今回のメインテーマは住宅ローン審査に落ちる人の特徴から読み解く審査通過の準備方法です。
念願のマイホームを購入するには、住宅ローンを借りることが前提条件という人は多いでしょう。
そのため、銀行の審査に落ちてしまっては住宅が買えない方が多くなってしまいます。
しかし、事前準備次第では住宅ローン審査に通過しやすくなります。
そのためのポイントを審査落ちする人の特徴から解説します。
なお、住宅ローンにはフラット35と言われる公的金融機関がおこなっているものと、民間の金融機関(銀行など)の住宅ローンと大きく2つに分かれますが、今回は民間の金融機関に焦点をあてて解説します。
今回の記事のポイント
- 住宅ローン審査に落ちやすい人の特徴
- 審査に落ちないための申込方法・準備
- 複数の銀行で相談するのが良い理由
- おすすめ住宅ローンのご紹介
審査に落ちる人の特徴
最初に住宅ローン審査で落ちる人の特徴についてポイントを示しておきましょう。
その後に詳細な内容を解説しておきます。
民間銀行の住宅ローン審査で確認される項目には特徴があります。
それぞれの項目に対して、銀行が設定している基準を満たせるかどうかが住宅ローンの審査に通過するか、落ちるのかの分かれ目となります。
理想を言えば、全ての項目に対して基準を満たしておくことです。
<住宅ローン審査に落ちる人の特徴一例>
- 年収が低い
- 貯金が少ない
- 信用がない(返済実績がない)
- 借入金額が多すぎる
- 勤続年数が短い
審査に落ちるポイントとしては上記のようなものがあげられますが、これだけだと、それぞれの項目についての具体的な基準が解りづらいですよね。
以降では、住宅ローン審査に落ちる人の基準を解説していきましょう。
加えて、実際の銀行の住宅ローン審査でどのようなことが確認されているのかを確認しておきましょう。
スコアリングによる審査
最近の銀行は、AIの台頭もありますが、多くの銀行の住宅ローン審査で、まだスコアリングによるモデル審査を採用しています。
スコアリングとは、住宅ローン申込者の年収・年齢・勤務先・取引履歴などを点数化し、ランク付けする方法です。
具体的には、住宅ローン申込者の情報をシステムに入力することで、Ⅰ、Ⅱ・・・・Ⅶなど、7段階程度に分けます(Ⅰが一番点数高く、Ⅶが低い)。
上記のようなランク分け後、それに住宅ローンで購入する物件の担保評価・余力も加味し、審査結果を決めていきます。
Ⅰ~Ⅳだったら担保余力に関係なく通る、Ⅴ、Ⅵだったら、一定の担保余力以上あれば通る、Ⅶの人は担保余力関係なく落ちる、という具合です。
ちなみに担保余力とは、土地・家の担保評価から住宅ローンの借入金額を引いたものです。
銀行は借りた人が住宅ローンを返せない場合は、土地・家を売ってローンを回収します。
そのため、担保余力が大きくなる場合ほど、担保で保全されているということになりますので審査は通りやすくなります。
では、どんな人のスコアリング点数が高くなるのでしょうか?
銀行は点数を採点する項目を、「過去に返済できなかった人や返済が遅れている人など」の実際のデータを使って決めているところが多いです。
そのため、各銀行ごとの住宅ローン審査によって、すこしずつ採点項目・基準が違います。
また、だいたい年次でデータを更新やモデル内容をチェックしていますので、年々少しずつ変わっていきます。
でも、多くの項目はある程度共通かつ不変なところがあるので、それを説明していきましょう。
住宅ローン・スコアリングによる重要な採点項目
- 勤務先
- 自己資金
- 既存借入
- 勤続年数
- 返済比率
- 年収
- 取引実績など
勤務先は審査に影響する?
住宅ローンの借入申込人が働いている先です。勤務先は収入の安定性に影響しますので重要です。
公務員や有名企業(上場企業など)勤務であれば、審査にも通りやすくなります。
加えて、医者や弁護士、看護士、税理士などもすごく通りやすいです。
勤務先や職業で将来の年収・退職金がある程度決まるので重要です。
一方、会社の規模が小さくなるほど審査に通りづらいので、地方の中小企業や零細企業に勤めている人ほど住宅ローンの審査に落ちやすくなります。
さらに落ちやすい方として自営の人や中小・零細企業の社長は特に注意です。
住宅ローンはだいたいどこの銀行でも最長の借入期間を35年に設定していますが、35年続いている会社(特に零細企業)というのはあまりありません。
そのため、中小企業や零細企業の社長に対する住宅ローン審査も厳しくなります。
また、サラリーマンは年収が低下した場合や、会社がつぶれても転職すればいいですが、経営者はなかなか会社を辞めることができません。
過去に返せない人のなかに経営者が非常に多いため、スコアリング方式の審査では、非常に落ちやすくなっています。
経営者の人は、会社の実態を加味して審査してもらう必要があります。
そのため、会社として融資を受けている銀行があるなら、そういった銀行の担当者を通じて住宅ローンを相談するのが良いでしょう。
自己資金はいくら必要?
自己資金とは、家を買うときに、購入資金の一部として、どれだけ自分のお金を入れるかです。
言い換えれば、住宅ローンなどの借入以外の資金部分となります。
この自己資金も住宅ローンの審査結果にはかなり重要な影響を与えます。
自己資金が多ければ、その分住宅ローンとしての借入金額が少なくなります。
さらに、住宅ローンはその土地・家を担保にとられますが、自己資金が多いと銀行の保全にあたる担保余力(家の評価金額から住宅ローンを引いた価格)が増えるため、住宅ローン審査には通りやすくなります。
勤務先なんかは自身ではどうしようもない項目ですが(転職すると後述にある勤続年数で評価が下がる)、この項目は自身で計画的に準備すれば、いくらでも改善できる項目です。
また、親の援助なんか受けられる人も、受ければ受けただけ、この項目が有利になっていきます。
逆に、自己資金がなく、すべて住宅ローンで借りようとするケース(フルローンなどとも呼ばれます)では、前述と逆になるので、住宅ローン審査に通りづらくなります。
また、車のローンなど、ほかのローンが残っている人は、当たり前ですが自然と自己資金が少なくなりますので、ローンが残っている状態の人も通りづらくなります。
既存借入が与える影響
既存借入が多い方は住宅ローン審査に落ちる原因となります。
特にカードローンなどの生活費に充当するタイプの借入が多いのは審査落ちしやすくなります。
カードローンの借入枠は契約して持っているだけなら特に問題ありませんが、少しでも借入していると借入限度額の全額を借入残高としてみなされます。
例えば、カードローンで50万円の限度額を持っている方の場合、利用していなければ借入残高は0円です。
クレジットカードのキャッシング枠があっても、ショッピングしか利用していなくて、キャッシングしていなければ借入残高は0円です。
しかし、このカードローンで1万円でも借入すれば、住宅ローンの審査においては借入残高が50万円あるものとして計算されます。
借入残高の多い方は住宅ローン審査でも不利になります。
後述する返済比率も悪化しますし、そもそも生活費に借入を利用する必要があるということは、住宅ローンの返済を継続するほどの資金的な余裕がないのではないかと懸念されることになります。
そのため、利用しているカードローンが3件以上あると住宅ローン審査にも落ちる可能性が高くなるということを知っておいた方が良いでしょう。
勤続年数に対する審査基準
今、働いている職場での勤務年数です。転職すればリセットされますので、勤続年数が短くなって不利になっていきます。
日本の会社は転職しない方が、処遇・年収が有利になるケースが多いので、転職回数が多い人は住宅ローン審査で嫌われます。
また、転職してすぐの方の場合、審査に落ちやすくなります。
住宅ローンを取り扱っている銀行の目安として、多いのは、1~3年以上の勤続年数を求める基準です。
そのため、転職後は1年程度働いてから住宅ローンに申し込んだ方がいいでしょう。
なお、銀行のなかには勤続年数が3~6ヶ月以上でも申込可能というところもあるので、勤続年数の短い方は銀行選びが重要です。
勤続年数の短い方が利用できる銀行は以下を参考にしてください。
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返済比率(返済負担率)が重要
返済比率(返済負担率)というのは「(住宅ローンの年間返済額+他のローン年間返済額)÷年収」です。
これは、年収に占める借入に対する返済金額の大きさを示している指標です。
返済比率が大きいということは収入に対して返済額が大きいので、その分支払いが苦しく余裕が無い状態を示します。
つまり、銀行にとっては返済途中で支払いができなくなるリスクの高い融資となります。
もちろん、返済比率が低い方が住宅ローン審査に通りやすく、逆に高い方が審査に落ちやすくなります。
住宅ローン審査に落ちる方の特徴としては、この返済比率が35%を超えていることが多くなります。
以降に年収に関する説明がありますが、年収よりも返済比率の方が重要です。
住宅ローンの借入期間を長くすれば返済比率は低くなるので、重要度で言えば、勤務先や自己資金には劣ります。
フラット35は、この返済比率が一定数値以下になるのが必須条件として公表されています(フラット35の返済比率の最大は35%)。
民間銀行でも35%以下でないと審査に通るのは難しいでしょう。
また、実際に住宅ローンを借りた後のことを考えると、この返済比率が35%超えていると生活費に占める住宅ローンの割合が高くなりすぎてしまうので要注意です。
例として、年収500万円、家族4人、返済比率35%で考えてみると・・・
収入+500万円
支出▲100万円(税金など)
- 165万円(ローン返済、500万円×35%)
- 240万円(生活費、家族4人×5万円/月×12ヶ月)
残り・・・▲5万円
以上のように返済比率が35%でも生活費を考えるとやりくりが苦しくなることがわかると思います。
住宅ローンに申込する際に計画的に収入・支出を検討しておかないと、返済比率が高くなってしまいます。
年収・収入と審査の関係
解りやすいと思いますが、年収が低い人ほど住宅ローン審査には落ちやすくなります。
また、年収が低いと、その分前述の返済比率も悪くなりやすくなりますので、住宅ローン審査に対してはマイナスの要因となります。
住宅ローン審査に落ちる人の特徴としては、年収200万円以下で申込するケースがあげられます。
年収200万円以下でも住宅ローン借入は可能ですが、事前準備をしっかりと行っておく必要があります。
しかし、年収が低くても、勤務先が良いとか、貯蓄をちゃんとしていて自己資金があるなどでこの項目はカバーできます。
また、そもそもとして購入する住宅の金額によっては、年収が低くても問題とならないこともあります。
そのため、購入する住宅の金額と、年収・家族構成・自己資金などのバランスの方が重要となります。
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銀行との取引実績など
住宅ローンを申し込んだ銀行に、給与振込など取引が多ければ通りやすい傾向にあります。
ただし、その銀行で、過去にローンなどを借りて、返済が遅れたことがあるなど、信用に対するマイナス材料があると、逆に住宅ローンでも審査は通りづらくなります。
住宅ローンの審査の過程で、他の銀行も含めてローン・クレジットの現在の残高、延滞の履歴を個人信用情報によって調べます。
ほかのローンが多く残っていれば落ちやすいことは先述しました。
住宅ローンの申込書に用意された既存借入について記載する欄があります。
申込時に借入状況について嘘を書いても、個人信用情報を通してわかってしまいます。
心証を害するだけですのでウソを書くのはやめましょう。
住宅ローン審査に落ちやすい人に良く見られる傾向として、カードローンの借入件数が多いというものがあります。
全く使用していないカードローンが複数あるだけなら良いですが、目一杯借入しているカードローンが3~4枚あると審査に落ちやすくなります。
さらに、近時申し込んだローンの履歴も分かります。いろんな銀行で住宅ローンの申込をするとそれもわかります。
あまり、多くの銀行で住宅ローンを申し込みをすると、「なかなか他の銀行で審査が通らないのかな?
何か信用に問題があるのだろうか?」と勘繰られて、さらに審査に落ちやすくなることがありますので注意しましょう。
おすすめ住宅ローン
住宅ローンを借入する際には、審査落ちの原因を知ることに加えて良い住宅ローン商品を選ぶことが大切です。
銀行選びを間違えると、支払額が増加して、大きな損をしてしまうこともあります。
以下に、現在利用がおすすめな住宅ローンをご紹介します。
au住宅ローン(じぶん銀行)
*2020年6月現在のau住宅ローンの金利
じぶん銀行とは三菱UFJ銀行とauを運営するKDDIが共同で設立したネット銀行です。
新興のネット銀行ならではの低金利とお得な団体信用生命保険の制度が魅力です。
もちろん、auユーザー以外の一般の方もau住宅ローンを利用できます。
2021年3月現在、変動金利は0.410%、10年固定金利でも0.525%で借入可能です。
☆じぶん銀行のau住宅ローン
☆業界最低水準の住宅ローン金利
☆がん50%保障団信が無料で利用可能
☆auユーザー以外の方でもお申込みできます
*じぶん銀行は三菱UFJ銀行とauの共同設立のネット銀行
借入可能額(最大) | 2億円 |
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適用金利・手数料など | 変動金利 0.31%、10年固定金利 0.465%(2022年1月時点・au金利優遇割適用時) |
所要時間 | 申込から融資実行まで1ヶ月程度 |
その他優遇など | 一般団信・がん50%保障団信の保険料が無料、一部繰上返済手数料が無料 |
住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行はネット専業銀行であり、住宅ローンの借入金利が業界トップクラスに低いことで有名な銀行です。
さらに、全疾病保証に無料で加入できますので、死亡・高度障害だけでなく、その他の理由で就業不能になった場合も、住宅ローンの返済義務を免除してもらえます。
なお、住信SBIネット銀行では、親子ペアローンや、夫婦ペアローン、収入合算などにも積極的に取り組んでいますので、親子でも借入しやすい住宅ローンと言えます。
★住信SBIネット銀行の住宅ローン
★業界トップクラスの低金利
★新規購入時の通期変動金利は0.32%(2023年5月現在)
★全疾病保障保険の特約を無料で利用できる
借入可能額(最大) | 1億円 |
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適用金利・手数料など | 変動金利0.32%(借り換え時 0.299%) ※所定の条件を満たした場合の通期変動金利となります※掲載金利は最大金利引下げ幅時の適用金利です。審査結果によっては、表示金利に年0.1%上乗せとなる場合があります。 |
所要時間 | 申込から融資実行まで1ヶ月程度 |
その他優遇など | 全疾病保障特約を無料で付加、一部繰上げ返済手数料無料 |
なお、住信SBIネット銀行はネット銀行のため、対面で相談しながら借入できないのがデメリットだと言われています。
特に、親子で住宅ローンを借入する場合など、良く相談して借入したい方も多いでしょう。
こういった方には、SBIマネープラザがおすすめです。SBIマネープラザは対面相談しながら、住信SBIネット銀行と同条件の住宅ローンを借入できるサービスです。
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なお、SBIマネープラザは店舗数が少ないため、以下から予約することが必須となります。
★SBIマネープラザの住宅ローンサービス
★完全予約制ですのでまずはご予約ください
★ネット銀行の低金利を対面相談で利用可能
住信SBIネット銀行と同水準の低金利
全疾病保障特約を無料で利用できる
借入可能額(最大) | 2億円 |
---|---|
適用金利・手数料など | 変動金利 0.41%、10年固定金利 0.53% (2021年7月時点) |
所要時間 | 申込から融資実行まで1ヶ月程度 |
その他優遇など | 団信・全疾病保障付(金利上乗せなし) |
三菱UFJ銀行(ネット受付専用)
三菱UFJ銀行は大手都市銀行です。
さらに、三菱UFJ銀行は住宅ローンの取り扱い件数も全国で1番多いと言われている銀行です。
それも、13年連続で日本一となっており、文字通り、最も日本で人気のある住宅ローンと言えます。
さらに、三菱UFJ銀行はネット申込であれば、店頭申込よりもかなり低金利で利用できるという特徴があります。
三菱UFJ銀行の住宅ローンはネット申込すると追加で金利優遇が受けられるのです。
なお、三菱UFJ銀行は親子ペアローンや、収入合算も利用できます。
夫婦共働きで住宅購入を考えている方にもおすすめの住宅ローンです。
☆三菱UFJ銀行のネット専用住宅ローン
☆13年連続で日本で最も利用されている住宅ローン
☆変動金利 0.475%(2022年1月現在)
☆3年固定金利 0.34%、10年固定金利0.74%(2021年4月現在)
☆申込手続きなどはネットで完結
☆7大疾病保障付き住宅ローン ビッグ&セブン<Plus>も利用できます
借入可能額(最大) | 1億円 |
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適用金利・手数料など | 変動金利 0.475%、3年固定金利 0.39%、10年固定金利0.74%(2022年1月現在) |
その他優遇など | 7大疾病保障付き住宅ローン ビッグ&セブン<Plus> |
まとめ
以上の通り、住宅ローン審査のポイントと、住宅ローン審査に落ちやすい人の特徴を解説しました。
再度、審査に落ちやすい人の特徴を整理すると以下のようになります。
- 勤務先が零細企業、または、自営業や中小・零細企業の経営者
- 自己資金が少ない人(全額ローンを組む場合など)
- 貯金が少ない人
- カードローンで3件以上の利用がある人
- 勤務年数が短い人(1年未満)
- 転職回数が多い人、転職したばかりの人
- 年収が低い人(300万円以下は工夫が必要)
- 返済比率が35%以上となる人
- 過去や現在、ローンを借りて延滞したことがある人
- たくさんの銀行に申込している人
- 申込書にウソを書く人
住宅ローンの審査に落ちる特徴は、知っていれば事前に対応可能なものもあります。
また、申込する銀行の選び方でも結果は大きく異なります。
上記に当てはまる特徴がある人は、前もって準備するようにしましょう。
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