中小企業や小規模事業主(個人事業主)が資金調達する時に役立つ方法に、信用保証協会付融資(保証付融資)があります。
保証付融資は、中小企業や、個人事業主が銀行からお金を借入する際に、銀行の審査に通りやすくするための制度です。
保証付融資を上手く活用できれば、中小企業や、個人事業主の資金調達はかなり楽になりますが、逆に、活用できていないと資金調達できる方法が大幅に制限されてしまいます。
中小企業経営者・個人事業主が保証付融資の審査を通すためのコツ・ポイントを解説します。
保証付融資とは?
保証付融資とは、中小企業や、個人事業主が金融機関からお金を借入する際に、信用保証協会が保証人となってくれる借入金のことを言います。信用保証協会の保証が付いた融資なので、保証付融資と言います。
信用保証協会は、銀行などの金融機関から、中小企業や個人事業主がお金を借入する際に、審査に通りやすくなるようにサポートしてくれる公的機関です。
一般的に、大企業向けの融資に比べ、中小企業・個人事業主向けの融資はリスクが高くなってしまいます。そのため、金融機関は中小企業・個人事業主向けの融資に対して、消極的になりがちです。しかし、信用保証協会が融資に対して保証してくれることで、中小企業・個人事業主向けの融資であっても、金融機関の回収リスクが大幅に減少するため、金融機関は融資を行いやすくなります。
金融機関は、中小企業・個人事業主が借入を返済できなくなったとしても、信用保証協会が一定割合を保証履行(債務者の代わりに返済)してくれるため、貸し倒れ損失が低く限定されます。
貸し倒れリスクが低く抑えられるため、金融機関は、中小企業・個人事業主に対して、融資を行いやすくなるのです。
信用保証協会とは?
信用保証協会がどういった機関なのかを理解しておくことも大切です。
信用保証協会の役割や、目的を理解しておくと、保証付融資を利用しやすくなります。
信用保証協会は、昭和28年に設立された「公的機関」です。全国47都道府県と4市(横浜・川崎・名古屋・岐阜)に拠点をもち、各県それぞれの信用保証協会が設けられています。
信用保証協会は、大企業に比べて、資金調達能力が低くなりがちな中小企業や個人事業主が、資金調達しやすくすること(サポート)を目的としています。
あくまで、信用保証協会は直接お金を貸してくれるわけでは無く、金融機関からお金を借入しやすくするための機関です。その借入しやすくする方法が、借入に対する保証であり、金融機関のリスクを減少させることとなります。
保証協会付融資の重要性
中小企業・個人事業主にとって、保証付融資は非常に重要です。
保証付融資以外にも、中小企業や、個人事業主が利用できる公的融資制度は存在します。例えば、創業間もない時期であれば、日本政策金融公庫からの融資が役に立ちます。
それでも、圧倒的に保証付融資の重要性は高いのです。
以下は、平成26年度の主な公的融資取り扱い機関と、実際に利用した企業の数を表わしています。
<公的融資制度別・利用社数>
公的融資(政策金融) | 利用社数 |
日本政策金融公庫 | 97.7万社 |
商工組合中央金庫 | 7.3万社 |
信用保証協会 | 146万社 |
日本政策金融公庫の利用社数も多いですが、信用保証協会はその1.5倍もの企業が利用しています。それだけ、中小企業・個人事業主の資金調達にとって、重要な存在であることが解ります。
第3者保証が不要
保証付融資の特徴の1つは、第3者保証が不要ということです。
第3者保証というのは、中小企業にとって、代表者・経営者などの責任者以外の連帯保証人が不要ということです。
経営者にとって、ご自身が連帯保証人になることはやむを得ないとしても、友人・知人や、親族など、経営に関与していない方に連帯保証をお願いするのは難しいものです。
経営者間で連帯保証人を依頼すると、逆に依頼されてしまうこともあります。相互に連帯保証人になっていると、連鎖倒産の原因にもなります。
保証付融資では、経営者の連帯保証は必要ですが、経営者以外の保証を求めないというメリットがあります。
返済できなくなったら?
保証付融資でお金を借入して、その後返済が出来なくなった場合、信用保証協会が金融機関に対して支払います。これを保証履行・代位弁済と呼びます。
但し、中小企業・個人事業主は、借金が無くなるわけではありませんので注意して下さい。
信用保証協会が代わりに支払った金額は、そのまま信用保証協会が債権者となります。そのため、中小企業・個人事業主は、金融機関ではなく、信用保証協会に対して返済する必要があります。
借入人からすれば、返済する相手が、金融機関から信用保証協会に変わっただけで、保証付融資に対する返済義務があることに変わりはありません。
保証付融資の審査はだれがする?
保証付融資の審査は、金融機関と、信用保証協会のそれぞれが行います。つまり、審査は2回行われることになります。
金融機関は、プロパー融資(信用保証協会の保証が付いていない融資)に比べれば、回収リスクが大幅に低下する分、審査基準は甘くなります。しかし、一定の責任割合があるため、金融機関のリスクが「0」になる訳ではありません。責任割合とは、中小企業や、個人事業主が返済出来なくなった時に、損失の一部を金融機関も負うことになりますが、その割合のことを言います。
金融機関も一定の責任を負っていないと、信用保証協会が保証すれば、回収見込みの無い融資を行う危険性があるため、一定割合の責任は銀行が負うようになっています。
そのため、基準は緩いですが、金融機関でも一応の審査が行われ、その後、信用保証協会で審査が行われることになります。金融機関は、回収リスクが低いので、比較的通りやすく、保証付融資を受けるためには、信用保証協会の審査に通ることが重要となります。
保証協会の審査を通すポイント
それではここから、保証付融資を受けるために、信用保証協会の審査に通すためのポイントや、コツについて解説していきます。
こちらで紹介する「審査を通すコツ・ポイント」を抑えて、しっかりと準備すれば、保証付融資を受けられる可能性は大幅に高めることができます。
既存取引行から申込する
信用保証協会に申込する場合、取引銀行から申込する方法と、直接信用保証協会に相談・申込する方法があります。
このうち、審査に通りやすくするために良いのは、「取引銀行から申込」する方法です。
銀行は保証付融資の利用に熟知していますので、必要な書類内容や、信用保証協会との相談に慣れています。信用保証協会の審査に通すために、どういった資料や、説明が必要かを把握してますので、効果的な対応をしてもらえることが期待できます。
信用保証協会としても、融資の専門家である銀行からの申込の方が、スムーズに話をすすめることができます。
加えて、取引銀行は申込人である中小企業や、個人事業主のことも良く理解していますので、最大限、信用保証協会に対して、申込人の状況を伝えてくれます。銀行から申込する場合は、銀行が作成する意見も添付しますので、申込人のことを推薦してもらうことができます。
銀行への情報開示
信用保証協会への申込時だけでなく、日常的に銀行とのコミュニケーションを持つようにしておくことが大切です。その際、年度毎の決算書や、月次の試算表を開示するだけでなく、少なくとも半期毎に事業の状況を説明しておく必要があります。
銀行に対して、情報開示を行いたがらない経営者もいますが、それでは、必要な時に銀行からサポートを得ることもできなくなります。
すぐに融資を受ける必要がなかったとしても、将来的に融資が必要となる可能性があるのなら、銀行への情報開示は行っておくことが大切です。
銀行に最大限協力する
銀行経由で信用保証協会に申込する場合、銀行員が信用保証協会に提出する資料を作成し、個別に説明を行うことになります。その資料や、説明次第で、信用保証協会の審査結果が左右されると言って良いでしょう。
そのため、信用保証協会の審査に通る可能性を高めるためには、銀行員が資料作成・説明を十分に行えるように、最大限のサポートをする必要があります。
具体的なサポートの方法は、銀行員に対する説明と、資料提供です。
銀行員からの質問や、依頼に対して最大限対応することはもちろんですが、事業計画や、現在の事業の状況について、積極的に説明する必要があります。
保証付融資を受けるためには、銀行員と、借入申込人は協力して、信用保証会社へ申込対応するということを忘れないようにしましょう。
直接申込時の注意点
銀行を経由せず、直接保証協会に申込する場合は、申込に関する書類を自社で準備する必要があります。
その際、申込書の「企業概要欄」をしっかりと作成する必要があります。これらの申込書の内容が、信用保証協会の審査に通るかどうかの重要なポイントとなります。
信用保証協会の担当者と面談する機会もありますが、あくまでも補足であり、基本的な審査は書類をもとに行われます。提出した申込書・資料をもとに申込人がどういった事業を行っているのか、どういった会社なのかを判断します。
申込書の作成をいい加減に行ってしまうと、審査に通る可能性は低くなってしまいます。
良い「企業概要欄」のポイント
・事業内容を簡潔、十分に伝えられているか?
・サービス内容の強みを伝えられているか?
・今後の業績がどのように推移するか(見込)を説明できているか?
・収支計画から返済原資が生まれているか?
・数値計画の作成は「根拠」となる数値と計算根拠を明確にしているか?
・将来見込みに対するポジティブな点を説明できているか?
事業計画書を添付する
信用保証協会に申込する際には、申込書だけを提出するのではなく、事業計画書を作成して、添付することが大切です。
融資審査では、将来的に融資を返済できるのかが重要なポイントになります。そのうえでは、申込人がどういった事業計画を考えているのかが重要となります。事業計画をもとに返済できる原資があるのか、事業計画は妥当なものかが審査のポイントになります。
口頭での説明や、質問に対する回答だけで、信用保証協会に十分に事業計画を伝えることはできません。書面で作成した事業計画書を提出することで、伝えるべき内容が十分に伝わるようになります。
妥当性の無い事業計画は駄目
信用保証協会の審査を通すため、事実を無視した「事業計画」や、「業績見込」を作成することは逆効果です。実現可能で、妥当と考えられる根拠をもとに事業計画を作成する必要があります。
審査に通すため、現実的でない「販売計画」などを作成して、無理やり黒字となる計画を作っても、結果的には信憑性がないものと判断されてしまいます。実現可能性が低いと判断された事業計画には、価値がありません。
そのため、あくまでも実現可能で、妥当な事業計画を作成する必要があります。
数値・計算のミスを無くす
申込書や、事業計画に記載する「数値」・「計算」のミスは、何度も確認して、ミスを無くすようにしましょう。いくら確認しても「ミス」は発生してしまいますが、それでも極力「0」になるように何度も確認するべきです。
審査で重要となる業績、事業計画などの数値でミスが見つかると、提出書類の信憑性が疑われてしまいます。一旦、疑われてしまうと、提出した書類自体での審査が出来なくなり、再度提出が必要になったり、審査にマイナスの影響を与えてしまうこともあります。ミスの無い資料作りを心がけましょう。
文章表現を工夫する
信用保証協会への提出資料や、銀行に対して説明資料を提出する際には、文章表現も「ポジティブな印象」を与えるように、工夫するようにしましょう。
同じ内容であっても、ネガティブな面を説明するのか、ポジティブに説明するかで、受け手の印象は大きく異なってしまいます。
文章による表現や、定性面の説明では、表現方法を工夫して、ポジティブな印象を与えるように工夫するようにしましょう。
ファクタリングを活用
信用保証協会の融資審査を通すためのポイントは以上となります。
最大限の努力を行っておけば、審査に通る可能性は非常に高くなるでしょう。
しかし、信用保証協会の審査であっても、100%確実ということは無く、また、審査・契約には、1ヶ月程度の時間も必要になってしまいます。
万が一、保証付融資の審査に落ちてしまう場合や、保証付融資が受けられるまでの間のつなぎ融資など、念のための準備を行っておくことをおすすめいたします。
商取引上の売掛金があれば、資金調達できる可能性の高い方法に、「ファクタリング」があげられます。以下の「資金調達ガイド」では、5秒で無料・簡易の仮最低(利用可否の確認)が可能です。
いざという時のリスク回避として、ファクタリングの利用可否確認しておかれることをおすすめいたします。
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ビジネスローンをご紹介
売掛金をお持ちであれば、「ファクタリング」が有効ですが、売掛金が無ければファクタリングは利用できません。
ファクタリングが利用できない場合には、「ビジネスローン」を活用することがおすすめです。以下、代表的なビジネスローンとなりますので、「つなぎ融資」、「いざという時のご利用」を検討されてみてはいかがでしょうか。
https://www.ozyouzumoney.online/article/businessloan.html
▼ビジネスパートナーのビジネスローン
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法人企業、個人事業主のどちらも借入可能
第3者連帯保証人・担保は原則不要
まとめ
信用保証協会の保証付融資を受けるため、審査に通すコツ・ポイントをご紹介しました。
保証付融資は、中小企業・個人事業主が利用しやすくなるための融資制度ですので、信用保証協会の対象となる企業が、しっかりと準備しておけば、利用できる可能性は高くなると考えられます。
しかし、審査に100%はありませんので、ファクタリングや、ビジネスローンでいざという時の準備を行っておかれてはいかがでしょうか。
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