病気や怪我は気を付けていても避けることができないものです。それは自身だけでなく、配偶者や子供など、ご家族も同様です。保険にしっかり入っていれば、ある程度治療費用を捻出できます。
しかし、保険料の負担も軽いものではなく、保険に加入されていなかったり、保険の対象外となる治療だったらと思うと心配になってしまいます。
病院費用・治療費を削るにも限界がありますし、家族のことなら、特にできるだけのことをしたいと考えるものです。
今回は、こういった病院費用・治療費を賄うための方法を、借入を含めて解説いたします。
病院にかかる費用はどれくらい?
入院した場合にどれ位の費用がかかるかをご存知でしょうか。厚生労働省の平成24年の調査では、1回入院診療した場合の平均的な費用は50万円だそうです。
これが「がん」の場合、20万円高くなって70万円程度、脳血管疾患の場合は80万円にもなるそうです。病院費用・治療費って高いですよね。
しかも、贅沢品と違い、「もったいないから辞めておこう」なんて言ってられません。病院費用・治療費は避けて通ることの出来ない費用だと言えます。
高額療養費制度が活用できる
病院費用・治療費が発生した時に、最初に考えるべきは、「借入」ではなく、「公的制度」です。治療費用が高額になってしまった場合に、個人の負担を抑えるために、補助してくれる公的制度があります。
通常の医療費用の自己負担割合は3割です。
先程の、入院費用が50万円とすれば、自分で負担すべきは15万円です。しかし、この自己負担額には上限が設けられています。
病院で長期入院となった場合や、医療費用が高額になった場合に、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分は、払い戻しを受けることができます。この制度のことを、「高額療養費制度」と言います。
高額療養費制度を利用した場合には、本人が負担する病院・治療費用には上限が設けられますが、この上限は、所得水準によって3段階に分けられます。
所得水準による区分
自己負担上限額を分ける区分
①上位所得所(標準報酬月額53万円以上)
②一般(上位、低所得以外)
③低所得者(市町村民税非課税)
①の標準報酬月額というのは、年収から月平均の給料額を算出するものと考えておけば良いので、①の上位所得者に分類されるのは、おおよそですが、年収636万円以上ということになります。
そして、それぞれの自己負担額(月あたり)は以下となります。
①上位所得者=15万円+(医療費-50万円)×1%
②一般=8万円+(医療費-26.7万円)×1%
③低所得者=3.54万円
つまり、高額療養制度を活用しても、年収600万円以下の方が、月額8万円以上の治療費を負担する可能性があるということです。治療費用が50万円であったとすれば、8万円+0.2万円{≒(50万円-26.7万円)×1%}で、8.2万円ということですね。
高額療養制度のおかげで、41.7万円を公的制度で負担してもらえるのは助かりますが、正直、8.2万円でも、負担としては重いという印象です。これが、2~3ヶ月に渡れば、さらに膨らんでしまう可能性があります。
高額療養費制度の対象
なお、高額療養費制度の対象となる方は、公的な医療保険(健康保険組合・全国健康保険協会(協会けんぽ・船員保険)・国民健康保険・共済組合など)に加入している方となりますので、それ以外の方は対象になりません。
そして、高額療養費制度の対象となる費用は以下となります。
高額療養費制度の対象
・保険適用される診療
・病院への入院で支払った治療費
・病院外処方で支払った費用(医療機関が発行した処方箋により薬を受け取った場合の薬代)
高額療養費制度の対象外
・差額ベッド代
・先進医療にかかる費用
・診断書代
・食事代
差額ベッド代はともかく、「先進医療にかかる費用」も高額療養制度の対象外となるのは残念なところですね。
「がん」など病院の治療次第では治る病気にもなりつつあるなかで、出来得る治療である「先進医療」も、公的な制度では対象外となってしまうため、治療するなら、ご自身で費用を捻出する必要があります。
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高額療養費制度でもお金は必要
但し、大切なことは、高額療養費制度を利用し、お金の負担が減るといっても、「一旦はご自身で支払って、後日、還付してもらう」必要があります。
そのため、病院に治療費用を支払うため、自身でお金を用意しないといけません。お金の立替も負担が重く、この高額療養費制度で還付されるお金の「8割」を無利息で借入できる公的制度があります(国民健康保険は9割)。
これを「高額療養費貸付制度」といいます。
高額療養費制度も、高額療養費貸付制度も、利用するには、ご自身が加入している「保険機関の窓口」に申請する必要がありますので、同時に申請してしまうのが良いでしょう。
会社を休むなら傷病手当金制度
病気やけがで会社を休む時、問題は病院での治療費用だけでなく、「途切れてしまう収入」も問題となります。そこで利用したいのが「傷病手当金制度」です。
病気やけがで、長期間会社を休んでしまう場合、休み初めて、「4日目から最長で1年6ヶ月目まで」「傷病手当金」を支給してもらえる制度です。疾病手当金として支給してもらえるのは、通常の収入の3分の2程度です。満額の保証でなくても、非常に重要な支えとなります。
「傷病手当金制度」は健康保険組合・全国健康保険協会(協会けんぽ・船員保険)・共済組合に加入している方を対象としています。国民健康保険加入者の方は利用できません。
疾病手当金制度の利用方法
傷病手当金は加入している保険窓口に、傷病手当金支給申請書を提出します。実際の支給日や支給方法は保険や会社により異なりますが、通常1ヶ月程度で支給してもらえることが多いようです。
傷病手当金制度の対象外となる場合もありますので、加入している保険への確認が必要です。
これらの公的制度を目一杯利用して、それでも病院・治療費用が賄いきれず、資金が足りない時には、民間からの借入も利用することができます。
医療費ローン・メディカルローン
銀行のなかには、ごくわずかですが、「メディカルローン」といった名称で、病院での治療費用を借入できる商品が用意されています。
高額療養費制度を活用しても、自己負担額は発生しますし、また、高額療養費貸付制度を活用しても、10割貸付してもらえるわけではありません。
そもそも、高額療養費制度の対象外となる治療(先進医療など)もあります。公的な制度を目一杯活用しても、少なからず発生してしまう自己負担額に備えるために、民間の借入制度を知って、備えておくことは重要です。
そういった借入として最初に思いつくのは、「病院」、「治療費用」専門の借入商品が銀行にないかということでしょう。
スルガ銀行メディカルローン
数少ない、「病院」、「治療費用」専用の借入として、スルガ銀行から借入できるメディカルローンをご紹介します。
スルガ銀行のメディカルローンの特徴は、
①最高借入額800万円
②適用金利7.0%~11.0%
③最長借入期間10年(120回払い)
となります。
こちらで借入した資金の使い途としては、病院での「自由診療資金」等となっています。
借入には、お見積り書など、資金使途を確認できる資料の提出が必要です。
スルガ銀行のメディカルローンですが、正直、他の銀行で借入できる「フリーローン」と比較して、特別メリットや違いはないと考えられます。
適用金利、借入限度額など、病院での治療専用の借入とは言っても、「特別な点はあまりありません」。
銀行フリーローンを活用
銀行には、借入した資金の使い途が、原則自由である「フリーローン」と呼ばれるものがあります。
フリーローンであれば、病院・治療費用として使用することも可能です。
但し、フリーローンは、銀行毎で、全く商品性(金利などの借入条件)が異なります。
その中で、病院・治療費用としての使い途にあうものを探すのは、かなり大変ですので、こちらで、いくつかおすすめのフリーローンをご紹介します。
住信SBIネット銀行
病院・治療費用として使用が可能な、銀行借入に、住信SBIネット銀行の「Mrフリーローン」があります。Mrフリーローンは、3.775%~12.0%(2017年9月現在)の適用範囲内で借入することが可能で、最長10年まで借入可能です。
実際の適用金利は、フリーローンの借入申込を行った後、銀行内での審査結果に応じて決定されます。
もちろん、フリーローンの借入申込を行った後、審査結果を確認して、適用される金利に不満があれば、借入しないことが可能です。
住信SBIネット銀行のMrフリーローンの、最大借入可能額は1,000万円です。フリーローンの借入が可能な銀行では、最も大きな金額の借入が可能です。
また、フリーローンの借入後、資金的な余裕が出てくれば、前倒しで返済することが可能です。
なお、住信SBIネット銀行は、繰り上げ返済手数料も無料です。
住信SBIネット銀行のメリット
住信SBIネット銀行のフリーローンを借入するメリットは、100万円までの借入申込なら、所得証明書の提出が不要であることです。
一般的な、銀行のフリーローンの場合、借入希望額が50万円を超えると、所得証明書の提出が必要です。100万円までの借入申込まで不要という銀行はほとんどありません。
借入申込から、契約の手続きまで、ネット経由で完結できるため、手続きも容易です。銀行フリーローンで借入する場合のデメリットは、借入申込から、実際の借入まで時間がかかる(2~3週間程度)ことがあげられます。
そのため、急を要する病院費用や、治療費には間に合わない可能性があげられます。
また、その後の就業が困難となってしまう病気や、治療の場合、そもそも借入することが自体が困難になる場合もあります。
三菱UFJ銀行のフリーローン
三菱UFJ銀行でも、借入申込可能な、フリーローン「ネットDE多目的ローン」があります。こちらも、フリーローンとして非常におすすめできる借入です。
三菱UFJ銀行のフリーローンでは、最大300万円を、最長10年間で借入可能です。もちろん病院・治療費用として使用することが可能な借入です。
三菱UFJ銀行カードローンの適用金利は、一律5.475%(変動金利/2017年9月現在)ですので、相応低金利で借入できます。
一律適用される金利ですので、銀行と借入金利について、交渉する必要もなく、安心して利用できます。
三菱UFJ銀行のフリーローンの資金使途は「原則自由」ですので、病院費用・治療費としての利用が可能です。
また、三菱UFJ銀行では、実際の借入は、インターネットから借入申込する方法と、郵送や、店頭で行うものの両方が利用できます。
借入になれていなくて、店頭で直接相談して借入した方でも対応可能です。三菱UFJ銀行のフリーローンでは50万円~300万円の範囲内で、借入が可能です。病院・治療費用としての必要からは相当に対応できると考えられます。
借入申込できる方の条件としては、
①申込時に満20歳以上、完済時に満70歳
②保証会社(ジャックス)の保証を受けられる。
③前年度の税込年収(事業所得の方は申告所得)200万円以上
④勤続年数が1年以上
⑤パソコンのEメールアドレスを持っている
と、条件はやや多めです。
銀行で借入可能なカードローンに比べ、フリーローン金利は低くなります。
反面、審査基準が厳しくなり、審査に時間がかかるのがデメリットです。
柔軟に借入できるカードローン
銀行で借入できる融資商品には、もう1つカードローンがあります。
カードローンは、事前に借入申込を行ったうえで、借入限度額を保有しておくことができます。いざという時がこなければ、借入しないまま放置しておけば、手数料や、年会費がかかるということもありません。
必要な時にだけ何度ども自由に、カードローンを使用して、借入することができます。
もちろん、銀行カードローンの使途も自由です。病院費用・治療費へ使用でき、交通費、生活費、その他、付随する費用も幅広く利用できます。
カードローンのデメリットは、これまでの、借入に比べ、金利水準が高くなる可能性です。
楽天銀行カードローン
ネット専業銀行として人気のある楽天銀行にもカードローン商品が用意されています。楽天銀行のカードローンは「スーパーローン」という名称で、インターネット経由で申込や契約を完結でき、店頭に行くことなく申込できるのが特徴です。
楽天銀行カードローンは、適用金利や借入限度額(最大800万円)も、銀行カードローンのなかでトップクラスの条件となっています。これからカードローンを使って借入したいという方にはおすすめの商品となります。
・楽天グループのカードローン
・WEB申込で手続き完結。契約など来店不要
静岡銀行カードローン「セレカ」
静岡銀行のカードローン「セレカ」の借入条件をご紹介します。静岡銀行カードローンでは、最大500万円までの金額を借入できます。静岡銀行カードローンで借入する場合の適用金利は、4.0%~14.5%の範囲内となります。
この借入可能金額の上限や、適用金利は、大手都市銀行や、ネット銀行と比べて、全く遜色ない条件と言えます。
そして、静岡銀行カードローンのメリットは、「45日間、利息キャッシュバック」の制度です。
静岡銀行カードローンでは、初回契約時から、45日間の「利息」を、キャッシュバックしてもらえます。つまり、静岡銀行カードローンなら、45日間実質無利息で借入できます。
静岡銀行カードローンは、静岡という地域に限定せず、全国の方がご利用可能です。インタ―ネットからの手続きで完結できるほか、セブン・イレブン内に設置されているセブン銀行ATMが手数料無料で利用できます。そのため、全国の方が、変わらず借入を利用できます。
(静岡銀行公式ホームページはこちらから。申込可能です)
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まとめ
病院費用・治療費は、予想以上に高額になる可能性があるにも関わらず、時期や、タイミングを選ぶことができず、さらに、その後の就業に影響する可能性もあるため、個人にとって、相当に負担の重い費用と言えます。
公的制度で一定額を負担してもらえます。極力、公的制度を活用すべきです。しかし、公的制度でカバーできない「自己負担部分」が発生します。
こういった、病院費用・治療費に予備的に備えるために、活用できる借入がありますので、いざという時のためにご準備されてみてはいかがでしょうか。
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