住宅購入を自己資金だけで賄える人は稀であり、通常、住宅ローンを借入して購入します。
住宅ローンを借入する時に疑問に思うのが「この金利でこの金額を借入したら、いくらの利息を支払う必要があるのか」です。また、既に住宅ローン借入済みの方も、繰り上げ返済や借り換えによって、利息をどれだけ節約できるのかは重要な問題でしょう。
今回は住宅ローンの様々な場面で活用できる金利計算方法などについて解説します。
住宅ローンで重要なのは金利
やはり住宅ローンを借入する時に注意したいのが金利です。
住宅ローンは借入金額や借入期間などによっても異なりますが、金利の違いが数百万円もの利息の差につながることがあります。そのため、住宅ローンを借入する際には金利に注意しながら、どの住宅ローンを利用するかを選ぶ必要があります。
しかし、金利がどれだけ支払額の差に影響するのかは解りづらいものです。
住宅ローンは「元利均等方式」と呼ばれる金利タイプを利用されることが多いのですが、この方式の金利計算は非常に複雑です。元利均等方式は返済のたびに返済額に含まれる元金部分の金額が変動するため、計算方法が複雑になるのです。
しかし、金利計算が難しくて自分で出来ないわけではありません。
計算方法を知っていれば誰でも簡単に計算できます。以降では、住宅ローンの金利計算方法について解説していきましょう。
住宅ローンの金利計算方法
銀行などの金融機関がホームページ上で公開しているシミュ―レーションを利用して計算するのが確実で簡単な方法になりますが、金利計算方法を知っていればご自身で簡易的に計算することもできます。
特に、住宅ローンの金利計算で確認したいポイントは以下の3つです。
- 毎月の返済額
- 借入全期間の総返済額
- 利息の支払い額
この3つの点を計算できるようになれば、住宅ローンの比較や、返済計画を考えるために、計算式が有効活用できるようになります。
今回は住宅ローンで利用されることの多い「元利均等方式」を前提として計算してみましょう。この時、住宅ローンの金利・利息を考慮して毎月の返済額を計算するための式は以下になります。
(計算式:毎月の返済額)
毎月の返済額=借入金額×月利×(1+月利)α乗÷((1+月利)α-1)
*月利=金利÷12
*α=返済回数(30年間の借入の場合、360回=30年×12ヶ月)
例として、住宅ローンの平均的な借入金額である4,000万円を前提に、毎月の返済額、総返済額、利息の合計を計算してみます。
<前提条件>
- 4,000万円を元利均等返済方式で借入
- ボーナス返済なし
- 金利2.0%(年率)
- 借入期間30年間
この時、前述の計算式に当てはめて、毎月の返済額=40,000,000×0.02÷12×(1+0.02÷12)360乗÷((1+0.02÷12)360乗-1)≒147,848円と計算できます。
電卓で計算することもできますが、パソコンのエクセルを使えばもっと簡単に計算できます。エクセルで計算する場合には「セル」に以下のように入力します。
=(400000000.02)/12((1+0.02/12)^360)/((1+0.02/12)^360-1)
計算の結果、4,000万円を借入すると毎月の返済額が147,848円になることが解りました。(借入期間30年、金利2.0%)
さらに、総返済額や利息の支払い額合計も以下のように計算できます。
総返済額=147,848円×360回=53,225,204円(≒5,323万円)
利息支払額=53,225,204円 – 40,000,000円=13,225,204円(≒1,323万円)
今回は「元利均等返済」の毎月返済額の計算を前提としました。
元利均等返済とは、借入期間の途中で金利変更がなければ、借入当初から完済時までの毎月返済額を一定にする返済方式です。
そのため、計算で求めた毎月返済額を総返済回数に乗じることで総返済額が計算できます。そこから、借入額を控除すれば、利息の支払い総額が計算できます。
条件を変えてシミュレーション
それでは、上記の金利計算方法をもとにして、4,000万円を借入する場合の条件を変えながらいくつかシミュレーションしてみましょう。
<4,000万円借入時/借入期間30年のシミュレーション>
毎月の返済額 | 総返済額 | 利息支払額 | |
金利0.5% | 119,676円 | 43,083,289円 | 3,083,289円 |
金利0.625% | 121,882円 | 43,887,504円 | 3,887,504円 |
金利1.0% | 128,656円 | 46,316,091円 | 6,316,091円 |
<4,000万円借入時/借入期間35年のシミュレーション>
毎月の返済額 | 総返済額 | 利息支払額 | |
金利0.5% | 103,834円 | 43,610,343円 | 3,610,343円 |
金利0.625% | 106,059円 | 44,544,752円 | 4,544,752円 |
金利1.0% | 112,914円 | 47,423,997円 | 7,423,997円 |
2020年現在、ネット専業銀行を中心とした民間銀行の変動金利は0.5%を下回る水準で推移しています。例えば、住信SBIネット銀行の変動金利なら0.415%(2020年2月現在、金利優遇を最大限受ける前提)になります。
一方、借入全期間を固定金利にできるフラット35の金利は1.0%前後が中心です。こちらも具体例をあげれば、2020年6月時点の住信SBIネット銀行のフラット35(借入期間21年以上、団信あり、自己資金10%以上ある場合)の借入金利は1.03%です。
☆フラット35なら金利がお得な住信SBIネット銀行
☆長期固定金利で安心して借入できる
☆団信加入は任意で選択可能
☆審査規準が解りやすく利用しやすいのも特徴
借入可能額(最大) | 8,000万円 |
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適用金利・手数料など | 35年間固定金利 1.5%(2023年6月現在・保証型:自己資金10%以上) |
その他優遇など | 借入期間を通して固定金利 |
<
p id=”original_heading_001″>金利が0.5%異なるだけで利息の支払い総額は380万円以上も異なります。
この金利差は住宅ローンの選び方次第で実際に発生する可能性の高い金利差であり、現実的な金額です。
加えて、住宅ローンの適用金利は低下傾向で推移してきましたので、数年前に住宅ローンを借入した方であれば、借り換えで0.5%程度の金利を下げられる可能性は十分にあります。
住宅ローンの借り換えにも活用
ここまで住宅ローン借入時の毎月返済額や、総返済額、利息支払い額の計算方法をご紹介しました。
ここでご紹介した計算方法を活用すれば、
住宅ローン借り換えによる効果を測ることも可能です。
例えば、現在、最初に4,000万円の住宅ローンを借入して、現在の借入残高が3,000万円、借入金利が1.5%、残期間25年間である場合を考えてみましょう。
この時、借り換えせずに、このまま返済を継続する場合の毎月返済額や総返済額は以下で計算できます。
毎月の返済額=30,000,000×0.015÷12×(1+0.015÷12)300乗÷((1+0.015÷12)300乗-1)≒119,981円と計算できます。
さらに、総返済額=119,981円×300回(=25年間×12ヶ月)=35,994,269円(≒3,600万円)となります。
次に、住宅ローンを借り換えした場合の計算です。
2020年2月現在、住信SBIネット銀行の「借り換え専用」住宅ローンの適用金利は0.415%(金利優遇適用後)です。
先ほどの住宅ローンの残期間を変更せず、適用金利だけを住信SBIネット銀行の0.418%に変える(借り換えする)と、毎月返済額や総返済額は以下のように計算できます。
毎月の返済額=30,000,000×0.00415÷12×(1+0.00415÷12)300乗÷((1+0.00415÷12)300乗-1)≒105,333円と計算できます。
さらに、総返済額=105,333円×300回(=25年間×12ヶ月)=31,600,016円(≒3,160万円)と計算できます。
借り換え前と借り換え後の住宅ローンの総返済額を比較すると、総返済額は440万円減少することが計算できます(≒3,600万円-3,160万円)。
住宅ローンの借り換えによってこれだけの効果が得られるのであれば、住宅ローンを数年前に借入しているという方であれば、借り換えも是非、検討してみた方が良いと解るでしょう。
銀行は複数行で相談
住宅ローンを選ぶ際に、金利が重要なら一番金利が低い銀行だけ申込すれば良いと思われる方もいるでしょう。しかし、銀行1行だけに相談していては良い金利条件を得られない可能性があります。
それは、住宅ローンの優遇金利と審査結果に原因があります。
この優遇金利と審査結果の関係について解説していきましょう。
誤解されている方が多いのですが、同じ銀行で同じ住宅ローンを借りるとしても、利用する方によって住宅ローンの適用金利は異なります。そして、その理由は優遇金利にあります。
住宅ローンを実際に借入する場合の適用金利は、「標準金利‐優遇金利」で決定されます。標準金利は銀行ごとに毎月決められる金利ですので、どなたでも一律同じです。しかし、優遇金利は住宅ローンに実際申込を行って、審査結果によって決められますので申込人ごとに異なります。
現在の住宅ローン金利は優遇金利が大きく影響しているのです。
人気のある銀行の住宅ローンはホームページ上で魅力的な金利条件を大きく宣伝していますが、これも「優遇金利」を最大限適用した後の金利条件です。
そのため、ご自身がどういった金利条件で住宅ローンを借入できるかは、実際に借入申込して審査を受けてみなければ解らないのです。ホームページ上で宣伝している金利条件を利用できないことも少なくありません。
さらに、審査を受けた結果、落ちてしまって借入できないこともあります。
しかし、住宅ローンの審査基準などは銀行ごとに違いがあります。
同じ方でも複数の銀行に申込することで、それぞれの銀行ごとに得られる審査結果や、優遇金利の条件が異なることは多くあります。良い評価を得られる銀行もあれば、悪い評価を受けることもあります。
そのため、最大限に良い金利条件を得るためには、複数行で同時並行して住宅ローン相談、申込を行っておくことが重要になります。
おすすめの住宅ローン
ここでは、住宅ローンの商品性が良く、これから検討される方に、是非検討対象に加えられることがおすすめの住宅ローンをご紹介します。
住宅ローンは事前審査の結果によって、申込人毎に適用金利も異なりますので、2~3行程度は同時進行で相談されてみるのが良いでしょう。
au住宅ローン(じぶん銀行)
*2020年7月現在のau住宅ローンの金利
じぶん銀行とは三菱UFJ銀行とauを運営するKDDIが共同で設立したネット銀行です。新興のネット銀行ならではの低金利とお得な団体信用生命保険の制度が魅力です。
もちろん、auユーザー以外の一般の方もau住宅ローンを利用できます。
2020年7月現在、au住宅ローンは変動金利は0.410%、10年固定金利でも0.55%で借入可能です。
申込・相談はこちらから公式ホームページへ
☆じぶん銀行のau住宅ローン
☆業界最低水準の住宅ローン金利
☆がん50%保障団信が無料で利用可能
☆auユーザー以外の方でもお申込みできます
*じぶん銀行は三菱UFJ銀行とauの共同設立のネット銀行
借入可能額(最大) | 2億円 |
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適用金利・手数料など | 変動金利 0.31%、10年固定金利 0.465%(2022年1月時点・au金利優遇割適用時) |
所要時間 | 申込から融資実行まで1ヶ月程度 |
その他優遇など | 一般団信・がん50%保障団信の保険料が無料、一部繰上返済手数料が無料 |
変動金利・10年固定金利は業界最安水準 50%がん保障特約付き団信が無料で利用可能 保証料・繰り上げ返済手数料などが無料
住信SBIネット銀行
ネット銀行の住宅ローンのなかでも特に金利が低いことで有名な住宅ローンです。金利水準は全国の銀行のなかでもトップクラスです。
さらに、全疾病保証に無料で加入できますので、就業できなくなった場合の住宅ローン返済も免除してもらうことが可能です。
申込・相談はこちらから公式ホームページへ
★住信SBIネット銀行の住宅ローン
★業界トップクラスの低金利
★新規購入時の通期変動金利は0.32%(2023年5月現在)
★全疾病保障保険の特約を無料で利用できる
借入可能額(最大) | 1億円 |
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適用金利・手数料など | 変動金利0.32%(借り換え時 0.299%) ※所定の条件を満たした場合の通期変動金利となります※掲載金利は最大金利引下げ幅時の適用金利です。審査結果によっては、表示金利に年0.1%上乗せとなる場合があります。 |
所要時間 | 申込から融資実行まで1ヶ月程度 |
その他優遇など | 全疾病保障特約を無料で付加、一部繰上げ返済手数料無料 |
変動金利は業界トップクラスの低水準 全疾病保障に無料で加入できる
SBIマネープラザ
SBIマネープラザは、住信SBIネット銀行の住宅ローンを、対面相談で借入できるサービスです。
住宅ローンは専門家と相談して借入したい方におすすめの住宅ローンサービスです。なお、SBIマネープラザは店舗数が少ないため、以下からの予約が必須となります。
申込・相談はこちらから公式ホームページへ
三菱UFJ銀行(ネット受付専用)
大手都市銀行の三菱UFJ銀行ですが、店頭申込とネット申込で住宅ローンの借入条件は異なります。
特に、金利には大幅な差がありますので、ネット申込がおすすめです。
申込・相談はこちらから公式ホームページへ
☆三菱UFJ銀行のネット専用住宅ローン
☆13年連続で日本で最も利用されている住宅ローン
☆変動金利 0.475%(2022年1月現在)
☆3年固定金利 0.34%、10年固定金利0.74%(2021年4月現在)
☆申込手続きなどはネットで完結
☆7大疾病保障付き住宅ローン ビッグ&セブン<Plus>も利用できます
借入可能額(最大) | 1億円 |
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適用金利・手数料など | 変動金利 0.475%、3年固定金利 0.39%、10年固定金利0.74%(2022年1月現在) |
その他優遇など | 7大疾病保障付き住宅ローン ビッグ&セブン<Plus> |
13年連続国内で最も利用されている住宅ローン 3年固定金利が0.44%の低水準(2020年6月現在)
まとめ
今回は住宅ローンの金利計算や、毎月返済額、総返済額、利息支払い額の計算方法をご紹介しました。
住宅ローンの金利計算などは各金融機関のホームページ上でシミュレーションすることもできますが、計算方法を知っていればご自身で簡易的に行うこともできます。
また、エクセルの使用に慣れている方であれば、計算式を入力しておけば、簡単に金利計算することもできるようになります。
住宅ローンの計算は新規借入時だけでなく、借り換えの効果を測ることにも活用できますので、是非、知っておいた方が良いでしょう。