金利を下げる交渉を行っても、「他銀行へ借り替えを考えていても、もう引き下げられません」と言われてしまうでしょう。
1度だけなら金利を下げるチャンスがありますので、ぜひ試してみてください。
金利交渉を行うときの注意点
住宅ローン金利の交渉を行うなら、2つの注意点を覚えておきましょう。
「比較する銀行」「金利差のボーダー」に注意しないと、金利交渉に失敗する可能性が上がります。
銀行との交渉を確実に進めるためにも、必ず意識しておきましょう。
金利交渉はネットバンク含めた3社を比較
2020年現在の地方銀行や都市銀行の住宅ローン金利のボーダーは1%前後になります。
都市銀行なら0.625%、地方銀行なら0.600%が現在の最安ボーダーです。
しかし、ネットバンクの住信SBIネット銀行なら0.410%と超格安金利です(2021年3月時点の住信SBIネット銀行)。
住宅ローンを金利で比較する場合、ネットバンクが安いため交渉に使いやすいです。
金利差が大きくなりやすいので、真っ先に比較の候補になります。
しかし、ネットバンクとの比較は金利引き下げの常套手段、銀行も簡単には動いてくれません。
「うちは都市銀行ですから、ネットバンクと比較されても…」。そう言われる可能性もあります。
地方銀行なら地方銀行、都市銀行なら都市銀行など、同じ銀行と比較するのが良いでしょう。
金利を抑えたいなら、契約中の銀行・同じ形態で金利が安い銀行・ネットバンクの3社で比較してください。
各銀行を比較することで、借り替えに本気というイメージも与えられます。
金利を少しでも抑えられるように、入念に比較先を選んでおきましょう。
また、他行の条件を材料として銀行に金利交渉を行う場合、他行の事前審査に通過しておく必要があります。
他行でいくら金利の条件をホームページに提示していても、実際にその金利が利用できるかどうかは事前審査を受けないと解りません。
他行のホームページ上の金利を示すだけでは、「それはあくまでも金利優遇を最大限受けた場合であって、あなたがその金利を利用できるかは別ですよ」と返されてしまうことになります。
まずは、ネットバンクなど、ホームページから相談できる銀行住宅ローンの事前審査に通過して、利用可能な適用金利を確認したうえで、金利交渉を行うのが良いでしょう。
借り換えは金利差0.5%以上が目安
借り替えを行った方が良いと判断する目安となる金利差は、0.3%がボーダーとされています。
つまり、住宅ローンの借り換え前の金利と、借り換え後の適用金利との間に0.3%以上の金利があると検討した方が良いということになります。
しかし、住宅ローンの借り換えは事務手数料、もしくは保証料が借入元金の2%と登記費用が必要になります。
住宅ローンの借入額が2,000万円として計算した場合で、50万円以上のコストになります。
借入額が5,000万円だとすれば、コストは100万円を超えてしまいます。
金利差が0.3%だと手間は増えるのに、お得にならないケースもあるでしょう。
借り換えのための繰り上げ返済を既存借入先である銀行に相談すると、「借り換えの結果総合的に見ると費用が高くなる」「手間の分だけ損しますよ」と言いくるめられる可能性があります。金利差を確実に交渉術で活かすなら、0.5%をボーダーとしてください。
もちろん、そう簡単に0.5%の金利差となることはないでしょう。
そもそもそれ以上高いのなら、本当に借り替えを行うべきです。
そのため、金利差を交渉術に活かすときには、借り替えも視野に入れておくと良いでしょう。
住宅ローンの金利は交渉次第!
住宅ローンの金利を下げるための銀行との交渉術を身につければ、住宅ローンはかなりお得に利用できるようになります。
住宅ローンの交渉は面倒と思われる方もいるかもしれません。
しかし、住宅ローン金利は非常に重要です。
たった0.5%程度の金利差であっても、住宅ローンの総支払額で数百万円の差を生むこともあります。
住宅ローン金利について交渉する時、意識するべきポイントは、以下の3つです。
- 住宅ローンは各銀行と比較すること
- 新規借り入れは中間業者に相談
- 契約中の金利は銀行と直接交渉
以上の点を踏まえて、住宅ローン金利を交渉すれば、住宅ローン金利を引き下げて、大きな結果につながる可能性は十分にあります。
おすすめの住宅ローン
住宅ローン金利の引き下げのために、是非活用したいネット専業銀行や大手銀行のネット申込専用の住宅ローンのご紹介です。
住宅ローンで良い条件を引き出すためには、まず条件の良い住宅ローン商品を選ぶことが大切です。
加えて、2~3行程度の住宅ローンに同時に相談して、条件を比較して進めていく必要があります。
住信SBIネット銀行
住宅ローンを検討する際に必ず含めて相談したいのが住信SBIネット銀行です。
住信SBIネット銀行は変動金利が住宅ローン業界でトップクラスに低い水準です。
借入金利が最も低い水準の住宅ローンということで人気が高い住宅ローンです。
さらに、住信SBIネット銀行では全疾病保証に無料加入できるメリットもあります。
全疾病保障は住宅ローン借入後に病気やケガなどで「就業不能」になってしまった場合に、住宅ローン支払いを保険会社が負担してくれる制度です。
★住信SBIネット銀行の住宅ローン
★業界トップクラスの低金利
★新規購入時の通期変動金利は0.32%(2023年5月現在)
★全疾病保障保険の特約を無料で利用できる
借入可能額(最大) | 1億円 |
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適用金利・手数料など | 変動金利0.32%(借り換え時 0.299%) ※所定の条件を満たした場合の通期変動金利となります※掲載金利は最大金利引下げ幅時の適用金利です。審査結果によっては、表示金利に年0.1%上乗せとなる場合があります。 |
所要時間 | 申込から融資実行まで1ヶ月程度 |
その他優遇など | 全疾病保障特約を無料で付加、一部繰上げ返済手数料無料 |
三菱UFJ銀行(ネット受付専用)
大手都市銀行のなかで最も人気のある住宅ローンが三菱UFJ銀行の住宅ローンです。
三菱UFJ銀行は日本の住宅ローンのなかで13年連続で最もご利用額が多い住宅ローンです。
つまり、最も選ばれている住宅ローンであり、人気NO1の住宅ローンと言っても良いでしょう。
そして、三菱UFJ銀行の住宅ローンは、店頭申込するよりも、ネット経由で申込する方が適用金利は大きく下がります。
☆三菱UFJ銀行のネット専用住宅ローン
☆13年連続で日本で最も利用されている住宅ローン
☆変動金利 0.475%(2022年1月現在)
☆3年固定金利 0.34%、10年固定金利0.74%(2021年4月現在)
☆申込手続きなどはネットで完結
☆7大疾病保障付き住宅ローン ビッグ&セブン<Plus>も利用できます
借入可能額(最大) | 1億円 |
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適用金利・手数料など | 変動金利 0.475%、3年固定金利 0.39%、10年固定金利0.74%(2022年1月現在) |
その他優遇など | 7大疾病保障付き住宅ローン ビッグ&セブン<Plus> |
au住宅ローン(じぶん銀行)
*2020年6月現在のau住宅ローンの金利
じぶん銀行とは三菱UFJ銀行とauを運営するKDDIが共同で設立したネット銀行です。
新興のネット銀行ならではの低金利とお得な団体信用生命保険の制度が魅力です。
もちろん、auユーザー以外の一般の方もau住宅ローンを利用できます。
2021年3月現在、変動金利は0.410%、10年固定金利でも0.55%で借入可能です。
☆じぶん銀行のau住宅ローン
☆業界最低水準の住宅ローン金利
☆がん50%保障団信が無料で利用可能
☆auユーザー以外の方でもお申込みできます
*じぶん銀行は三菱UFJ銀行とauの共同設立のネット銀行
借入可能額(最大) | 2億円 |
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適用金利・手数料など | 変動金利 0.31%、10年固定金利 0.465%(2022年1月時点・au金利優遇割適用時) |
所要時間 | 申込から融資実行まで1ヶ月程度 |
その他優遇など | 一般団信・がん50%保障団信の保険料が無料、一部繰上返済手数料が無料 |
- 変動金利・10年固定金利は業界最安水準
- 50%がん保障特約付き団信が無料で利用可能
- 保証料・繰り上げ返済手数料などが無料
まとめ
正しくポイントを押さえながら交渉すれば、住宅ローンの金利が下がる確率は高くなるでしょう。
金利が下がれば数十万、数百万円の金額になるため少しでも安く抑えるべきです。
金利の交渉を行うときは、各銀行との比較が最重要のポイントとなります。
また、新規借り入れの場合なら、不動産業者に相談しましょう。
不動産やハウスメーカーを利用すれば、金利の安い銀行をすぐに見つけてくれます。
契約中の金利を下げるときは、銀行と直接交渉を行わなければなりません。
ちゃんと比較先の銀行やキャンペーンを用意して、金利を引き下げてみてください。
比較する銀行はネットバンクのみでなく、同じ形態の銀行を用意しておくと効果的です。
さらに、借り替えに現実味を持たせるためにも、0.5%の金利差を意識しておきましょう。
住宅ローンの金利を下げられるように、ぜひあなたも金利を下げる交渉術を試してみてください。