住宅ローンを組むには、現在のお勤め先に「3年以上勤務している」ことが必要とも言われています。
しかし、現在は、「終身雇用」なんて言っていられる時代ではなくなっており、働いている方の事情だけでなく、勤務先の都合で転職を余儀なくされることもありますので、勤続年数3年はかなり厳しい条件とも言えます。こういった環境下で、勤続年数が短くても借入できる住宅ローンが用意されてきています。
今回は勤続年数が短くても借入できる住宅ローンと勤続年数の短い方が住宅ローンの審査に通過するポイントを解説します。
今回ご紹介する内容
- 勤続年数が短いと住宅ローンは借入しにくいのか?
- 勤続年数が何年あれば借入しやすいのか?
- 勤続年数が短くても住宅ローンを借入する方法
住宅ローン審査で見る項目
最初にそもそもの話として銀行員が住宅ローン審査で見るポイントから確認しておきましょう。
銀行内部の住宅ローン審査で見られるポイントには、大きく分けて以下の2つポイントがあります。
- 返済能力:住宅ローンを借入する人の審査
- 担保評価:購入する住宅の審査
このうち①の「住宅ローンを借入する人の審査」というのは、住宅ローンを借入する人の返済能力を確認します。
今回取り上げる勤続年数もこの借入する人の審査に含まれます。
その他の住宅ローン審査のポイントは、以下の関連記事で詳しくご説明しています。
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住宅ローンを借入する人の審査
銀行の住宅ローン審査で特に重要となるのは、住宅ローンを借入する人が借入したお金を返済できるのかということです。
銀行にとって審査の意味とは、融資したお金を問題なく回収するための確認です。
銀行は、借入した人からの返済が受けられなければ損してしまうこともあります。
そのため、住宅ローン審査では、借入人の「返済能力」と、いざという時の保険として「担保評価」を重視した審査が行われます。
ここでは、返済能力に主眼をおいて説明していきましょう。
住宅ローンにおいての「人の審査のポイント」は以下の3つのポイントになります。
- 収入の高さ(年収)
- 収入の継続性・安定性
- 現在の借入残高
以上の3つのポイントで、銀行は住宅ローンを審査します。
①の年収は解りやすいですよね。住宅ローンを借入する人の年収が高ければ、高いほど、大きな金額でも返済できますので大きな金額を借入できる可能性が高くなります。
しかし、年収が高ければ、住宅ローン審査に通るのかと言えば、そうとは言えません。住宅ローン審査では、その収入の継続性・安定性が重要視されます。
いくら、今現在の収入が2,000万円あっても来年の収入が途絶えるかもしれないのであれば住宅ローンの返済を継続していくことは難しいでしょう。
そのため、収入の変動が大きい方や、継続性が乏しい方は審査に通過できません。
その収入が安定的に、継続していくことが重要で、勤続年数は、それを判断する材料となるのです。
購入する住宅の担保評価
なお、今回の勤続年数に関する内容とは関係ありませんが、購入する住宅の担保評価も住宅ローン審査に影響します。
銀行は住宅ローンの借入人からの返済が滞ってしまった場合には、担保となる住宅を売却して住宅ローンを回収します。
そのため、対象となる住宅の担保評価額や、売却できる住宅かなども調査することになります。
審査での勤続年数の重要度
9割以上の銀行が勤続年数を重視
以上の結果から、大部分の銀行の住宅ローン審査では勤続年数が1~3年以上あることを必要としますが、全体の20%程度はこの基準にあてはまらず、勤続年数が1年未満の方でも住宅ローン審査に通る可能性があることを意味します。
そもそも勤続年数とは?
住宅ローン審査における「勤続年数」とは現在のお勤め先に対して継続して働いている期間のことです。
社会人として、どれだけ長く働いていても、住宅ローンの審査では、転職するとリセットされて勤続年数は0になります。
どれだけ社会人経験の長い方であっても、転職前の年収や勤続年数は住宅ローン審査の対象とはなりません。
これは、住宅ローン審査の前提となる年収(これから先の将来に受け取る収入)がどれだけ安定・継続しているかの判断ですので、その年収のもととなる現在の勤務先で、どれだけの期間を働いているかを審査されるためです。
住宅ローン審査で大切なのは過去よりも将来ということですね。
転職から間もないと借入できない?
前述の通り、基本的に、転職後の勤続年数で審査されることになりますので、転職すると勤続年数は「0」にリセットされます。
勤続年数は住宅ローン審査において、収入の安定性を図る尺度となるため重要な要素です。そのため、勤続年数が短い方は銀行の審査で不利になります。
しかし、銀行によっては、転職後、間もなくても、住宅ローンを組むことができる場合があります。
勤続年数が短くても住宅ローンを借入できる場合とは、その転職が、キャリアアップと認められるなど、転職が、その方にとってプラスと言えるものかどうかが重要です。
転職がプラスと認められれば、勤続年数が短くても、住宅ローン審査に通過できる場合があります。
以降では、銀行の審査に対して、転職をプラスの印象を与え、審査に通るためのポイントを解説していきます。
勤続年数が短くても認められるケース
住宅ローン審査で認められる可能性の高い転職の事例をあげると以下のようなものがあります。
- 同じ業界、もしくは同じ職種で連続している(経理→経理など)
- 転職後に収入がアップしている
- 専門資格を活かした転職と認められる(資格を取得したので、活かせる会社に転職など)
以上のような例に該当する場合は、それを証明する資料を準備して銀行に説明すれば、勤続年数が1年未満でも住宅ローン審査に通過できる可能性があります。(但し、銀行の中には、事情に関係なく、一律で勤続年数が満たなければ駄目というところも多いので、銀行選びがとても重要です)
年収アップの証明というのは難しい(通常、転職すると1年目の賞与が減少することが多い)のですが、転職時の「条件通知書」・「採用通知書」・「オファーレター」などに、基本年収が記載されていて、そちらを提出することで、キャリアアップを認めてもらえることがあります。
また、こういった条件通知書がないと、「転職後の年収が解らない」となってしまい、そもそも審査することが出来なくなりますので準備しておくことが必要です。
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転職後でも申込できる住宅ローン
次に、転職後で、勤続年数が短くても、借入申込できる「おすすめ住宅ローン」をご紹介いたします。
私自身が実際に、転職後7ヶ月目に申込をしてみて、選びましたので実際に審査に通る可能性のある銀行ばかりです。
住信SBIネット銀行
★住信SBIネット銀行の住宅ローン
★業界トップクラスの低金利
★新規購入時の通期変動金利は0.32%(2023年5月現在)
★全疾病保障保険の特約を無料で利用できる
借入可能額(最大) | 1億円 |
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適用金利・手数料など | 変動金利0.32%(借り換え時 0.299%) ※所定の条件を満たした場合の通期変動金利となります※掲載金利は最大金利引下げ幅時の適用金利です。審査結果によっては、表示金利に年0.1%上乗せとなる場合があります。 |
所要時間 | 申込から融資実行まで1ヶ月程度 |
その他優遇など | 全疾病保障特約を無料で付加、一部繰上げ返済手数料無料 |
住信SBIネット銀行がおすすめできるポイントには以下のような点があります。
住信SBIネット銀行の住宅ローンは、転職後3ヶ月を経過していれば借入申込が可能です。
但し、転職後1年未満の方の申込の際には、以下2点の準備が必要です。
- 転職時に、転職先から受け取る雇用契約書、採用通知書、あるいは年収見込証明書など、転職後の収入見込額が解る資料
- 転職後の給与明細・賞与明細(転職時点から、申込までの直近3ヶ月分)
なお、私個人が、住信SBIネット銀行に申込した印象(転職後7ヶ月目)では、上記の書類を準備すれば、拍子抜けするほど簡単に審査に通過しました。
この2種類の書類は、後述の2行でも必要ですので準備しておきましょう。
変動金利なら、借入期間ずっと、基準金利から▲2.331%の優遇が受けられます。
現在の借入金利は0.410%(2021年7月現在、借り換えのためなら0.398%)で借入可能です。
住信SBIネット銀行のネット専用住宅ローンなら当初固定金利(20年)を選んでも1.38%という低金利で借入することが出来ます。
20年間の固定で、この金利は、かなり低いと言えます。
さらに、住信SBIネット銀行の住宅ローンなら、全疾病保証に、無料(銀行負担)で加入することができます。
なお、住信SBIネット銀行には対面で相談できるSBIマネープラザもあります。
住宅ローンを借入する方のなかには専門家にしっかりと相談したうえで借入したいという方もいます。
こういった方は、ネットだけのやりとりでなく、対面相談の方がメリットがあることもあります。
SBIマネープラザでは商品の特性(金利/全疾病保障など)を住信SBIネット銀行のネット専用住宅ローンのままに、ネットだけでなく、対面形式で申込可能とした住宅ローンです。
ネットの金利を店頭相談で利用できます(MR.住宅ローンREAL)
三井住友銀行 住宅ローン
三井住友銀行でも、勤続年数の短い方の住宅ローン申込が可能です。
住信SBIネット銀行と違い、具体的な最低勤続年数(3ヶ月など)は未公表ですが、私自身が三井住友銀行に申込した(転職後、7ヶ月目)時に、審査に通過しましたので、3~6ヶ月の勤続年数で、申込は可能です。
三井住友銀行では、住宅ローンの適用金利は、変動金利で0.625%(2020年9月現在)となり、金利の優遇幅は、借入当初のものが、完済まで継続することになります。
金利水準は、大手都市銀行でもあり、業界のなかで、かなり低めの水準です。
☆大手都市銀行の三井住友銀行
☆ネット手続きなら繰り上げ返済手数料無料(窓口は有料)
☆金利はネット銀行に比べて高い
借入可能額(最大) | 1億円 |
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適用金利・手数料など | 0.475%~0.675%(年率) |
所要時間 | 申込から融資実行まで1ヶ月程度 |
三井住友銀行住宅ローンのメリットは、審査を柔軟に行ってくれることです。
三井住友銀行の住宅ローンでは、勤続年数が短くても、年収が上がっているなど、状況を個別に判断して審査してもらうことができます。
実際に、銀行に相談したい方や、説明して解って欲しいという方には、三井住友銀行の住宅ローン申込が良いでしょう。
なお、勤続年数が短い方が、三井住友銀行に借入申込するにあたっては、「職務経歴書」の提出が必要です。職務経歴書といっても、履歴書とは違います。
エクセルやワードで、簡単に作成したもので大丈夫です。
過去の、勤務先を一覧にして、入社年月、退職年月、退職理由(キャリアアップなど一言で構いません)を記載しておけば良いでしょう。
楽天銀行 住宅ローン
☆ネット銀行大手 楽天銀行の住宅ローン
☆保証料・事務手数料が定額
☆他のネット銀行に比べて金利が高い点がマイナス
借入可能額(最大) | 1億円 |
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適用金利・手数料など | 変動金利 0.527%(2020年10月時点) |
その他優遇など | 全疾病保障+がん保障特約(50%)が無料 |
楽天銀行の住宅ローンも、勤続年数が、短くても借入申込が可能です。
また、前述の2行と同様に、大変、内容の良い住宅ローンですので、是非、おすすめしたい住宅ローンとなります。
①楽天銀行住宅ローンの金利は、業界トップクラス
楽天銀行の金利は、変動金利を利用すると、当初0.527%となります(詳細な条件は、審査結果によって決定。2019年2月現在)。
この金利水準ですが、住信SBIネット銀行よりは、やや高くなりますが、それでも圧巻の0.5%台の低金利です。
他の銀行の住宅ローンと比べても、トップクラスにお得な金利水準です。
楽天銀行の場合、諸費用がシンプルで、解りやすくてお得です。
楽天銀行の場合、この諸費用が一律32.4万円ですので、借入金額が大きい方ほど、お得な住宅ローンになります。
また、住宅購入時には、どうしても費用がたくさん掛かってしまい、住宅ローンへの諸費用の支払いは「辛い」のですが、こういった点からも、楽天銀行の住宅ローンが、おすすめできます。
この解りやすさ、シンプルなお得は、楽天銀行のメリットと言えます。
③楽天銀行も8大疾病保証が無料
楽天銀行は住信SBIネット銀行と同様に全疾病保証に無料加入できます。
そのため、住宅ローン借入後に就業不能となることがあれば、保険が住宅ローン返済を負担してくれます。
まとめ
現在は、終身雇用を訴える会社も減少していますし、人材の流動化が進んでいますので転職する方は増えています。
一般的な企業では、従業員総数の10%程度が、毎年、離職するとも言われています。
つまり、現在の日本では転職は当たり前と言って良いほどのことであり、どなたでも経験される可能性あることです。
それにも関わらず、銀行の住宅ローン審査においては、依然として転職は不利な材料として扱われます。
特に、転職から3年以内の方は審査に通りにくいという銀行も存在します。
しかし、勤続年数が短くても、住宅ローンの借入を諦める必要はありません。
審査で対応してもらえる銀行を選び、しっかりと、書類を準備して、説明すれば、審査に通過できる可能性は十分にあります。
勤続年数が短くても、住宅ローンを借入できる可能性はありますので、あきらめずに頑張りましょう。
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