中小企業は資金調達を行うときに、様々な課題があるため、大企業と比較すると資金調達に苦労するケースが多く見られます。そこで、中小企業の資金調達の課題を分析・理解して、資金調達を成功させるための参考にしてみましょう。
また、銀行融資だけを対象とするのではなく、新しい資金調達方法もご紹介しますので、自社で導入できるものがないか考えてみてください。
中小企業の資金調達には課題が山積み
中小企業の資金調達は様々な課題があるため、大企業に比べると難しくなってしまいがちです。政府が公表する「中小企業白書」などでも、たびたび中小企業の資金調達環境が厳しいものであると意見されています。
中小企業の資金調達を難しくしている課題には様々なものがあげられますが、ここでは代表的な理由を3つ解説いたします。この課題に自社が当てはまっていないか確認してみてください。
担保にする不動産がない
新規の金融機関と取引を行うときには、信用関係が形成できていないため、担保とする不動産などが必要となりますが、経営者によっては担保にできる不動産を所有していないことも多くあります。
工場などの不動産を所有・経営している人は、土地・建物や機械などを不動産として担保にできますが、賃貸・レンタルで営業している会社では、土地や設備を所有していないこともあります。金融機関としては、融資した企業が予定していた収益をあげることができず、返済資金に不足したとしても、担保から回収できますので保全は高くなります。
一方、担保にする不動産がない企業は、金融機関としても貸倒のリスクが増えるため、高額な融資は行いにくくなります。
不動産などは持っていない方がすぐに用意することはできないでしょうが、担保となる資産は不動産だけではありません。経営者個人が保有している「株式」などの有価証券、定期預金なども担保となることがあります。
資金力や企業知名度が低い
融資を行うときには、銀行は取引をしている会社の資金力や規模から融資の可否や金額を判断します。したがって、経営規模が小さい会社であったり、企業の知名度が低い企業であったりすると金融機関から融資を得られにくくなります。
また、会社規模が小さいと金融機関としても、1回の取引額が少額になるため、取引額の大きい大企業と比較して取引を後回しにしがちです。さらに、融資できても金融機関にとっての融資額としての成果も大きくないことから、難しい案件に対して努力せず、融資を拒否することが多くなってしまいます。
このような理由も、会社の規模が小さい中小企業が資金調達を行いにくい原因となっています。
社債や株式の買い手が付かない
企業の資金調達法として、社債や株式を発行するという方法もありますが、これらの方法も社債や株式の買い手が付かないため、中小企業は利用しにくいのが現状です。
先ほどの内容と少し被りますが、会社の知名度が低いと社債や株式を発行しても買い手がなかなか付かずに、資金調達法として活用しにくい側面があります。
ベンチャー企業のように将来性や成長力を期待させることができれば、ベンチャーキャピタルを集めることも期待できますが、目立った成長性の無い中小企業には少し難しい資金調達方法と言えます。
中小企業の代表的な資金調達先3選
中小企業が資金調達をするときには、銀行などの一般的な金融機関に融資を申込みに行っても、課題が多いためなかなか思ったように借入ができません。
そこで、中小企業にも比較的積極的に融資を行ってもらえる金融機関や資金調達先を3つ紹介します。まだ申し込みをしていない資金調達先があれば、是非申込みを検討してみてはいかがでしょうか。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、中小企業や起業したての会社、女性経営者の会社、一度失敗して再挑戦する会社など、一般的には資金調達が難しい会社にも融資を行っている公的な金融機関です。
申込方法や審査についても、比較的銀行や信用組合などと近い仕組みであるため、これまで金融機関に審査を受けたことのある会社は同じ感覚で申込みができます。また、以前は融資金額に対して3分の1の自己資本金が必要でしたが、現在は10分の1以上であれば申込可能になりました。
中小企業だからと言って、頭ごなしに融資を断られることもないため、日本政策金融公庫の担当者に現状の話をしながら、まずは融資の相談をしてみてください。
<関連:日本政策金融公庫から融資を引き出すポイント>
地方自治体の制度融資
地方自治体が行っている制度融資を活用すれば、銀行や信用組合などの金融機関から融資を受けやすくなります。
制度融資とは、地方自治体が指定している金融機関に融資を斡旋してもらえる制度です。信用保証協会への利息を一部割引してもらえるなど、中小企業でも融資を受けやすい様に環境を整えてもらえる公的な融資制度になっています。
制度融資は利用できる方の特徴が決められていることが多く、対象にあてはまらなければ利用できません。一方、ご自身が対象に含まれていれば融資審査に通りやすくなります。まずは、営業する地域の市町村などに制度融資がないかを確認してみるのが良いでしょう。
制度融資で借入を行う場合には、中小企業でも審査に通りやすいだけではなく、一般的な銀行からの融資(プロパー融資)よりも低金利で借入ができるというメリットもあります。
<関連:制度融資を活用するためのポイント>
民間企業のファクタリング
担保は用意できないが、売掛債権なら用意できるという会社は、ファクタリングという資金調達手段もあります。
ファクタリグとは、期日回収前の売掛債権を専門の会社に売却することで、早めに現金化してもらう仕組みを指します。簡単に言えば、売掛債権という資産を売却する方法です。したがって、融資のようにお金を借りるわけではなく、負債を増やさずにキャッシュフローを改善できる資金調達方法と言えます。
特に、高額で支払いサイトの長い売掛債権を取り扱うことの多い建設業は、ファクタリングの恩恵を受けやすいので、おすすめの資金調達方法と言えるでしょう。
ファクタリングは融資ではなく、売掛債権を売却することによる資金調達方法ですので、しっかりとした売掛債権さえ保有していれば、比較的利用しやすい資金調達方法となります。ファクタリングの利用希望者が赤字や、債務超過といった状況でも利用できる方法として知られています。
▼ファクタリング会社の例
☆ファクタリング業界で最も知名度・利用実績が豊富
☆全国対応可能
☆かんたん5秒の簡易診断サービスあり!
適用金利・手数料など | 2%~(ファクタリング手数料) |
---|---|
所要時間 | 最短即日での現金化 |
その他優遇など | 2社間・3社間ファクタリングも利用可能 |
資金調達限度額 | 3億円 |
利用できる方の条件 | 個人事業主・法人ともに可能 |
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その他優遇など | 2社間・3社間ファクタリングも利用可能 |
資金調達限度額 | 3億円 |
利用できる方の条件 | 個人事業主・法人ともに可能 |
<関連:おすすめファクタリング会社>
中小企業が資金調達する方法
中小企業が資金調達を行うためには、いくつかの成功させるためのポイントや方法を実行する必要があります。何度資金調達に挑戦しても、中々上手くいかない人は、以下で紹介するポイントや方法を実行してみてください。
自己資金を増やす
銀行や日本政策金融公庫などの金融機関に、融資の申し込みをするときには、自己資金を増やすことで審査に通りやすくなります。自己資金とは、ご自身が必要と考える必要資金総額のうち、借入に頼らずに用意しておく資金を指します。
日本政策金融公庫の場合には、自己資金の割合は借入金額の10分の1以上で申込みができると言いましたが、10分の1ギリギリしか自己資金がないよりも、多めに自己資金を用意されている事業者の方が金融機関の印象が良くなり、審査にも通りやすくなります。
このため、できる限り前もって自己資金を蓄えておいたり、家族・知人などからお金を借りて、自己資金の割合を増やしてから申込みをするようにした方が良いでしょう。
融資申込書には正確に記入する
融資申込書への記入や、金融機関からの質問事項に対しては、ごまかしたりせずに正確に回答することが大切です。金融機関は融資審査のプロであるため、申込書などに嘘を付いたり、間違った回答を行うとすぐに気づかれてしまいます。。
また、意図的に嘘をついたわけでなくても、書類内に不備があると、「この会社は管理がずさんである」と判断されてしまい、信用を大きく失ってしまいます。
したがって、決算書や事業計画書など提出書類の内容は入念にチェックをして、間違いがないか確認をしておきましょう。可能であれば、他の役員や書類作成に詳しい人に確認をしてもらって推敲を行うとより良いでしょう。
金融機関にこまめに情報共有
金融機関とこまめに打ち合わせを行って、融資の状況や自社の状況を詳しく伝えることも、融資や資金調達を行う上で重要です。金融機関や資金調達先と細かく打ち合わせを行うことで、相手とのコミュニケーションが円滑となったり、会社の状況を正しく理解してもらうことにもつながります。
また、金融機関の場合には担当者が直接、融資の承認を行うわけではありませんが、自社の状況を丁寧に伝えれば、上司や支店長へも詳しく伝えてもらえ、承認をもらえる可能性が高くなります。
信頼関係を築いておけば、たとえ資金調達を断られてしまっても、別の機会で役に立つ可能性がでてくるので、付き合いは大切にしておきましょう。
新しい資金調達方法も試す
これまでは資金調達法と言っても、金融機関からの融資や社債の発行など、昔から使われてきた方法を解説してきましたが、年々会社の資金調達法として新しいものが増えてきています。
特にベンチャー企業や創業したての会社が利用しやすい資金調達法が多いため、自社で利用できるものがないか確認して行きましょう。
エンジェル投資家
アイデアや事業の内容は具体的に固まっているが、事業の資金がない場合には、エンジェル投資家に投資をしてもらうという資金調達法があります。
エンジェル投資家と呼ばれるベンチャー企業に積極的に投資を行う資産家がいるため、このような投資家に事業の成長性を伝えることができれば、希望額の投資を受けられるかも知れません。エンジェル投資家は決算書などの事業の実績よりも、事業の将来性や、革新性などを判断して投資可否を判断することが多いので、創業間もない事業者でも資金調達できる可能性があります。
日本ではまだまだエンジェル投資家の人数は少ないですが、ビジネスコンテストなどの型式で大きく募集されていることもありますので、情報を広く集めるようにしておくと良いでしょう。
クラウドファンディング
クラウドファンディングで事業を指示してもらい、資金調達をするという方法もあります。
クラウドファンディングの魅力は資金調達とともに、会社や事業、商品の知名度を向上できるという点です。クラウドファンディングとして、サイトに登録することで自社を知らなかった人まで、会社の事を認知してもらえるので、今後の活動を行うときにさらに援助してもらえる可能性まであります。
ただし、目標金額まで到達しない可能性もあるため、クラウドファンディングの募集を始める前に、仕組みや金額を集めるためのコツを勉強しておきましょう。
補助金・助成金
資金調達は借入や、出資だけではありません。公的な機関から返済義務の無いお金をもらえることがあります。それが、「補助金」や「助成金」です。中小企業であれば、公的な補助金や助成金を受けられる可能性があります。
公的な補助金や助成金は、会社のある地域の地方自治体ごとに異なってきます。また、都道府県と市区町村でも補助金の種類は異なるため、どちらも確認しておいた方が良いでしょう。
商工会議所に所属している場合には、助成金の種類や内容について会議所の人や商工会議所のメンバーが教えてくれる場合もあるため、一度相談してみることをおすすめします。
▼補助金・助成金の例
https://keiei-consultant.com/hozyokin/”]
まとめ
中小企業が資金調達を行うためには、様々な課題をクリアしなければならないため、簡単に資金を用意することは難しいです。
しかし、中小企業に対して積極的に融資をしてくれる金融機関や、中小企業が利用しやすい新しい資金調達法もあるため、これらの資金調達法を駆使しながら資金調達を行ってみてください。
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