近年ファクタリング関連の詐欺被害が多発していることを受けて、金融庁では『ファクタリングに関する注意喚起』を行いました。
現在ファクタリングを利用している方も利用を検討している方も、ファクタリングについて今一度どのようなものか考えると共に、注意するべきポイントを頭にいれておきましょう。
ファクタリングに対する注意喚起の内容と発表に至った背景
今回の金融庁による注意喚起は、大きくわけて4つの内容から構成されています。
- ファクタリングについて
- 給与ファクタリングに関する注意喚起
- 事業者向けファクタリングに関する注意喚起
- 被害相談の推奨及び窓口紹介
金融庁のホームページ冒頭で「ポイント」として注意喚起内容を簡潔に提示しながら、上記の4点について被害の実例やポスターを交えて分かりやすく解説されています。
事業者向けのファクタリングと個人向けの給与ファクタリングの違いについても触れられており、正しい知識を身につけて自分自身をヤミ金融業者から守るために非常に有益な注意喚起文となっています。
既にファクタリング利用経験のある方も、これから始めてファクタリングを利用する方も、是非一度内容を確認してみるのが良いでしょう。
ファクタリング取引の注意喚起に至ったワケ
この注意喚起文が金融庁から発表されることとなった背景には、ファクタリング市場にヤミ金融業者が多く紛れ込んで違法行為を繰り返しているという問題があります。
ファクタリングは、貸金業と違い、特別な資格や登録がなくても始めることのできる事業です。
さらに、ファクタリングが注目されはじめて間もないということもあり、明確な法整備が整っていません。
また、ファクタリング取引に関する世間の認知度もそこまで高くないことから、ファクタリングについての正しい知識が身に付いていない利用者も多いのが実情です。
そこに目を付けたヤミ金融業者による、優良なファクタリング業者を装って高額な手数料の搾取・ファクタリングと装った違法貸付被害が多発し問題となっています。
新型コロナウイルス感染症により資金繰りが悪化した事業者・個人を狙った悪質ファクタリング業者による詐欺まがいの手口も多いといわれています。
ヤミ金融業者による被害が出ていることを公表することで、ファクタリングについての正しい知識を持って被害を一人一人が予防していくことが求められ、今回の注意喚起に至ったものと推察されます。
個人向け給与ファクタリングの注意喚起
2020年に発表され話題となった『給与ファクタリングは貸金業』という点についても改めて説明がされています。
これまで給与ファクタリングが「ファクタリング取引」なのか、それとも給与を裏付け(返済原資)とした貸付なのかは曖昧でグレーな状態が続いていました。
しかし、この給与ファクタリングの取扱いが明確となったのです。
給与ファクタリングは貸金業
結論を言えば、本来ファクタリングは事業者が保有する売掛金などの債権を売買することでの資金調達方法であり、個人の賃金債権は基本的にファクタリングに該当しません。
ファクタリングを使って債権を譲渡した場合の資金回収は、債権を買い取った側が行うことであり、譲渡した側が行うことではないのです。
しかし、給与の賃金債権については「雇用者は労働者に対して賃金を支払わなければならない」という労働基準法の規定があります。
そのため、賃金債権を譲渡した後であっても、利用者は資金の回収をしなければなりません。
これが“給与ファクタリングはファクタリングにあたらない”“給与ファクタリングは貸金業にあたる”と言われる理由の一つです。
名称にファクタリングとついているものの、給与ファクタリングは内容としては給与を担保にお金を貸している“貸金”ということになります。
そのため、給与ファクタリングを生業とするためには貸金業の登録が必須です。
貸金業登録をせずにこうした業務を営んでいる時点でヤミ金融業者ということになりますので、貸金業登録のない事業者で給与ファクタリングは絶対に利用してはいけません。
ヤミ金融業者による被害事例
ここでは貸金業登録を受けていないヤミ金業者で給与ファクタリングを利用したことによる被害について確認します。
- 年利換算で数百%にもなる利息
- 不適切な時間帯も含めた、執拗な電話や大声での取り立て
- 高額な遅延損害金の請求
- 家族や勤務先への押しかけや取り立て
ヤミ金融業者の給与ファクタリングを利用してしまったことで、上記のような被害事例が報告されています。
「消費者金融を利用することに抵抗がある方でも、貸金ではなくファクタリングだから安心」などといううたい文句で給与ファクタリングを進めてくるヤミ金融業者は後を絶ちません。
給与ファクタリングは貸金です。
利用する前に、貸金業登録の有無を金融庁HPにて確認しましょう。
事業者向けのファクタリングの注意喚起
事業者向けのファクタリングでも、ヤミ金融業者による被害が多く報告されています。
その内容は、『ファクタリングを装って違法な貸付を行う』というものであり、こちらも個人向けの被害事例と同様に、貸金業登録を受けていないヤミ金融業者によって行われています。
ファクタリングとは?
ファクタリングとは、後日入金される予定の債権をファクタリング会社に売却することで資金を調達する方法のことです。
実際の債権額よりも低い価格での売却とはなりますが、早期に資金を手に入れることができる・債権の回収リスクも一緒に売却できるというメリットがあります。
ファクタリング取引では『債権譲渡契約(売買契約)』という契約書を交わし、債権回収リスクはファクタリング業者が負うのが一般的です。
しかし、ファクタリング取引を装って、実質的な融資取引を行うヤミ金業者が存在していますので注意が必要です。
ヤミ金融業者による被害事例
- ファクタリングではなく「債権担保貸付」として貸し付けを行う
- 売主が債権を買い戻すこととされている
- 売主自身の資金によりファクタリング業者に支払をしなければならないこととされている
- 債権の額面と無関係に金員の授受がなされていた
- ファクタリング業者が債権回収のリスクをほとんど負っていない
- 悪質な取り立て行為
- 高額な手数料の徴収
- 著しく低額な買取代金で契約させられる
事業者向けファクタリングに関する被害は、様々な騙しのパターンがあるため気を付けなければなりません。
基本はファクタリング会社との契約書の内容をしっかりと確認することで解決できますので、契約前に少しでもわからないことがあれば確認し、疑問を残したまま契約することのないようにしましょう。
被害相談の推奨及び窓口紹介
個人向け・業者向け共に、悪質な業者を利用することでかえって資金繰りが悪化し、多重債務に陥り生活や事業が破綻する恐れがあります。
怪しい業者を利用してまで、お金について個人で解決しようとするのは危険です。
相談窓口を活用しながら、公的な支援制度の利用も視野に入れていくことが推奨されます。
また、すでに利用している業者がヤミ金融業者かもしれない・取り立て等で悩みを抱えているという場合には、すぐに警察や消費生活センター等第三者機関へ相談しましょう。
また、民間の弁護士(債務整理を得意とする弁護士など)に相談することで、ヤミ金業者からの違法な取り立てなどに対する対応も可能です。
安心安全にファクタリングを利用するなら以下がおすすめです。
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資金調達限度額 30万円~5,000万円
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資金調達限度額 30万円~5,000万円
利用できる方の条件 個人事業主・法人ともに可能
まとめ
ファクタリング業者を装ったヤミ金融業者による被害は、増加傾向にあります。
様々な手段を使って人々からお金を巻きあげるヤミ金融業者に騙されない為にも、利用者である私たちが正しい知識を持っておくことは非常に重要です。
金融庁が公表しているファクタリング取引に関する注意喚起も参考として、どのような被害が出ているのかを知っておくことで防げる被害もあるでしょう。
怪しいなと思ったら、すぐに第三者へ相談をすること・契約書は面倒でもしっかりと読み込むことなど基本的な所から徹底していくことで、自らを守ることにつながります。